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突然ファーストキスを奪った先生からいきなり溺愛されているんですが  作者: 清見こうじ


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閑話休題~ワタシの知らない先生の事情 初めてのデート編~①

 ようやくこぎ着けた、中沢との初デート。


 高校生のふりをする、という今までの俺だったら、屈辱的な条件を、敢えて自分から設定して。


 でも、中沢となら、たいして苦でもない。むしろ、ちょっとした遊び心みたいな感覚で。



 あれほどガキに見られるのが嫌だったのに、中沢と釣り合いが取れるなら、むしろラッキー、みたいな。


 高村が妙に盛り上がってコーディネートするって騒いで、中沢にしか教えないつもりだった連絡先まで強奪された。まあ、学校で話せる内容じゃないし、仕方ない。


 

 最初はカジュアルなジャンバーかジャケットに、シンプルなパーカーかTシャツ、明るめの色のジーンズを準備しろっていうから必死で探したのに。


 ガキっぽく見られるのが嫌だったから、あんまりカジュアルな服、持ってなかったんだよな。


 そうしたら、当日家を出る寸前になって、オーダー変更が入った。


 少しカチッとしたジャケットかブレザー、インは白Tシャツ、ジーンズなら細身の黒、それかスリムな黒系のパンツって言われて焦ったよ。


 まあ、その方向性なら手持ちにたくさんあったので、すぐに交換できたけど。


 でも、高校生っぽくしたいのに何でわざわざスタイリッシュ系? とちょっと疑問に思ったが。




「大丈夫ですよ。今時の高校生はこのくらい大人っぽいファッション、普通にしますから」

 なんて言われたが、今回は中沢合わせてカジュアルだったんじゃないのか?


 が。


 中沢の格好を見て、納得した。


 っていうか、初デートで、何で着物なんだよ?


 行き先も決めてないのに。遊園地とかアトラクション系だったらどうするんだ?



 ………いや、マジ可愛いけど、さ。



 と言うか、最初は思わず見惚れたよ。


 5割増しくらい美人になっていた(俺比較)。

 


 少なくとも、初めて出会った時に空から降ってくるような勢いで走り回っていた女の子と同一人物とは思えないくらい、おしとやかで、艶っぽくて、見事な大和撫子に変貌していた。



 だけど。


 これ、大丈夫なのか?


 あんな落ち着きがない中沢が、こんな格好で1日大丈夫なのか?


 着崩れたりしたら困るんじゃないのか?


 胸が大きいと、着崩れしやすいんだぞ?


 ……想像したら、個人的に色々ヤバいことになった。





 まさか、遠藤の策略じゃないよな?


 着崩れるようなことをさせないために?



 だが、俺は簡単な着付ならできる。


 着崩れたら、堂々と個室に連れんで、着せ直してやる。


 どこの個室とは言わないけどな。



 残念だったな。バッチコイ、着崩れ!




「いえ。ちゃーは自分で着られますし」


 という遠藤の一言で、俺の計画はもろく崩れ去ったが。



 まあ、自分で何とか出来るなら、それはそれ。


 多少ハードにイチャイチャしても何とかなる。


 イチャイチャ出来る場所を上手く見つけないと行けないが。



 どこに行こうか?




 結局遠藤のおすすめで、春の公園というひどく健全な会場でのデートとなったが。


 でも、これが意外と楽しい。



 高校生の恋人同士みたいに、他愛もない会話で笑いあって。


 回りにバレないようにと、下の名前で呼びあったりして。


 着物姿なので、いつもより大人しめに静静と歩く中沢を……サホをエスコートするために、手をつないで。


 ツツジの花をバックにいつも以上に可愛いサホを写真に撮って。



 俺の写真が欲しいなんて可愛いこと言うから、目一杯くっついて自撮りしたり。


 そうしたら恥ずかしがって、顔を伏せて上手く映せない。


 でも、見かねた通りすがりのおばさん達にツーショットを撮ってもらえた。


 サホもおばさん達に気を遣って、何とか顔を上げてくれて。


「お似合いね」なんて言われて、めちゃくちゃ嬉しかった。


 恥じらうサホも、可愛いからいいけど。




 ああ、俺、今日何回、可愛いって言うんだろう?


 国語教師なのに、語彙力が崩壊してる。


 みんな、サホが可愛すぎるせいだ。あ、また。




 すれ違う男どもが、サホと歩く俺を羨ましそうに見るのを感じて、「可愛いだろ! これは俺の彼女なんだよ」って心の中で鼻高々で。


 ちょっとおばさん達にいい顔をしたら、ヤキモチ妬くし。それも、可愛い。


 色々言いながらも、サホも楽しそうで。



 歩いていたら、いい雰囲気の東屋を見付けて、上手くサホを誘導できた。



 ここなら、キスぐらいしても回りから分からないだろう。


 あわよくば、どこそこを触るくらいしても、大丈夫かもしれない。





 そんな下心満載でいたのに。

 




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