このまま時間が止まればいいのに、なんて言ったら笑う?|3分で読める百合ショート
私は今日も彼女にいじめられる。
どこからでも読めるショート作品です。
なぜか自室で四つん這いにさせられた私。
その背にはいつも優しい自慢の彼女がどっしりと座っている。
手にはマグカップを持ち静かにお茶をすすり、それを私の頭にのせて来た。
中身がぬるいのがせめてもの優しさなのだろう。
「で?なんで貸したノートがないのかしら?」
「あのですね、一昨日の連休におばあちゃんの家に行きまして。そこでも勉強しようかと」
ぺしっとお尻を軽く叩かれる。
「早めからテスト勉強したいって借りたんだものね。立派だわ」
褒められてえへへと頭をかきたくなったが、今やると私と部屋はお茶まみれになっちゃう。
「で?なんで貸したノートがないのかしら?」
「忘れてしまいまして」
「おばあさんの家はどちら?」
おかしいな。
お茶は零れていないのに顔が嫌な汗でびしょ濡れだ。
「500kmほど東です」
「へえええええええええええええええ!テストまであと4日なんですけどおお?」
「速達で送ってもらうようにしますううううううう!」
ぐりぐりぐりぐりとマグカップを頭にめり込まされた。
「座り心地に免じて2日だけまってあげるわ」
「さすが御代官様」
マグカップが浮かび、背中越しにゆっくりとお茶が喉を通る音がした。
「ところでね」
気に入っているのかお尻を甘叩きされ続けている。
「このまま時間が止まればいいのに、なんて言ったら笑う?」
「もうお好きにしたらいいんじゃないでしょうか?」