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突然ファーストキスを奪った先生からいきなり溺愛されているんですが  作者: 清見こうじ


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初デート中に他の女性に見惚れるなんて許せない!①

 リクの無防備な顔に夢中になって、ついパフェを二人で食べさせっこして。



 ……すっかり高村先輩と遠藤先輩のことを忘れていた。



『見ている方が恥ずかしいので帰るね』



 と、遠藤先輩からスマホにメッセージが入り。


 続けて、高村先輩からも。



『次はちゃーちゃんも一緒にラブラブコーディネートさせてね』


 


 慌てて階下を見ると、すでに先輩達の姿はなく。



「よかったじゃん? やっと自由に出来る」


「リクは十分自由にやってるでしょ? 先輩達がいないからって、おかしなことしないでよね」


「おかしなこと? それってなあに?」



 ニマニマ笑って言わせようとするけど、その手に乗るもんか!



「まあ、ともかく、この後どうする? 今さらお昼ごはん、ってのも何だし、どっか行きたいとこあるか?」


「そうだね。もう、お腹いっぱいだし。少し歩いて、駅まで行く? ちょっと雑貨屋さんとか見たいな」


「駅前か……誰かに会いそうでちょっと心配だけど。まあ、何とかなるか」


 そう言われると、ちょっと心配だけど。


「じゃあやめとく?」


「いいよ。いざとなったら、千野先生の弟、ってごまかしておけば?」



 なるほど、それはいい考えだ。



「じゃあ、偽名考えようよ」


「……何か楽しそうだな、サホ」


「だって突然訊かれてたら、絶対パニクるもん」


「いいよ、リクの弟でリクトにでもしておけば。サホは決めておいたってどうせパニクるし。名前こんがらがって呼びそうで怖い」



 リクの弟……リクオト………リクト。



 安直だけど、確かに間違え呼んでしまう心配はないかも。




 和風喫茶を出て、私達は駅前に向かって歩きだした。



「サホはどの店見たいの?」


「お稽古に持っていく巾着袋が傷んで来ちゃったから、新しいの見たいんだよね。だから、和系の雑貨があるお店がいいな」


「南口に、それっぽい店があったよな。そこに行く?」


「そうだね」



 駅前に着いて、リクと2人で和雑貨屋さんに入り、品物を見ていく。



「あ、これかわいい! 猫柄! あ、こっちも」


「手拭い? サホ、猫好きなの?」


「うん! せっかくだから、買っちゃおう」


「……巾着見るんじゃなかったの?」




 お店の入口から袋物コーナーにたどり着くまでに、つい色々目について寄り道していたら、リクがあきれたように言う。



「いいじゃない? せっかく来たんだから、色々見たいし!」


「やっぱり、サホも女だな。買い物が長い……」


「じゃあ、リクは外で待ってれば?」


「どうせ待つなら、サホと一緒にいる」



 ため息つきながら、それでもリクは付き合ってくれた。


 目的の巾着の場所にようやくたどり着いて、また私は悩みだす。


 色とデザインが可愛い萌黄色の花柄の巾着と、ちょっと大人っぽい濃青のモダンなストライプ柄のとで悩む。


 何か、いつも可愛い系ばっかり選んじゃうしなぁ。


「リクはどっちが好み?」


「えー、どっちも………………あ、うん、どっちかな?」



 どっちも、と言ったところで睨み付けたら、慌てて一緒に考え出してくれた。


 お父さんも、買い物に行くとこう言う返事するけど、男の人って、皆こんな感じなのかな?


 もうちょい真剣に考えて欲しい。



「うーん、サホの着物って、大体そういうタイプ? パステル系の」


「割りとそうかな。あんまり大人っぽい色や柄は、持ってない」


「だとすると、無難なのはその可愛い方だけど。大人っぽいのも気になるんだよな?」


「そうだね。そろそろこういうデザインのも、欲しいかな」


「でも、持っている着物と合わないじゃん? だったら、例えば、こういうのとか」



 リクは私が選んだのとは違う、抹茶色の巾着を手に取った。


 鹿の子柄の生地に、辻ケ花模様の端切れがパッチワークされ、少し古風なデザイン。



「これなら、どっちにも合わせやすいと思うけど」


「逆に大人っぽ過ぎない?」


「古典柄だから、多少背伸びしても合わないことはないと思うよ。色も淡いから、そんなに主張してないし」


「そう? じゃあ、これにしようかな」


 リクのおすすめに決めて、お会計に向かう。



「ダメだよ、リク。これは、私が払うの」


「いいよ、このくらい」


「ダメ! さっきも払ってもらったもん」



 財布を取り出したリクを制して、私は自分でお会計を済ませる。


「もっと甘えていいのに」


「ダメだよ。高校生なんだから」


 わざとらしく言うと、リクは「ちぇっ」と言いながら、財布をしまってくれた。



「じゃあ、せめて、何か記念になるもの、プレゼントさせて? 初デートの記念に」



 諦めきれず、とあるお店のウインドウの前で立ち止まり、展示してある商品を見つめる。



 ……やめてよ、ここ、貴金属品屋さんだよ。



「だったら、私も買う。お互いあげっこしよ?」



 私も買うといえば言えば、そんな高いもの選ばないだろうと思って、かつ、リクの視線を商品から遮るように首をかしげて覗き込むように言うと。




 


 



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