100年後の世界で忘れられた聖女は、転生した元魔王に恋をする。
これは、100年間一人でいた聖女が恋をして、今に、未来に足を踏み出すお話。
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桃色の心ときめく桜が舞い散る優しい季節。春の陽気を乗せた風が、桜の木に囲まれた庭園の中、木製のブランコに座っている母子の元へ、そして手元にある本のページの間を駆けていく。
絵本の上には、瞳に桜の花が描かれた少女と、剣を握りしめて勇敢に立ち向かう少年、そして邪悪な形をした魔王の姿があった。
「……僕は負けないぞ!と勇者は最後の力を振り絞って立ち上がり、魔王に立ち向かいました。そうして、魔王の元に辿り着いた勇者は、見事魔王を打ち倒してみせたのです。こうして、世界には平和と平穏が再び訪れたのでした。めでたし、めでたし」
「お母さん!!もう一回読んで!!もっかい!!」
ブランコが揺れるぐらいに興奮した小さな男の子が、母親に絵本の再読をせがんだ。大きな瞳を輝かせて母親を見上げていた。
母親は笑みを浮かべながら、そんな息子の、紫色の小さな頭を優しく愛おしそうにゆっくりと撫でてやる。それから朗らかな陽気を浴びる庭園に咲き誇った桜の木を見つめると、指をさした。
「ジル。愛しい私の坊や。桜を見てご覧なさい」
「えー!なんでー?僕、絵本を読んでほしいよぉ」
母親は、そんな不服そうな息子を膝の上に抱きかかえ、ゆっくりと話し始めた。
「……今はもう……多くの人が、忘れてしまった聖女だけれど。お母様はね、春になると思い出すの。聖女を授かった我がネケルツィー王国だけが、こうして毎年、毎年、桜の木は咲いているのだから……。聖女への、世界からの祝福のように美しい桜が、今年もこんなにも素晴らしく咲いているわ」
ネケルツィー王国にとって本来なら聖女とその花の聖眼を彷彿とさせるはずの桜は、祝福と安らぎの象徴として毎年人々に親しまれているのだ。今では、ここにいる母親のように桜から聖女を結びつける者は少なくなっているのだけれど。
「……お母さん!どうして、どうしてみんな聖女のことは忘れてるの?だって毎年桜は咲いてるのに!」
「そうねぇ……魔王が倒れた後、聖女様の記録はどこにも残っていないから、だから……きっとみんなの記憶から薄れてきてしまったのかもしれないわね……。この絵本には特別に聖女のお姿を描いているけれど、他の絵本には勇者様しかいないのよ」
「ふーーん!よくわかんない!!どうして!?僕なら、やだなぁ。せっかくいっぱい旅をしていたのに。みんなに感謝されなくなっちゃうなんて」
「ふふっ。まぁ、ジルったら……。それではお母様と一緒に桜に向かって、聖女様にありがとうって伝えましょうね」
「届くのー?」
「えぇ……。届くわ。きっと、届くわ」
母親の膝の上、小さな幼児は手と手を合わせて、桜の木へ向かって感謝の念を込めた。きっときっと、100年も前にいた母が持つ絵本だけに描かれた、綺麗な瞳をした聖女様に届くようにと願いながら。
(綺麗な桜の形をした聖眼の瞳を持った聖女様に届いたかな?絵本と同じ黒髪で薄紫色の瞳で……。不思議と手を伸ばしたくなるような女の子なんだ……あれ?僕、は……)
「ジル!!?どうしたの?ジルセン!!誰かきて!ジルセンが倒れたの!!」
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——16ほどの黒髪の少女は、水が薄くはった白いタイルの上を裸足で歩いていた。水源である水が溢れるカメを持つ彫刻の側へと向かう。それから段差に気をつけて、ほんのりと白い蒸気が上がっているお湯の溜まった底が浅い円型の浴室へと足から体を沈めていく。
「く、くぅうううう!!んはー、やっぱりここを大浴場にしてよかったぁ。ごくらくじゃぁ……」
湯浴み用の衣を纏い、腕を上に伸ばして身体を温めるお湯に癒されている少女。濡れてしっとりとした黒髪には水滴が煌めき、薄紫色の瞳には聖女の証でもある“花の聖眼”と呼ばれた、桜の花を象った魔術紋様が浮かぶ。
「はぁぁぁ……。からだの力が、抜けてくよお……ブクブク……」
気持ちよさそうにお風呂に浸かり顔を緩める少女の、少し尖った耳が上下に跳ねる。
——彼女こそ、聖女。彼女こそが100年前、唯一桜の咲く国であるネケルツィー王国に現れた長寿の種族の血を引くハーフエルフの聖女リララ・フローニャその人である!
「んん、いいお湯だったー。はぁ、さっぱりしたぁやっぱりお風呂はこのくらい広くなくっちゃ〜」
お風呂から上がったリララは、脱衣所らしき場所で髪を乾かし、白と桃色の前の丈が短く後ろのスカート丈の方が長いドレスを頭からすっぽりと被って着替えると、黒髪を白いレースのリボンで簡単に飾ってからキッチンへと向かった。
「うーん、夕ご飯は作っておいたお昼のシチューを温めてっと……。パンもあるし、よし、充分ね」
彼女が指先を動かせば、魔法でお皿やお玉が動き出す。あっという間に側のテーブルは夕飯を食べる準備があっという間に整ってしまう。
ここ100年、リララは食事の用意などで地道に生活魔法を極めてきた。元々、神殿の祈りと浄化の間を建築して、あっさり大浴場に変えるのもわけないくらいに。
「うん、味付けも完璧!美味しい!」
広い神殿の中にある大きな食堂を使わなくなり、キッチン内にある木製のテーブルで食事をとるようになったのはいつからだったろうか、リララは思い出せない。
——だけど、確かな記憶もある。それはリララが100年間、ずっと一人で静かな神殿の中、暮らしてきたということ。
魔王討伐後、リララは王女と勇者に告げた。今後自分は聖女の身分から解き放たれて、ひっそりと暮らしていきたいのだと。願いを聞き入れた勇者たちは、リララのために彼女が生まれ育った、この寂れた神殿を改修して贈った。それ以来、少女は神殿を覆う結界の中でひっそりと、誰にも会うことなく暮らしている。
食後、神殿の庭園に行ったリララは、咲き誇る夜桜の中で神々しく輝く月を見上げた。
「……あなたたちのいない世界は、今日も平和よ……エレン、メルフィーア」
春になると思い出す。物静かな勇者を、恋に生きた王女を。
「……100年目の、春が来たよ。二人とも……」
こうして春になると少しだけ寂しくなってはしまうけれど、リララは今の生活を満足していた。はず、だった。
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「——な、ななななななな!?誰!?何しにきたの!?どうやってここを……」
哀愁染みた夜を過ごした翌日の昼のことだった。白昼堂々、聖女たるリララが張った結界を破り、誰も立ち入ることができないはずの神殿内に侵入した不届き者が現れたのは。
「——リララだ……。その黒髪、薄紫色の瞳に、桜の聖眼……!間違いない!リララだ!!」
「え?ちょ……ぎゃあーーー!?」
「リララ!リララ!!会いたかった!!」
リララは感極まったらしい紫色の髪の青年に、勢いよく抱きつかれ、卒倒しそうになりながら悲鳴をあげたのだった。
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それから3ヶ月か経った今。
侵入して来た青年は、未だ聖女の元に居座っていた。
「リララ、まーた庭園でアルバム見てるのかよ。どうせなら記録より、もっと目の前にいる俺のことを見ればいいのに」
「……ジルセン。あなた、そういうこと自分で言ってて恥ずかしくないの?」
「ははっ。リララが照れてどうするんだよ」
「こほん。ほんと、あなたが照れないでどうすんのよ……?少しは照れなよ」
屈託なく笑う青年にほとほと呆れつつも、自分の頬が指摘どうり熱いことに気がついては、リララはごまかすように咳払いをしてアルバムを閉じた。
「やだね!どーしても俺を照れさせたいなら、ゲームにでも勝ってからにしてくれよ」
「もう、なにそれ。じゃあ、こないだトランプで私が勝ったから、その勝利権限を使って照れてもらおうかなぁ?」
「げっ。そうだった……。あれはなし!ノーカン、ノーカン!なんなら今からでも勝負するか?」
「ふふ、はいはい。って、勝負はしないから!大体庭で勝負って……」
何をするんだと言いかけたリララに、ジルセンは大木を指差す。
「んー……。木登りとか?」
「ぜったい!!しない!!」
「ちぇー……あ、そうだ…‥俺、ミラがお昼ご飯ができたって言ってたから、リララを呼びに来たんだよ。早く行こうぜ」
「あ……うん……」
リララは、ジルセンの差し出しだ手に、そっと手を重ねた。
(……3ヶ月経つのに、100年ごしだからか、こうやって人と触れ合うなんて変な感じ……。あったかい……)
そっと、自分の手を引っ張る紫髪の青年を見上げ歩く。
ジルセン・ツィオード。それが青年の名前だ。ネケルツィー王国でも歴史あるツィオード公爵家特有の赤い目をしたジルセンは、次男でありながら王女を母に持つ。王族の血も引いているからか、その面影はどこなく王女メルフィーアをリララに想起させた。
「——どうして、あなたはここにいるの?」
「んぇ?リララに会いに来たんだって言ったろ?俺はリララをずっと探してたんだ。まー、アニキとの家督争いが面倒だったから……逃げてきたっていうのもホントだけどさ」
100年の中で秘匿された聖女の情報は、ジルセン曰く直系の王族だけが握っているらしい。となれば、直系の王族だった母親を持つジルセンがリララの名前も容姿を知っていたとしてもおかしくはない。
ないの、だけれど——、容姿以外の青年の“何か”が、リララに訴えてくるのだ。ジリジリチリチリと刻印が刻まれた瞳がずっと痛んでいた。
「答えてよジルセン。あなたは、誰なの?」
ジルセンは赤い瞳を悪戯げに光らせ、言った。
「俺は、ジルセン・ツィオード。元魔王で、生まれ変わってキミに会いに来たんだ」
「………。そういう冗談は言わない方がいいと思うけど……」
「冗談じゃないからな!?」
リララに正気を疑われたジルセンが子供のようにムキなって、自分が魔王だと主張した。勇者との対戦の内容、受けた傷の場所、己が配下に下した作戦の数々。
「あり得ない。あり得ないわ!じゃあ何?あなたを倒した腹いせでもしに来たってこと?!それとも、再び魔王になるために私を……殺しにでもきたの?」
「そんなわけないだろ!?俺は……俺は、リララのことをずっと探してたんだぞ。殺す為じゃない……。俺は、ただ、君に会いたかったんだ……」
自分の身を守るように胸の前で腕を組んだリララは必死に請うジルセンを睨み、後退りする。リララも、ジルセンが今は魔王ではないことは分かっているのだ。だって、ジルセンの瞳には魔王たるための魔眼はないから。魔王因子である魔眼の魔術回路がなければ能力値が高くとも魔王にはなれないから。
だけど。
だけど、だけど、だけど!!
「……しんじ、られるわけないでしょ……」
目の前のジルセンが、あの血も涙もなかった魔王が、自分の言葉で酷く傷ついた顔をした瞬間、リララは逃げるようにその場から走り出した。
いやだ、いやだ、いやだ——っ!
聖女リララは、生まれたその瞬間から聖女として生を受けた。聖女の証たる桜を模った花の聖眼が、赤子だったリララの片目に刻まれていたから。生まれた瞬間から、リララの魔術回路も、生活も、周囲の人間も何もかも、聖眼があるが故に他の人と異なっていた。
何故に、聖女がいるのか。どうして聖眼なんてものがあるのか。——全ては魔王が世界を脅かしているからである。魔王の存在が聖女を、勇者を生んでいるのだ。
「私は、私はっ。あなたがいたから、私は聖女なんかになっちゃったのに…!」
リララは苦しい気持ちを握りつぶすように、胸元を掴んだ。この沢山の気持ちを、どこに吐き出したらいいのだろうか。
(私は普通の生活をして、普通の人生を、送りたかったのに……!)
「……会いたくない……」
リララは、ジルセンに、これ以上何かを吐き出したくはなかった。
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「リララ様?こちらにいらっしゃいましたか……」
「——あ。ミラ……」
庭から逃げ出したリララは、その後、自室のベッドの中で丸くなっていたのだが、ジルセンが3ヶ月前に連れてきた侍女であるミラに見つかってしまった。
無表情のミラからは何も伺えず、リララは元魔王の一味だと、久しぶりに彼女を警戒して起き上がり、毛布にくるまった。
「……失礼しましたリララ様。ミラが不躾にも布団の中を覗き込んでしまって気分を害してしまいましたか?」
表情筋が一切動くことなく、ミラが頬に手を当てて首を傾げた。彼女の銀髪が肩からこぼれた。
(な、何考えているのか。ぜんっぜんわかんない……)
「ミラでよろしければ、どうかお話を聞かせてくださいリララ様……」
なぜだか、ミラにならば話せてしまえる気がした。
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「——なるほど……。それは、何というか、それほど難しくない問題なのでは?」
「え?」
何をミラが言っているのか分からない。リララは、碧色の瞳で真っ直ぐこちらを見つめてくるミラの視線に困惑してしまう。
「そうではないですか?ジルセン様が、元魔王でなければよかったのでしょう?ジルセン様が元魔王でなければ、もっと一緒に居たいと思っているご自分を許せたのでしょう?簡単な話ではありませんか」
(あれ?そういうことなのかな?私は、ジルセンが元魔王でなければ、もっと一緒にいたかった?ずっと、一人で居たいと思っていたのに……)
「——それ、って………。あ、あれ?えぇ?」
まるで、ジルセンに恋をしてもいい理由を探していたみたいじゃないか。
リララの頬が一気に炎のように熱く燃え上がる。ミラに見られたくなくて布団の中に潜って枕に顔を埋めた。
(う、嘘だ嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だあーーー)
布団の中で悶えるリララに、メイド服姿のミラが追い討ちをかける。
「ミラには、恋人がいます。ジルセン様がミラと共に連れてきたオルーノでございます。ミラは……気が付いた時にはもう、彼の隣に居たいと思っていました。言葉で表すのは、難しいですね……。いつも凍っているこの心が、彼の側にいると温かくなるのです……」
少しだけ布団から覗いたミラの表情は、恋する乙女のようだった。頬は桜色に染まり、幸せそうに微笑んでいた。
「こほん、ミラどもの話は置いておいて……。ジルセン様は元魔王かもしれませんが、リララ様の目に、どう映っていましたか?かつての魔王のような姿だったのですか?」
「ジルセンは……」
魔王の彼と今の彼とを、結びつけることなんてリララには全く出来なかった。
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数日間、ジルセンと喋らない生活が続いた。
「……ひ、一言も話しかけてこないんだけど!!謝りたいんだけど!!避けられてるんだけど!」
枕を振り回して羽を撒き散らしながら、ベッドの上で飛び跳ねるリララ。ジルセンのあの傷ついた表情を思い出しては、自分のせいだと分かっているからこそ心が痛んだ。そのまま、ベッドに倒れ込む。
「ごめんねって……言いたいんだけどなぁ……」
盛大にため息を溢したリララの耳に、部屋がノックされる音が届いた。ジルセンだった。
「——今から、勝負しようぜ!リララ!」
ニヒッとジルセンは歳よりも幼く笑ってそう言った。
「勝負?」
「ああ!俺が負けたら此処を出て行くよ。嫌だろ?元魔王がいたんじゃさ……」
目を伏せたジルセンは寂しそうなのに、仕方ないけどと言って笑みを絶やさない。
(あ……。胸が、痛い、かも……)
「……私が、負けたら……?」
「——— リララが信じてくれるまで、俺を、此処にいさせてくれ」
今すぐ、ジルセンに謝って、ずっと一緒に此処に居て欲しいと、リララの口がひとりでに動いてしまいそうだった。だから、僅かに空いてしまった唇をギュッと噛み締めて、リララはジルセンを見上げて言い放った。
「——いい、よ。わかった!その勝負、のってあげる!!」
勝負種目はトランプ。普通のババ抜きがジルセンとリララの間で行われていた。
勝負は、ジルセンは1枚。リララはババありの2枚。そして、次手はジルセンというところまで来ていた。
(ジルセンが、ババを取ったら私の勝ちかもしれない。ここで、ジルセンがハートのクイーンを取ったら……私の負け……)
リララが負ければ、ジルセンは取り決め通り、神殿に残ってくれるのだろう。
(ここで……負ければ……)
ジルセンの手がカードに伸びる間、リララは迷っていた。わざと自分が負ける方法だってあるのだ。それをするかしないか、負けるのか勝つのか。どうしたって、決められない。その間にもジルセンは一枚のカードを取って……。
「あ、くそーっ。ババかー」
シャッフルした2枚のカードをジルセンがリララに突きつけ、少女はどちらか一方を選ばなくてはいけなくなってしまった。
(ど、どうしよう。どっちを、取ったら……いいの?)
少女の鼓動が速くなる。ババならもう一度考えるチャンスが、ハートのクイーンなら、ジルセンは此処を出て行くことになる。
(お願い!!)
「———ぁ…………」
祈りながら引き当てたのは、ハートのクイーン。
リララは、声が出なかった。だって、少女は、カードを引く瞬間に“勝ちたくない”と強く祈ってしまったから。自分の気持ちはこれほど決まっていたのかと、驚きと相まってショックが大きい。
「あーー!くそ!負けた!自信あったんだけどなぁ」
「ざ、残念だったね。私の勝ちでジルセンの負けだよ」
赤い瞳で、それ以上見られていたくなくて、リララは身をよじった。早く、この場から立ち去ってしまいたい衝動に駆られる。
「ははっ、結構楽しい勝負だったな!!」
「そう……」
(いなく、なっちゃうんだ……。これで、本当に……。また、広い神殿で、10年も、20年も……ひとり、ぼっちで……。ジルセンがいない神殿で……過ごす?)
「まーこれで俺達は出て行くことになるわけだけど……」
「そう、だね……」
ジルセンの手が、リララの手を優しく握りしめる。
「敗者に、リララを此処から連れ出せるっていうお慈悲をくれないか?聖女様」
「そうだね………は?慈悲??」
素っ頓狂な声をあげて、リララは目を見開きジルセンを見つめた。
「ここからリララを連れ出す、その役目を俺にくれないか?」
片方の足を床に跪かせて、手を差し伸べてくるジルセンの赤い瞳が、不安と期待に揺れ動いていた。
今、リララには再び、2枚のカードが配られたのだ。“ジルセンと行くか行かないか”という二択から片方を選択しなくてはいけない。でも、ほんとに、それだけ?
だけど、他にどんな道があったとしても……答えはもう、決まっている。
「私を、ここから連れ出して……!」
「ああ!任せとけ!」
この日、リララは100年ぶりに神殿の外へと出た。そして、100年ぶりに出現した聖女の為の祭りが、この後ネケルツィー王国にて1週間ほど開かれることとなったのだった。
「ねぇ、ジルセン。私は——————」
ーーーーー あなたに、恋をしました。
○リララ・フローニャ
……ハーフエルフの血を持つ。100年前、春には桜が咲き誇ることで有名なネケルツィー王国に現れた聖女。
…黒髪に薄紫の瞳。片方の瞳孔には聖女の印であるの桜の花びらの形をした魔術網様が刻印されている。(聖女のみが持つ花の聖眼)
…ちょっとだけ耳が尖っている
…見目は16歳。白いレースリボンで簡単に髪を飾っている。前のスカート丈が短くて、後ろの丈が長くなったドレス白と桃色の清楚な衣装。
○ジルセン・ツィオード(18)
……ネケルツィー王国で歴史ある公爵家に生まれた次男だが、次期公爵候補となっている。長男とは家督争い中。実は聖女と勇者に倒され、転生した元魔王で、家督争いから逃れている
…紫色の髪に赤眼。アホ毛動く。
○ミア(27)
…リララが出会う侍女
…銀髪に、碧色の瞳。涙ぼくろがある。
○オルーノ・ドルブ(25)
…ジルセンの護衛兼執事兼幼馴染。いつもジルセンに振り回されている。
…水色の髪に藍色の瞳
…ミアが恋人
○勇者エレン・デリウス(18)
…元魔王を倒した勇者。旅の終了後は、王国の姫と恋愛結婚した。勇者の魔術網様は手の甲に現れ、太陽と剣の形をしている。
…赤髪、緑色の瞳
…寡黙気味
○勇者の妻の第1王女、メルフィーア・ネケルツィー
…勇者に一目惚れ
…桜色の髪に琥珀色の瞳




