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夢の中ー見られてるー

作者: morley

夜のゲームセンターに友人に連れられていったときの話しなんだけどね。

僕は普段ゲームセンターとか行かないから慣れない場所にとまどってたけど、

パッと見ても周りに誰もいないから少し羽目を外してもいいかなと思いつつ、

友人に勧められたゲームをそれなりに楽しんでいたんだ。

しばらくすると友人が一人で盛り上がってしまって、

自分だけだとやっぱりなんだか手持ち無沙汰でさ、

あえてやりたいゲームも見当たらないから外の空気でも吸いに行ったんだ。

入り口のそばに自販機があって、

温かい飲み物でも買って気分を変えようかなあなんて財布を取り出していると、

外から店員さんが戻ってきたから変だなと不思議に思ったんだ。

だって、ゲームセンターって店員何人いるのが普通かわからないけど、

少なくとも店内一人くらいはいなきゃ駄目でしょ。

僕ら別に悪いことなんてしないけどさ。

まあ頭もちょっとすっきりしたから友人のところに戻ってみると、

ちょうど調子良い場面みたいで横でぼんやりと眺めていたときのことだよ。

僕らの場所から隣の隣のゲーム機のところまでさっきの店員さんが来ていてさ、

どうしたのかと思ったら、ただゲーム機に手を添えてこちらの方をじっと見てるんだよ。

一瞬あれ何かまずいことしたかなと思ったけど、

それがなんとも不気味な感じでまったく動かないから怖くなっちゃって。

友人はゲームに熱中していて気づいていないみたいでますます不安になってて。

ちょっと挙動不審気味にキョロキョロと周りを見渡して、

僕ら以外にも父と男の子の親子二人の客がいたけど他には誰もいないから、

友人のそばを離れるのも怖くて。

早く出て行きたくてしょうがなかったよ。


***


私、彼氏と駅からの帰り道に、ばったりと友達の女の子とその彼氏にあったの。

明るくてちょっと純粋というか天然というかで友達も多い子なんだけど、

今日は特別表情が明るくて幸せそうだななんて思ったら、

そばのお店からの明かりで気づいたの。

プレゼントらしきネックレスをすごく大切そうにしてるなって。

それをさりげなく言ったら、大事な思い出なんだって。


「ガチン」


そんなふうにちょっと話していたら、

このお店、ゲームセンターだったんだけど、からこっちを見てる女性の店員さんがいたの。

私はちょっと怖かったんだけど、

友達は顔色が悪くないかと心配して話しかけにいっちゃったんだ。


「ガチンガチン」


その女性、すっごい顔で睨みつけてきたと思ったら、

友達のほうに手を伸ばしてネックレス掴んで無理やり引きちぎっちゃって。


「ガチンガチンガチン」


私達みんなぼうぜんとしちゃったんだけど、

友達がいち早く動き出したと思ったら、叫び声を上げながらその店員さんにつかみかかっていったのよ。

あの子のそんな姿想像もできなかったからすぐに理解できなくて。

でも店員さんを地面に押し倒して首をしめ始めるから彼女の彼氏と私で頑張って引き剥がしにかかったの。


あとで私の彼氏に聞いたら、

倒れていた店員の女性がとっても晴れやかな笑顔で


「   」


って言ったっていうのよ。


***

「駅前の店舗、警察沙汰になっちまったらしいぜ」

「ああ、面倒なことになったな、うちの上司も大慌てだったよ」

「まあな、女ってほんと怖いよ」

「でもその子、周りの評判はすごく良かったらしいんだよね」

「女の子の本性ってわかんないもんだな」

「家族のためにって深夜帯シフトも率先して頑張ってたらしいし」

***


明け方になって、僕は友人とゲームセンターを出たんだ。

彼はこのまま電車で帰るって言って、僕はバスに乗るのでそのまま別れた。

徹夜明けの眠気を感じながらバスの時間をチェックすると、ちょっと急がないといけないくらいだった。

歩道をゆるく走っていて、前を歩いている人たちを追い抜いたときだった。

手を振ったときに子供に当たっちゃった気がしたんだ。

大丈夫かななんて思ってすぐ、ふと我に返って前を見ると、

ちょっと距離はあったけど車が真正面にいてこっちに向かって走っているのに気づいてさ。

車道に飛び出しすぎてるからびっくりだよね。

子供のことも忘れて急いで歩道に戻ってバス停に向かったよ。

よくよく考えるとあの子供、

親と一緒に並んでいたのに車道側を歩いていたんだね。

やっぱ親が車道側を歩かないとね。


 


ああ、今日もトイレの個室に隠れて頭を抱えている。

もう限界だ。

なんでこんなことになってしまったのか。

二つある洗面台の右側で手を洗っていると、めまいを感じて手をつき、うつむいて目を閉じる。

ふと、左隣に人の気配を感じる。


「総評」


横から大人の男の声が聞こえる。


「○○歳、身長○○○センチメートル、男性。。。」


さっきより低い位置から子供の声が聞こえる。


目を開くと洗面器が見える。ほんの少し。

ほんの少し、頭を横に向ける。


男の子と目があった。

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