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突然ファーストキスを奪った先生からいきなり溺愛されているんですが  作者: 清見こうじ


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おやすみの挨拶で色気より食い気な反応はいかがなものでしょうか?②

 ちょっと罠にハマった感じもしないではないけど、やっぱり嬉しい。



 クラスの男子達に、まだ何にもないのに、それでもヤキモチ妬きまくりで、どうにか私を独占しようと、色々妄想しちゃうなんて。



 それに。



 確かに最初の頃は、強引過ぎて、いきなり過ぎて、ちょっと怖かったりもしたけど。



 それを「悪かった」って思って反省してくれて。



 私のせいにされるのは困るけど、それだけ愛されちゃってるって思ってしまうと……やだ、「愛されちゃってる」だなんて、うふふ。



 1人でにやけていると、お母さんから夕食の時間だって声が掛かった。




 いけない、いけない。


 顔がにやけたままになってる。


 頬をペチペチ叩いて、でも、また別れ際のキスを思い出して、にんまりしてしまい。



「茶朋! 早く!」


 と、お母さんに怒鳴られるまで、私は思わずこぼれてしまう笑顔を必死で押さえ込もうと頑張っていた。





「あれ? お父さんは?」


「あ、今日は飲食店組合の飲み会ですって。お姉ちゃんも出掛けちゃったから、簡単にしたわよ」


 簡単、って言っても、普段はお父さんが品数欲しがるだけなので、私達にとっては普通の食卓。


 ご飯にお味噌汁に、おかず。


 今日は豆腐ハンバーグ。それと付け合わせのサラダ。



「お姉ちゃん、秀さんとデートなんだね」


「夜に出かけると、お父さんうるさいからね。いない時くらい羽を伸ばさないと。もう大人なんだから、放っておいてあげればいいのに」


「早く結婚しちゃえばいいのにね」


「そうよね。茶映も今年で22なんだし、まあちょっと早いけど、秀さんもいい年だしね」


「秀さん、今年で30歳?」


「まだ29。でも、今からプロポーズして、準備していたら、あっという間に30よね」



 お父さんがいると不機嫌になるので、こういう話は出来ないから、お母さんはいつもよりおしゃべりだ。



「もし、私に彼氏が出来たら、お父さん怒るかな?」


「怒りはしないけど、面白くないかもね。でも、茶朋は遠慮しないでいいのよ? 彼氏、出来そうなの?」



 これからもデートに行ったり、たまには遅くまで遊びに行くことだってあるかもしれない。



 お母さんを味方にしておいた方がいいよね?



「一応。今日、初めてデートした」


「やっぱり。いつもより気合いが入ってるな、って思った。どんな人? 写真ある? 見せて」



 今日リクのスマホで撮って転送してもらった写真をお母さんに見せる。



「あら、美少年! ちょっと大人っぽい感じね。でも真面目そうでいいじゃない? 名前、何て言うの?」


「……リク」


「まあ! 名前もカッコいい! いいじゃない?!」



 お母さんのテンション、高村先輩に似てる。


 あまりの好印象に、ちょっと引いちゃう。



「お父さんには、ナイショにしてね?」


「りよーかい。お姉ちゃんにも話しておきなさいね。あー、とうとう茶朋にも彼氏が出来たのね。しかもこんなに可愛い男の子。秀さんもイケメンだし。ラッキーだわ」


「お母さんの彼氏じゃないでしょ?」


「うちの娘の彼氏ってことは、未来の息子じゃない? それがこんなイケメン揃いだなんで、老後の楽しみ倍増だわ」



 なるほど。


 それでこういうテンションなのか。



 でも、お母さん。



 美少年じゃなくて美青年なんだけどね。



 男の子じゃなくて、もう成人なんだけどね。



 まあ、イケメンであることには変わりないので、あんまり問題じゃないよね?




「今度、お店にもお客様の振りして連れてきてね。あ、和菓子好きかしら?」


「大好きみたい」


「なら、今度おまけするから、絶対連れてきてね」



 何だか会わせる約束までさせられてしまった。


 まあ、お母さんは味方になってくれそうなので、よかった。




 夕食のあと、リクにおやすみメッセージを入れて、ついでにこの話をすると。




『絶対顔出す! そろそろ柏餅の季節だよな?』




 ……注目するの、そこじゃないよね?!

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