なんでも許してくれる保健室の彼女(1話完結ショート)
体育で怪我をした恋人を保健室で手当。
そんなふたりのなんでもない会話。
「体育でこけるなんて意外と抜けてるよねー」
膝から血をにじませた恋人兼クラスメイトを椅子に座らせ、校医がいなかったので勝手に消毒を行う。
「うーしみる」
「こら逃げないの!」
痛みに身体を小さく揺らす。
「ほらもう終わるから」
「早く終わらせてー」
「……そういえばさ」
絆創膏を貼りながらぽつりと言った。
「恋人が包丁で指を切った時に舐めるの定番だよね」
赤く染まり始めた絆創膏をみる。
「私が良いと言うと思った?」
「ですよねー」
「当り前じゃない。血液は病気を感染させたりするのよ」
「え?そこ?」
恥ずかしいとかではないんだ。
「なら他のとこなら舐めていいの?」
「私が良いと言うと思った?」
「ですよねー」
「いま汗かいてる」
「え?そこ?」
どこまで舐めて良いんだろ。
「この保健室シャワー室あるんだけど」
「私が良いと言うと思った?」
「ですよねー」
「初めてはあなたの部屋が良いの」
「え?そこ?」
私の恋人は随分と好きでいてくれてるようだ。
「可愛いねー」
よしよしをしてあげると両手でがしっと掴まれた。
「……今日家に寄っていい?」
私の大事な人はちょろ可愛いかもしれないから、もう少し大切にして良いのかもしれない。