第5章 第12話
『やっぱ広まっちゃってる?』
「公開当初は大した事なかったらしいんだけどな。
内容が内容だから口コミでじわじわ広がってるよ。
きっと数日後には相当広まってるんじゃないか?」
予定外ではあるが、この際ErsterSpielerにも名前が届くことを期待しよう。
そうすれば、最新エリアに辿り着いた時、すんなり話せるチャンスがあるかもしれない。
『ちなみに、シンカーが動画見た感想は?』
「知っていたつもり以上の化け物だった。」
『はは。セレが聞いたら、また怒りそうだな。』
「ところでスピラーさん。本題はそれじゃないんだよ。」
『あ、そうなの?』
「今、第8エリアにいるってことはアクセサリ装備できるようになったんだろ?」
『ああ、丁度クエスト終わらせたところで、これからボス倒しにいくとこだよ。』
「良かった。これが本題なんだが、俺が持ってるアクセサリ使ってくれよ。」
『それじゃシンカーが困るんじゃないか?』
「いや、俺はどうせ装備できねーから。」
『あぁ、そうか。第8エリア以降じゃないと装備できないのか。』
「俺がキャラ作り直してスキル狩り始めたのも、そもそもは
このアクセサリを手に入れちまったからなんだけどな。
とりあえず俺が納得いくスキル手に入れられるまでの間、
スピラーさんに貸しとくってことでどうだい。」
『ってことは、かなり効果の高いアクセサリってことなのか。』
「まーな。俺の持ってるアイテムの中じゃ、ぶっちぎりの超レアだよ。」
『いくら装備できないとは言っても、そんな超レアとか他人に貸して大丈夫か?』
「そこら辺の奴なら、絶対に貸さねーよ。あんただから貸したいと思ったんだ。
言ったろ?あんたはこれから強くなってく奴だって。
あの動画を見て、間違いなかったと確信したんだよ。
でも、あれのせいで今後間違いなくトラブルが増えるだろ。」
『増えるだろうな。頭が痛いよ。』
「有名税として付き合って行かなきゃいけないだろうが、
俺のアクセサリは、間違いなくあんたを助けられる一品なんだよ。」
『そこまで言い切るって、どんな効果なんだ?』
[Thinkerさんからトレードが申請されました]
[受ける] [受けない]
「見てみりゃ分かるよ。」
トレードを受けてみると、そこにはブレスレットのようなアイコンが。
[強化のアンクレット(固有スキル)]
『これって?』
「見たまんまだ。固有スキルの効果が強化される。」
『まじか。』
「発火能力だと、出せる炎の数が5個から8個に増える。
たしか武器に付与した時の追加ダメージ量も増えるはずだ。」
『おお、パーティー全員に付与出来るようになるのはいいね。
ダメージ追加もありがたい。』
「ちなみに、固有スキルを強化するアクセサリは、
ゲーム内でこいつを含めても片手で足りる程度しか存在しないぜ。
アンクレットは足防具に隠れちまうから、見た目重視の装飾品としては不人気だけどな。
効果だけを考えるなら見た目は関係ないさ。」
『ほんとに借りていいのか?』
「…なぁ、スピラーさん。これは俺の勘なんだが…
あんたの固有スキルって発火能力じゃないだろ?」
『なんでそう思うんだ?』
「動画もじっくり見させてもらった上に、
俺はありえない動きしてるあんたと、実際にやりあってるからな。
あれがチートじゃないってんなら、技術か固有スキルなんだろ。
スキルアイコンが表示されてないのだって、何か理由がありそうだ。」
やっぱり、あれだけ全力でやった場面を見られると勘づかれるか。
トレードウィンドウに [はい] を答えて話しかける。
『いずれバレるだろうし、良いもん貸してくれたお返しだ。
シンカーの想像通り、俺の固有スキルは発火能力だけじゃない。』
「だけじゃない?」
『ああ。発火能力は2つ目の固有スキルで、もう1つ固有スキルを持ってるんだよ。』
「待て待て!固有スキルが2つ持てるなんて聞いたこと無いぞ?
どうやって手に入れたんだよ?」
『まぁ、そこから喰いつくよな…。
これ、つい最近も説明したばっかりなんだよなー…めんどく』
「いやいや、俺はその会話聞いてねーよ!」
『ソウダヨネー…それじゃ、順を追って話せるとこは話すよ。』




