好きな人が夢に出る方法を、本気で調べてしまった夜(3分で読める百合ショートショート)
大学終わりの私の部屋。
一緒に晩御飯を食べ終わった恋人が自然な流れでお泊りすることになった。
うん、それはいいんだ。
私も一緒にいれて嬉しい。
こうやって並んで寝るの好きだし。
でもね。
「……あのね、なに断りもなく服の中に手を入れているの?」
「お気になさらずに?」
「気になさるから声かけたんだし、注意されたらまずは手を止めなさい」
「お気になさらずに」
調子に乗るなと手を引き抜こうとするがびくともしない。
「なんでこんな時に全力なのよ!」
っていうか、さっきしたでしょ!しかも2回!とはさすがに恥ずかしくて言えない。
まあまあと手の動きを止めないこいつ。
「私昨日の夜から悩んでて寝てなくて」
「講義中に爆睡してたじゃない」
「だから確かめたいことがあって」
嫌味もスルーされる。
「何に悩んでたの?」
薄暗い室内。
彼女の顔が不思議そうに揺らぐ。
「私は君の事大好きじゃん?」
「あ、ありがとう?」
「え?そっちは言ってくれないの?」
「……私の方が好きよ」
「まあそれは関係なくて」
おい。
「こんなに好きなのに君は夢に頑なに出てこないから、どうしたら出てくれるのかなと」
「わからないわよ」
そう!と、服に突っ込まれていない方の人差し指を立てる。
「理由がわからないの!考えてたら夜が明けてた」
「そうか馬鹿なのね」
同じ偏差値の大学に通えているのが謎だ。
「だいたいそれと、さっきから私の体さわってるの関係ないでしょ」
「ちがうの私気づいたの」
お腹を鷲掴みにされる。
「ベッドで夢のような時間を過ごせば、実質夢を見たのと同じ!」
確定!馬鹿だ!ずっとこうだから知ってたけど馬鹿だ!
「夜明けまで何時間あると思ってるの!」
……恋人が時計を見る。
一度呆れて大きくため息をついた後、なぜかキメ顔をした。
「そんなにするつもり無かったけど私頑張る」
「頑張らなくていい!」
「お気になさらずに?」
翌日の大学
「なんであの二人そっこう爆睡してんの?」
「お盛んだったんでしょ」
ぐー。