水明:更新される定義③
「トランプがもう1つ見つかったよ〜」
もうリクは理解できたようで、祖母に教えるのが楽しそうだった。運の要素があって、経験者と初心者でも勝敗が拮抗するのもガイスターの良いところだと思う。母が探してきてくれたトランプも使って2組に分かれ、気付けば夕飯前までトランプ版ガイスターで遊んでしまった。
「ほらみんな、そろそろ花火の時間よ!」
母の声に呼ばれ、私たちは外に出た。庭の横を通って山へと続く道に、みんなで並んで座った。この辺りは数軒しか家がなく、県道から横にそれたこの私道には、入ってくる車も無かった。
「虫除けスプレーを用意したから、みんな必ず使ってね。蚊取り線香もあるからね」
母が用意してくれた虫除けスプレーを、順番に手足に吹き付けていると、ヒュー……という音が響いて、暗闇に慣れた視界が真っ白に染まった。ドンと腹の底に響く轟音と共に、巨大な光の華が咲く。
「うわあっ! おっきい!」
「近い近い近い! 落ちてきそう!」
ミサキも子どもたちも、興奮して叫んでいる。スマホのカメラで動画を撮ったが、画面に収まりきらないほどだった。
ドーンと、ひときわ大きな音がした。海岸はすぐ近くでも、音が届くまでには、わずかな時間差を感じる。見上げると、花火の輝く粒子が、ちょうど私達の頭上まで届いたところだった。ミサキの方を見ると目が合う。
「すごいね」
花火のことだと分かっていても、自分が褒められたようで嬉しかった。レンとアキラは花火の途中で寝てしまったようだ。最後の花火が上がってしばらく経つと、余韻も月明かりと虫の音に紛れてしまう。気が付くと私達はみんな、道路の真ん中で、仰向けに寝転がって夜空を見上げていた。




