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異世界(無人世界)転生?

全話、改稿しました。

無駄が削れて読みやすくなっているといいのですが。

 俺は、鈴木無一郎すずきむいちろう


 ごく普通のブラック企業つとめのサラリーマン……


 ……だった。


 生涯、独身。


 享年は記憶にないが、おそらく40代。


 記憶がないのは、死亡時の記憶を消去されて転生したせいと思われる。


 ……転生。

 


「転生かあ」



 突然の展開。


 いや。

 ある意味お約束でもあるが。


 やはり突然は突然。


 何というか。

 俺は、ネット小説で語られる転生もののような展開が死後に訪れる……

 

 ……と思っていたわけではなかったんだ。


 そりゃ。

 ネット小説の転生もののような展開があったらおもしろいな~そうだったらいいのにな~などと思っていなかったといえば嘘になる。


 現代日本人のお約束として本当に転生出来たら~などとシュミレーションをすることもあった。


 が。

 でもそれはあくまでシャレで……実際はそんなうまくいくわけなくて~と、半ばあきらめ覚悟していたんだが……



「そうか。

 本当に転生出来たのか」



 実際のこととなると、嬉しいより先に驚きが来るものだ。


 これは、そんなごくありきたりの俺の……それでも、ちょっぴり一風変わった……転生の物語である。






*****






「異世界転生ですか?」


「いや。異世界と無人世界の往復だ」


 

 最初に創造神がそう言った。


 

「え~と。

 無人世界というのはここですか?」



 返答しつつ、あたりを見回す。


 俺のいる場所は、無人の高速道路上だった。



挿絵(By みてみん)



 この場所は知っている。


 家の近所だ。


 高速道路上の橋だ。


 ただし、無人だが。


 車も一台も走っていないが。


 俺の地元は田舎だが、一応は県庁所在地。


 数分間も高速の上を車が通らないなんてことは……さすがにない。


 対向車線も一台も通らない。


 俺はその橋の上を歩きながら、スマホで通話しているのだ。


 だって。

 転生直後に創造神がスマホに電話してくるから仕方がないのである。



「君の地元をコピーした無人世界だ。

 この無人世界の食材を使って日本食グルメを広めてくれたまえ」



 今度は無人のスーパーに飛ばされる。



挿絵(By みてみん)



「深夜の24時間営業のスーパーの店内みたいですね」



 結構慣れた光景で、思ったほど驚かない。


 独身男の日常なんてそんなもんである。


 夜中にお酒やつまみを買いに来たものだ。



「でもレジのおばちゃんもいない。

 昼間なのに完全に無人ですね」


「そうだろう」



 時刻は午後3時。


 スマホで確認。


 さすがに真昼間にガラガラの店内はない。


 食材もいっぱいだ。


 深夜なら野菜も総菜も空のはずなので、昼間なのに間違いはない。

 

 やはり。

 ここは無人世界のようである。


 もともと創造神の言葉を疑っていたわけではないが。


 続ける、創造神。



「君を召還したのは、この異世界に日本食グルメを広めてもらうためもあるが……


 この世界で濃くなりすぎた僕の子孫の血を薄めたい、っていうのがあるんだ。


 この世界は、300年前に建国の祖となった、勇者の子孫たちが王族として暮らしているんだけれど、初代勇者を尊敬するあまり、近親婚が増える気配がある。

 初代、勇者って言うのは、言うまでもないけど、僕のことね♡

 そもそもこの世界は、







 日本の異世界ラノベ文化にハマった僕が、チート主人公ごっこをするために作った世界







 なんだ。

 当然、お約束のハーレムもやった。

 で。

 残された子孫たちがそんな状況ってわけだけど、可愛い子孫のために一肌脱ごう、そのために召喚したのが異世界人の君ってわけ」



 創造神は率直だった。


 ていうか。

 いきなり、ぶっちゃけた。


 どうやら。

 異世界の神々の間では、地球の日本文化が人気があるらしい(このへんはラノベでよくあるお約束展開なので驚かない)。


 違いは、創造神自身が主人公となった点だが、これも考えてみたら当たり前だ。


 見知らぬ異世界人をわざわざ召喚して美味しい想いをさせる必要なんかないもんね。


 そりゃ自分でウハウハ展開を味わうでしょう。


 メチャクチャ納得がいきます。



 もう一つ、新機軸があるとしたら……







 ……勇者がさんざんハーレムざんまいした後の話ということだろうか?







「確かに、300年もすれば、勇者の子孫が同じ子孫同士と好き合うってのはありそうな話かもしれませんね。

 俺、生前は転生もの小説が好きだったんですが、主人公ハーレムの子孫たちは、やはり主人公の面影を求めて、自然と子孫たち同士で恋に落ち、交際してしまうように思います」


「うん。

 僕もそこは考えが甘かったと反省してる」


「そこはフィクションと現実の違いでしょうか?

 というか。

 やってしまったものは仕方がありません。

 俺が、創造神様の子孫の血を薄めるという大役、お引き受けいたしましょう!」



「ありがとう、鈴木さん!

 本当にありがとう!」



 とまあ。

 ウヤムヤのうちで創造神のやらかしとラノベ好きを、おっけーとする俺。

 

 何故って?


 創造神の後始末=子孫の血を薄める=それはそれで俺もまたハーレム展開のご相伴にあずかれるのなら、まあまあ美味しいとは言える、と思うからだ。


 あとはあれですか。


 無人のコピー日本に転移可能な能力についてですが、ラノベでよくあるネットショッピング的な能力の変形でしょうか?



「うん。

 そこは数百年後、子孫たちの血が薄まってまたハーレムごっこが可能になって僕が異世界に遊びに行った時、日本食グルメを楽しめるようにその下準備だね♡」



 さいですか。


 どうやら創造神=初代勇者氏は、戦闘専門で知識チートというか、日本食チートにはうとかったようですね。


 自分でやれよ、なんて言ってはいけません。


 おかげで子孫の皆様をお約束の唐揚げやアイスクリームで喜ばせてあげられるのですから。


 うまくすれば、ご主人様ステキ抱いて!展開だってあるかも!



「わかりました。

 創造神=初代、勇者の建国した世界の未来は、この鈴木無一郎すずきむいちろうにおまかせください!」



 というわけで。


 この俺が心を無にして頑張る所存!なのでした。



「鈴木さんにはまず、魔物と戦闘してレベルUPをしてもらいたい」


「了解!」



 俺のやる気には理由がある。


 死亡年齢の記憶はないが、俺は40代……


 ……正直、頭髪がだいぶさみしいことになっている。


 髪はなが~い友達(ある意味、神よりも)だというのに、それが心もとないというのは……



「大丈夫。

 レベルUPすれば若返って髪の毛もフサフサになるから」


「それはやる気出ますね!」



 以上が、俺が戦闘に前向きなあらましである。


 正直、俺だって創造神の方針に無条件に賛同してるわけではない。


 色々、疑問に思う部分もないではない。


 例えば。

 俺の死亡時の記憶を消去してること、なんかは印象よくない。


 それでもひとまず、創造神を尊重しようというのは、ハーレムというオイシイ未来が待っているからだ。


 そのためには、若返って神(じゃなかった髪)がフサフサ効果を発動させねば。



「ちなみに。

 鈴木さんに死亡時の記憶を教えない理由だけど、生き返りの記憶が明瞭だと生死の境があやふやになってしまうからだよ。

 死に戻りありきでレベルUP狙いをされては困るからね。

 転生者とはいえ、あくまで一度しかない限りある命を生きて欲しいんだ」



「確かに。

 死んでも生き返れるとなったら、ゲーム感覚で効率重視で『死に戻りありき』の攻略方法をとりかねないからな」



 特にこれから戦闘となれば、 説明書を読まずにガンガン行こうぜ方式で特攻→死んでも死に戻ればいいや……なんて割り切った攻略スタイルをやりそうだ。


 生前の俺は、そんな性格をしてただろうという自覚がある。


 結構よまれてるんだなあ。


 そこはまあ。

 俺を転生させるにあたって、創造神も調査したんだろうね?


 となれば。

 見込んでくれた創造神に応えるべく、慎重の上にも石橋をたたいて渡るような攻略スタイルを見せるべきだろう。


 ……とまあ。


 髪は長~い前置きはここまでとして、こっから魔物討伐開始だ!



 ……俺は再び無人の橋の上に降り立つのだった。


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