周りとのズレ
「え!?」
少女は驚き声をあげる。
「どうしたのポーラちゃん。」
「いえ、私元々心臓が五個だったんですけど、いつの間にか一個になってました。」
「理解に苦しむ、何故五個もあったのかが疑問だね。」
「体重もどんどん軽くなってますし、普通の人間になってるんだと思います。」
「どのぐらいなの?」
「今は100キロはまだ超えていたと思います。」
「わーーお。」
「あ、体重って普通は聞かれても答えないんでしたっけ?」
「う~んポーラちゃんは、別の意味で答えない方が良いね。」
「重いとは思っていたけど100キロ越えか、ポーラちゃんが私のベットに潜り込んでくれるたびに、ベットが軋むわけです。良かったですね兄さん、子供が屋台で買って来たヒヨコと一緒に布団に入って、買って来たヒヨコが生きてる確率をつかみ取ったんですね。」
「あー、うん、分かりにくい例えありがとう。圧死した状態で朝を迎えなくて良かったよ。」
「軽くなってますから、軽くなってますから~。」
「あの二人に任せて正解だったな。」
何処かのビルの一室で、ぬらりひょんの青年が独り言ちる。
「フフフ、随分と酷い人選よ。」
霧の奥から、白沢が現れる。
「あの嬢ちゃんは、何処か物事を美化し、極端になるふしがある。どーでもいいぐらいの適当な感じがちょうど良い。」
「そう……なのかもしれないわね。」
角の生えた銀髪の女性は、ゆっくりとその言葉に同意した。