この流れで突然彼氏の親に紹介されて反対されるのは想定内ですよね③
心得たように、滝本さんは理事長とお師匠さまを部屋の外に連れ出す。
リクは、ホッとしたように息を吐いた。
さすがに、実の親の公開プロポーズは、気恥ずかしいよね。
「ねえ? 花壇のベンチって?」
「ああ、外の花壇の一角に、噴水があって、ちょっと休めるようになってるんだ。あとで、サホも連れていってあげるね。今の時期だと、もう薔薇がかなり咲いているかな?」
「ええ。そろそろ見頃よ。……ところで、そちらのお嬢さんは?」
今までみんなの眼中に入っていなかったわけではないと思うんだけど(滝本さんも言っていたし)、改めて注目されてしまい、何だかドキドキしてきた。
他の人がみんな外に行っていて苳子さんだけなのは、ちょっと救いだけど。
って、リクと手をつないだまま!
「あ、俺の婚約者」
さらっとリクは言って、「可愛いだろ?」とニンマリする。
誉めてくれるのは嬉しいけど……恥ずかしい。
「あ、あの、利久さんとお付き合いさせていただいております、中沢茶朋と申します」
緊張する!
だって、よく考えたら(よく考えなくても)、彼氏のお母さん、だよ?!
実の母親のお師匠さまにリクとの関係を知られた時は、事情も知らなかったし、関係が分かってからも、それどころじゃない雰囲気だったりもしたから、あんまり気にとめてなかったけど。
リクをずっと大切に育てた来たお母さんだよ!
もうドキドキだよ!
「婚約者って……お付き合いって……だって、あなた、高校生、よね?」
「うん、俺のクラスの生徒。で、顧問をしている茶道部の部員」
「教え子……って、ことよね? 利久! あなた! 仮にも教育者が?!」
……ああ、やっぱり、こういう反応返ってくるよね。
理事長のさっきの言い方だと、リクのおうちって教育者一家みたいだし。
「大丈夫。まだ、子供ができるようなことはしていないよ。清らかな関係だから」
……清らか? どの口が?!
隙あらばベタベタしてくるくせに!
って、この場合、私がツッコミをいれるわけにはいかないので、ぐっと我慢する。
「清らかな、って……でも、手をつないで……まさか、外でそんなことしていないわよね?」
「デートの時は、高校生のふりをしているから」
「あ、そうね。確かに、それなら……いえいえ! やっぱり、こんなことが人に知られたら?!」
……あんまりにも常識的でテンプレな反応で、これがさっきまで猛進しまくっていた人とは思えない。
「やっぱり、ダメよ! 教え子に手を出したなんて、千野家や高宗家の名誉に関わるわ!!」
ですよね。
やっぱり、スキャンダルですよね。
こういう展開になるって分かっていそうなものなのに、何でリク、カミングアウトしちゃったかな?
うーん。先行き不安!
定期更新はここまで。
続きはしばらくお待ちください~




