女子高生の体操服をもらった(3分で読める百合ショート)
彼女が忘れていった使用済みの体操服。
しっとり汗がしみていてフェロモンがやばかった。
「ありがと、今日も楽しかったね」
私とお付き合いしてくれている女の子、二葉が帰ってしまった。
別れ際にハグしてくれた肩に、まだぬくもりが残っている。
今は金曜の夕方なので、次に会えるのが月曜の高校だと思うと寂しい。
いつもなら土日どちらかはデートをしてるんだけど、今週は予定があるとのこと。
「しかたないんだけどな」
見送った玄関から部屋に戻り、少し不満な私は勉強机の椅子に座る。
長い髪が好き。
昔そう聞いたから伸ばしている、うっとおしいのをゴムで雑に縛った。
付き合いだしてもうすぐ1年だけど、少しマンネリを感じている。
愛情はかわらず、それどころか毎日好きになっているんだけど。
なにかきっかけがあれば変わるのかな。
「でもきっかけ作る勇気があれば、そもそもマンネリなんてな」
椅子の上でゆらゆら揺れてしまう。
あれなのかな、ボディタッチが足りないのかな。
確かに長いことキスどまりだけど。
どう誘えばいいかなんてわかんないし。
考えがまとまらない私はベッドに飛び込んだ。
「あれ?」
横になった私の視界に一つのバッグ。
パステルカラーの小さなトートバッグで、二葉がいつも体操服を入れるのに使ってるやつだ。
今日は体育があったので持って帰って、忘れて行っちゃったのかな?
「体操服わすれてるよー」
二葉にメッセージを送るとすぐ返信が返ってきた。
もう家についているのかな?早い気もするけど。
[二葉] ありがと!明日取りにだけ行っていいかな?
手渡しする一瞬だけとはいえ、会えることに喜ぶ私。
単純だな。
[二葉]ありがと五木。明日までその体操服好きにしていいよ
……ん?
「え!?それってどういうこと?」
意味が分からずわたわたしていると、じゃあちょっと用事してくるねと二葉がオフラインとなった。
え、好きに?
今日の体育は長距離走で二人して汗だくになった。
その体操服を好きに?
いろいろ思い浮かんでしまうけど、だめだだめだ。
頭を振るが煩悩は消えない。
そして打ち勝つ自信もない。
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「本当に五木にあんなことしてよかったのかな?」
私は部屋着に着替えて友人のかなたと向かい合っていた。
恋人の家から友人の家へ連続でおじゃましている。
「二葉がそんな奥手だから進展しないんでしょ?」
ショートカットの友人が、座椅子の背もたれに寄りかかりふんぞり返る。
「でもさ!だからって使い終わった体操服わざと忘れるとか」
もし臭いとか思われたら私は立ち直れない。
でも五木は優しいから、きっと何も言わないんだ。
だめだ、明日会うのが怖すぎる。
「あんたにべたぼれな五木よ。大丈夫だって」
今から2人でお泊り会をするのだが、ことの発端は私が何気なく相談したことに始まる。
付き合い始めて1年。
仲良くて一緒にいられて幸せなのだけど進展が遅すぎて。
共通の友人のかなたにそう相談したところ、よくわからないアドバイスをされた。
体操服を置いて帰りなさいと。
「だいたいなんで体操服なの」
「前もいったでしょ」
大げさに身振り手振りをするかなた。
「二葉だって五木が体操服を忘れていったらどうする?」
「洗って返す」
「それが五木の汗を吸った使用後のでも」
……五木の汗。
体操服は素肌や下着に直接。
それが一晩手元に。
「このドむっつりが」
「なあー!」
黙り込んでしまった自分が恥ずかしい。
「五木も今同じ状態ってこと。きっとお楽しみ中よ」
けらけら笑いながらお菓子を食べている。
こんなことして一人でいるのは落ち着かないから泊まらせて。
そう言ったのは私だけど、少し後悔し始めた。
「……洗って返さなきゃだよね」
好きにしていいといわれたので、とりあえずバッグから半袖とハーフパンツを取り出した。
それをなぜかベッドの上に人が着ているかのように、きれいに並べた。
一度洗濯機に入れてスイッチを押す手前まで行ったのだけど、出来ずに持ち帰ってしまったのだ。
ちょっと湿っていて、触るだけで罪悪感が生まれる。
「離れてても甘い匂いがああああ」
脳がとろけそうになりながら、二葉はなぜあんなことを言ったのか理解ができない。
『好きにして良いよ』
使用後の体操服の使い道って、あんまり良い方向では思いつかないんだけど。
それに私の彼女はそんなことを言うキャラではない。
「ぽくない事を言わせるくらい不安にさせてたのかな」
添い寝をするように横になる。
本人とそんなことした事ないのに服と先にするとは。
アブノーマルだなと思いながら、大きく息を吸う。
この甘いローズの匂いは二葉の体からなのか、使ってるボディーソープからか。
わからないけど体が変になりそうで、思わず半袖を引き寄せてハグをする。
汗で湿った服なんて気持ち悪いはずなのに、二葉のだと思うと胸が高鳴ってしまう。
体の奥がぽっと熱くなり、思考が鈍くなる。
「私って変態だったのかな」
否定をしたいのだけど理性を超えた何かが邪魔をしてくる。
「二葉が好きにして良いって言ってくれてたし」
これは自分への言い訳。
「いいんだよね、好きにして」
もう一度自分と、五木への言い訳をした。
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二人ともシャワーを浴びて始まった2次会。
あいもかわらずかなたはご機嫌だ。
「いやあ、五木さんはいまごろ何をしてるんでしょうねえ。明日会った時は激しいんじゃないの?」
「なんで関係ないかなたが一番楽しそうなの」
いやあねえと、おばさん臭くおどける。
「二人とも私にとって大切な友人だもの。その二人が幸せになるなら最高じゃない」
これは、嘘だ、うん間違いない。
かなたとの付き合いは小学校からで、五木とより長い。
こういった聖人モードの彼女は信じてはいけない。
なんせ何度も痛い目に会ってきたから。
「そういうのいいから。かなたの本音は?」
「自分じゃこんな変態的手法使えないし、見てて最高に面白い」
相談相手を壊滅的に間違えた気がしてきた。
「ちなみに二葉は五木にこんな風に使われたらどう思う?」
ふいに近寄ってきたかなたが、耳元でこしょこしょ言ってきた。
耳を疑うほどの下ネタを。
「どうぇ!?五木がそんなことするわけないじゃない」
「いやあ、あいつはあんた以上にドスケベよ?きっとこういうのも」
かなたがこしょこしょ。
「なんで!なんで!吸うの!?」
「さらには」
もう一度こしょこしょ。
「……なんでそんなに想像たくましいの!恋人いたことないのに」
「おま、それだけは言っちゃだめなことだぞ」
時計の針はすでに12時を過ぎており、夜更かしはしばらく終わりそうにない。
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私は眠い目をこすりながら二葉の家の前に立っていた。
メイクが崩れていないか、表情が死んでないか。
昨日は結局明け方まで話し込んでしまい目の下に薄くクマができてしまっている。
こんな顔で五木には会いたくなかったよ。
そう思いながらピンポンを押すと、遠くから声が聞こえた。
「いらっしゃい」
いつもの化粧っけの薄い顔と長い髪。
目立つのは筋の通った美しい鼻。
私の彼女は今日も最高に可愛い。
「はいこれ、洗って乾かしておいたから」
玄関に招き入れられた私へ笑い、トートバッグを渡された。
優しくて思いやりのある私の五木。
ほら見ろかなた!
昨日そんなことするわけないって否定した通りじゃないか。
嬉しくて思わず五木に抱き着いてしまう。
……さっき庭先にご両親の車が無いことは確認済み。
「もーどうしたの二葉」
いいながらもそのままハグを返してくれた。
これだよ、私をだめにする甘やかし。
「二葉この後用事あるって言ってたけど少しくらいは時間ある?」
「え?一時間くらいでよければ」
良かった。
それだけ言った五木が私の後ろに手を回し、ガチャリと鍵を閉めた。
くっついたままの二人。
いったん離れようとするが、あれ?逃げれない。
「今日の二葉はいつもと違う香りがするね。ボディーソープ変えたのかな?」
あ、昨日はかなたの家でシャワーを。
「このムスクの香り、よく知ってる友達が好きでね」
あの、優しくて思いやりのある私の五木さん?
とんでもない迫力に逃げ出したくなるが後ろは壁、前は無表情の恋人。
「私に秘密でお泊り会?たまたま体操服を忘れた?」
「あのですね」
「頭の中でパズルが組み立っていくなあー」
なんだろう私の彼女がいつもと違う。
怒っているとかではなく、一つレベルが上がったような。
「詳しい話は私の部屋で聞くね」
手を引かれ伏魔殿に引き込まれていく。
「私がどれだけ自分と戦って踏みとどまったか教えてあげる!そこ!正座なさい!」
あれ?進展はしそうだけど思ってたのと方向が違うような。
拒むこともできず引こずられていくように家の奥へと連れていかれた。




