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4th esercito  作者: 赤石火飛
7/7

Pagliaccio


一日中考えたが良い案が思いつかなかったので昨日は諦めて早めに帰宅し、ふて寝した。


さあ、今日も頑張ろう!

ついでにダンジョンも作ろう!


……。



作らないよ!?


思考誘導ヤベェ。



基地に出勤報告して今日も街の地図更新だ。


裏路地の廃屋(もちろん、抗争跡)を記録して、次へ進む。


って隣か。


こっちは住宅跡か。裏路地に一般住宅?

…日に当たってる場所無し。

…四方が倉庫に囲まれている。




この街ってこういう怪しい建物が多いから嫌なんだよなぁ。ある程度大雑把に見ても、多く感じるんだからやってらんないな。


一応廃墟みたいだし中身も見とくか。



「あー。まあ予想はしてた」


マフィアの偽装倉庫だね。

一般家屋を装った違法物品の隠し倉庫だ。



大量の木箱の残骸と明らかに怪しい薬の空瓶がそこらじゅうに転がっている。

机の引き出しを覗いてみると破れた帳簿のような物があった。

読める部分だけでもコール、葉っぱ、D、x、輪っか、お札。取扱禁止の薬物や魔道具の隠語だらけだ。


えーっと……、見なかったことにしよう。



さ、次、次。





ふと、思いついた



ので、仮病で早退した。




司令にはめちゃくちゃ嫌味を言われたが今更気にしない。



家に帰り、懐からダンジョンコアを取り出す。


触ると文字が浮き出る。

ダンジョン作成、モンスター召喚、ステータス表示。


確認したいのはモンスター召喚だ。


スライム、ゴブリン、ツブテ。

僕が召喚出来るモンスターは3体だった。


いや、粘液、ザコ、石ころで何しろと?

街中でもろにモンスターなんて召喚出来ないし、マシそうなのが石ころだけだし。


あの神様、無茶振りが過ぎないか?


とりあえず、召喚してみよう。

召喚して実物を見てみれば何か思いつくかもしれない。


それぞれを一体ずつ召喚。


『ダンジョン領域以外では召喚が出来ません』


そらそうだわな。

お試しで自室をダンジョンにしてみる。


100P消費された。

残り400P。


ええー。領域指定高すぎじゃない?


過ぎたことを後悔しても仕方がないので、モンスター召喚をする。


ツブテを召喚。


1P消費された。

安いな!?


召喚されたツブテは完全に石ころだ。

正直、本当にモンスターなのかすら不安になる程に石ころだ。


ステータスを見るとちゃんとモンスター扱いで種族としてはゴーレム系統らしい。

戦い方は体当たりでの殴打攻撃か。

まあ、そこはどうでもいい。

今気になるのはこのツブテの核、魔石だ。


ツブテをカナヅチで殴って殺す。

すまんな。こんなクズな僕に召喚された不運を恨んでくれ。


ツブテの残骸…死骸?が光の粒子になって消える。

残ったのは目玉ほどの魔石だ。純度も低い最低ランクの物で売ったとしても1合貨(レーガ)にもならないクズ魔石だ。




……。

あれ?思考誘導って言うか思考暴走してない?

いやいやいや!?ペース早すぎでしょ!!


あの神様、頭イカれてやがる。


思考に違和感を覚えずに早退してダンジョンを設置、モンスターを召喚したところまでは完全に誘導されてるな。

ツブテを叩き割ったのは…、理性が仕事したか?


グッジョブ、僕の理性。


だけど、どうしたものか。

自室をダンジョンにしてしまった。もし上級探索者を招く事があれば、一発アウトだ。そんな機会ないけど。


…今のところは、まだセーフか?



だが、作ってしまったものはなんとかしないと。


キャンセルは…、できるのか。DPが半分返って来るようだ。半分は消失か。

少し惜しいが背に腹は変えられない。キャンセルだ。


残りDP449か。

作る、作らないどちらにせよ。状況を動かすためにはこのDPが必要になるだろうし、無駄遣いを避けよう。


さて、どうしたものか。ダンジョンマスターになることは絶対でクーリングオフは出来ないようだ。

このままじゃ、また暴走してしまうだろう。

しかしその辺にダンジョンを作れば、いつ上級探索者に見つかるか分からない。自宅に作れば僕がそうだと言ってるも同然だ。


第三者を通すか?

誰を?


マフィアか。



バジリカータは止めておくか。


バレたら信用問題に関わるからなー。


本棚から街のマフィアの一覧表を取り出す。

これは資料編纂室の資料と連動していて、片方を書き変えると向こうも書き変わる。仕組みは情報分析部隊のものと一緒だ。去年、血掟(オメルタ)都市の更新の時にマフィアの詳細を逐一更新できるように端末として複製した。複製方法については資料編纂室に仕様書があったからそれを見た。

意外と簡単な仕様だった。


さて、なんか手頃なマフィアはっと?



…構成人数約二十人、クロトーネファミリー。こいつらでいいか。

主なシノギは違法煙草か。拠点は東部にある酒場か。


生け贄、決定。


外に出る。

外は既に夕方で意外と時間が経っていた。路地裏に入り周囲の人影が無いことを確認して身体強化魔法を使う。

その場で跳んで屋根に登って移動する。足音に注意して誰にも気づかれにようにクロトーネファミリーの拠点へ走る。ダンジョンの実験にするので誰かに見られるわけにはいかない。


走りながら、少しニヤけてしまう。


思考誘導とは別で楽しみの思っている自分がいる。


我ながら悪いことを考えていると目的の酒場に着く。

眼下でスーツの男たちが周囲を警戒している。


酒場の屋根に見張りがいないので、そこに跳び乗る。

ダンジョンコアを取り出し領域指定をする。

ポイントは300か。


残り149Pになるけど、これも必要経費だ。

クロトーネファミリーの拠点酒場が僕のダンジョン化したので実験開始だ。


領域把握。十九人か。今まで座っていたであろう椅子から立ち上がって辺りを見回しているのが一人。上位探索者がいたのか。弱小ファミリーかと思ったが、どうやら最低武力はあるらしい。


9Pを消費してコイツの周りにツブテを九体召喚。コイツに飛びかかれ!


「なんだ!?」


「ジョヴァンニさん!」


「石ころだと!?」


上位探索者がぶっ倒れたので他の構成員にツブテが飛びかかってぶっ倒す。外にいた警戒組も中に入っていってすぐに呻き声が聞こえた。

始まってから終わるまで一分。クロトーネファミリーは沈黙した。


周辺住民が入ってこないことを確認して窓から酒場の二階にに入る。

吹き抜けから一階を見下ろして倒れている構成員を確認する。一番傷ついている男が上位探索者か。多分、名前はジョヴァンニ。他に倒れている構成員を数えて合わせると十九人。領域把握で確認した人数と合っているな。


ツブテが僕の周りに集まってくる。意外と物理攻撃が高かったみたいだ。

テーブルに目をやると煙草のようなものがある。おそらくあれが、シノギの違法煙草だろう。一階に降りて見てみる。違法なので銘柄が書いてあるわけはないが、葉っぱの匂いと色からして取引数量が制限されているブラックバニラだろう。一回だけ正規品を吸ったことがあるが高い値段なだけあって美味しかった。


ごくり。吸いたい気持ちがあるが、やる事をやってしまおう。



酒場の出口を閉める。

構成員を縛る。ジョヴァンニは念入りに。

煙草は置いておいてモンスターを召喚する。

スライムとゴブリンを一体ずつ召喚。


スライムが2P、ゴブリンは20P!?高っ!


残りが118P。


行動は速やかに。

ゴブリンにナイフを渡してジョヴァンニの首、頸動脈を切らせる。呻き声をあげてジョヴァンニは死亡。ツブテたちにその他を殴殺させる。死亡。スライムには煙草を吸収させる。違法煙草には純粋なブラックバニラ以外に混ぜ物がされているから、十分な栄養になるはずだ。


ジャイアントキリング達成。ゴブリンがレベルカンスト。

ジャイアントキリング達成。ツブテ九体がレベルカンスト。

特殊薬物を吸収。スライムがレベルカンスト。


実験成功。


生まれたばかりのゴブリンは一分でホブゴブリンに進化した。ツブテは石人形へ。スライムはドラッグスライムへ進化した。


さて、何か特典はあるかな?


領域内での敵の排除で3000P獲得、

ホブゴブリンがスキルで隠密と暗殺を獲得、

石人形が突進スキルを獲得、

ドラッグスライムが薬物生成を獲得か。



ホブゴブリンはジョヴァンニの殺し方から会得したな。

今後は影の部隊でも作るかな?


石人形の突進も同様の獲得理由だな。

だが、こちらは使い所が思いつかない。少し保留だ。


ドラッグスライム、薬物生成が凄く気になる。

というか、もしかしたら僕の目的を達成出来るスキルかもしれない。


早速薬物を生成させる。


…。

…。

…。

コカイン、魔薬、マリファナ、ブラックバニラ、生姜、煙珠種、シックスカイ、沈気葉、キャメルパイン。


どうやらドラッグスライムが吸収した薬物を生成出来るようだが…、9個中5個が違法薬物ってあの密造煙草ヤバすぎだろ。


クロトーネファミリーやる気あんのか?

こんなヤバすぎが過半数のタバコなんてシノギになるわけがない。


これは僕がやらなくても近々崩壊か破滅してただろうな。






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