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ピチピチのスク水は勉強の後で

親の寝静まった深夜、私達はふたりっきりだった。

恋愛百合ショートストーリー。

暑すぎて蝉が鳴かない夏の夜。

エアコンが効いている室内でも2人は汗ばんでいた。

偶然触れた腕の温度としめりが気持ち悪くて気持ちいい。

嫌悪感と似た昂揚。

「今年もこの日が来たね」

スマホの時計は8月30日の深夜を表示している。

「いままで宿題自力でしてきたことあったっけ?」

「あるわけないじゃない」

「毎年毎年毎年、なんで私が徹夜しなきゃなんないのよ」

長身で無駄にスタイルの良い少女が鼻で笑う。

「一晩中私を独り占めできるなんてむしろ感謝して」

見た目だけでなく性格も良いものを持っていた。

確かに顔も体も小綺麗だから私よりずっとモテている。

けどそれはみんな正体を知らないから。

「ほら、早く教えて。間に合わなくなるよ?」

「なんで助けてもらうほうが偉そうなのよ!」

寝巻き代わりのオーバーサイズTシャツ。

怒りながらも覗く長い脚に思わず目がいってしまう。

「中1から5年連続よ!何歳になったら計画性を学ぶのかな?」

この女との恒例の勉強会。

年々露出度が高くなっているのは気のせいなのか誘われているのか。

「……仕方ない。朝までに片付けるよ」

写させてではなく教えてと言ってくるのがせめてもの救い。

あとは惚れた弱みだと何年か前に諦めている。

問題集に目を落とすと同時に顔を上げてきた。

「ここわかんない」

「1問目から!」

家族寝られてるんだから静かにしなさいと、非常識から常識で殴られた。

なんでだよこんちくしょう。

「ご褒美も準備してるからそんな怒んない」

Tシャツの裾をめくり足を露わにし、僅かに布を見せてくる。

黒く厚ぼったい、下着では無いなにか。

「中にスクール水着を着てるの」

「……高校に水泳なんて無いじゃ」

言いかけてハタと気がついた。

「そうーー中学の時のよ」

当時私はこの女のつむじを見ていたが、今は少し見上げている。

その頃のを今着ているだって?

ならそれはもうとても大変な事になっている。

「どこがわからないの?親が起きる前に終わらすわよ」

「私あなたのそういうとこ好きよ?」



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