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エロはNHKに許されるとこまで|恋愛百合コメディ

彼女の誕生日に貞操の危機を向かえる。

でもNHKが認めないことはさせてあげない。

今日は十一月七日。

大好きな彼女の誕生日。


「おめでとー」


私は無表情でクラッカーを鳴らした。

ぱらぱらと舞う紙テープ。

その向こうで、どうもどうもと本日の主役が手を振る。

本当は笑顔でお祝いしたいけどその気には全くなれない。


そりゃね、あんなこと言われたら。

身の危険というか貞操の危機というか。

いろいろ警戒マックスですよ。


---------------------------------------------------


「来週の誕生日ってほんとにお部屋デートでいいの?」


私がそう聞くと、彼女がすごく嬉しそうに頷く。

のんびりしていて感情表現が豊かな女の子。

大学受験も佳境でお互い大変だけど、お祝いくらい全力でやろう。

ふたりでそう決めたんだ。


「私はね!いっしょにいられるだけで嬉しいんだ!」


にっこにこで喜んでる。

……かわよ。

ここが学校じゃなかったら抱きしめてた。


「プレゼントはなしで、ケーキくらい準備しとくね」


私たちは約束をしてた。

お互いにお金を使うのを我慢して、豪華な卒業旅行をしようと。

大学で別々になる前に一番の思い出を作ろう、そう約束してる。


「うん!フルーツのったやつ!」

「はいはい」

「あとたくさんくっつくね」

「はいはい、好きになさい」


考えもなしに返事をしてしまい、私はハッとした。

口が滑ったと彼女を見ると、ご機嫌はどこにいったのか神妙な顔つき。

顎に手をあてて、ロダンのごとく考えている。


「……好きなだけ」


ああ、だめだ。

ろくなことを想像していない。


「今のは言葉のあやで、なんでも許すってことじゃなくて」


必死に訂正する。

ここで頑張らないと私のいろいろがやばい。


「……あんなことやこんなことを好きなだけ」


だめだ、拡大解釈モードに入ってる。


---------------------------------------------------


「なんか暗いね」

「いや、まあ、うん、そうだね」

じりじりとにじり寄ってくる彼女。

私はじりじりと後退。

部屋の真ん中にある小さなテーブルをふたりで周っている。

なんだこれ。


「あのね!好きなだけって言ったけど!」

「うん?」


お預けを指示された犬のようにその場でバタバタとしていた。


「NHKで放送できるような内容に限る!」


頑張れ公共放送。

私を守って。


「Hey Siri!」


声高らかに叫ぶ彼女。

すごく真面目な顔をしてる。


「【NHK 性教育】 で検索!」

「変な知恵を回すなあああ」


私は抱きついてスマホを取り上げた。

なんでこういうことだけ頭まわるんだよ!

いつもぽわぽわしてるだろお前!

マシュマロみたいな雰囲気だろ!


「えー、私は今日で十八だよ?大人だよ?」


ぶーぶーたれている。

大人なら我慢を覚えて。


「私はまだ十七よ、警察呼ぶわよ」

「ポリスメンは勘弁かな」


ケラケラと笑う彼女。

ほんともう。


「はいこれ」


スマホを返そうとしたとき、画面に目が止まった。

そこには満面の笑顔の私。

いつのまに撮ったのよ、もう。


でもそうかー。

いつもこれを見てくれてたのか。

そうかー。

毎日なんかいも見てたのか。

によによしてしまうじゃないか。


「あの、あのね」


恥ずかしくもじもじしてしまう。

誘うのはいつも向こうからで、私からは初めてだから。


「あの、せっかくの誕生日だし……深夜放送レベルまで許す」

「ほんと?それは嬉しいよ」


グイっと引き寄せられた。

こういう時だけカッコイイんだから困る。


「……おニューつけてるね。

 期待してた?」


ああ、うん、そう、ノンデリカシーなんだね。

誕生日おめでとう。

成人おめでとう。

NHKで実名報道されろ。


「Hey Siri!

 110番に通報して!」

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