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突然ファーストキスを奪った先生からいきなり溺愛されているんですが  作者: 清見こうじ


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遊園地の行列待ちでツラい過去の打ち明け話とかされたらどう反応すればいいんですか?!①

 色々モヤモヤしていたけど。


 お師匠さまに正式に講師を依頼させていただき、連休明けに最初の講習会が開かれることになった。


 そのあとのお稽古では、お師匠さまに特に変わった様子はなかったし、私の思い過ごしなのかな?






 ゴールデンウィークになって。


 今日は、1時間ほど電車を乗り継いでちょっと遠出。



 リクに言われた通り、今日はカジュアルな服装で。


 リクはこの間の高村先輩のコーディネートにプラスアルファして、薄手の濃青のパーカーに、淡い青のTシャツと、ボトムはウォッシュ加工のスリムジーンズに白のスニーカー。


 オーソドックスだけど、リクが着るとメンズ雑誌の「イチオシコーデ」みたいに決まる。


 髪型は無造作に前髪下ろして、顔は素顔。



 普通なのに、平凡なのに、何でこんなにカッコいいんだろう?

 

 隣に並ぶと、ちょっと引け目を感じる。



 私もリクに合わせて淡いピンクのパーカーに白Tシャツ、ボトムは濃ブルージーンズのミニスカートにスパッツと白スニーカー。



 髪の毛は今回は両サイドで編み込みおさげ。お姉ちゃんがやってくれたんだ。


「めちゃくちゃ可愛いけど、生足が良かった」


「思いっきり遊べなくなるし。ホントはジーパンにしようと思ったのに、リクが言うからスカートにしたんだよ」


「うー、まさかこんな防衛策を取られるとは、不覚」


「またそういうこと言うし。何かあった時、リクじゃない人に、スカートの中とか見えちゃっていいの?」


「ダメ! 絶対! ……そうか、そういう時、俺は見られないのか! サホ、英断だ。俺以外に見せちゃダメ」



 リクはどうしてもこういう会話を挟まないといられないのかな? 


「最近サホは冷静に対処してくるからなあ。言葉責めのしがいがない」


「リク! 言い方! 恥ずかしいから!」


「あ、やっと照れてくれた」


 ……楽しんでるわけね。


 スルーしよう思ったのに、結局翻弄されているし。


 


 電車に乗り継いで着いた先は。



 地元では結構大きな遊園地。


 さすがに混雑しているから行列もできている。



「サホ、最初はどれに乗りたい?」


「うーん、ジェットコースター乗りたいけど、待つよね」


「どうせどれも混んでるし、おしゃべりしながら待てばいいよ。じゃあ、まずジェットコースター行こうか」



 今日もリクとは手をつないで歩く。


 まわりもそんなカップルが多いせいか、この間よりは恥ずかしくない。

 

 予想通り行列だったけど、確かにおしゃべりしながらなら、わりとあっという間だった。


 普段、リクとは直接おしゃべりできないし、話したいことはいっぱいあったし。


「へえ、じゃあ、この間のツツジの写真を見て、すぐに拵えてくれたんだ。まだ食べられる?」


「うん。5月半ばまではお店に出すって」


「ずんだ餡か……想像しただけで旨そうだな」


「美味しいよ。豆も産地にこだわってるし。だから春夏限定なの。お父さんのこだわり」


「サホのお父さん、すごいよな。あと、秀さん、だっけ? この間の押し物といい、若いのにホントいい技術(うで)しているし。お父さんの秘蔵っ子なんだ?」


「うん。将来のお義兄さんになる予定」


「ってことは、俺の義兄にもなるわけだな」


「……気が早すぎるよ、リク」



 冗談でなく、結構本気なのが分かるので、始末に悪い。


 いや、それだけ私とのことを真面目に考えてくれていることは、まあ、嬉しいんだけど。



 愛が重い……なんてね、ちょっと言ってみたかっただけ。



 この間、ヤキモチ妬かれた時もそうだけど、困る気持ちと、ついにやけてしまう変な嬉しさが同時に押し寄せて、こそばゆい心持ちになる。


 乙女心は複雑なのサ。






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