第4章 第20話
「エアスタさんは、強いだけじゃなく
凄く良い人らしくファンが多いんだ。
ただ、前にも話したことがあると思うけど、
エアスタさんの居るギルドは、ほぼ全員がランカークラス
と言って良いくらい強い人が集まってるんだよね。
そのせいでギルドには、その辺のプレーヤじゃ
加入条件に届かなくて、とてもじゃないけど入れない。
そんなこんなでいつの間にやらファンクラブが出来てて、
ファンクラブ同士での派閥みたいなのも出来ちゃってて。
血の気の多いファンクラブは親衛隊を名乗ってるんだよね。」
『親衛隊ってのはどんなことしてるの?』
「穏便な部隊なら、エアスタさんが欲しがってる合成用の素材を
集めまくって安く譲ったりとか。」
『ふむふむ。』
「エアスタさんの居るギルドと抗争状態に入った敵対ギルドを
無差別PKして回ったりとか。」
「それはあまり穏便でないわね…」
「HoneySwordの率いるSCARSって親衛隊は、
エアスタさんの動きを誰かが常に把握してて
例えばエアスタさんがボス倒しにダンジョンに行ったりすると
先行して他のプレイヤーを全部排除したり。
エアスタさんを誹謗中傷してるプレーヤーを見つけると、
所属ギルドごと粘着PKして謝罪か引退に追い込んだり。
一部のプレーヤーのリアルを特定して個人情報ばらまいたのも
SCARSのメンバーじゃないかって言われてる。」
『それ半年くらい前にニュースサイトで見た記憶があるな…』
「スピさんの場合、掲示板とかでも段々有名になってきてるから
もしHoneySwordの用件が親衛隊への勧誘とかであれば、
エアスタさんと会うチャンスもできるかも。
でも、名前もエアスタさんと似てるし、
なんか変な目の付けられ方しちゃったのかもなぁ…」
『うーん…
そんな過激な親衛隊への加入はお断りしたいところだけど、
ぜひ勧誘であって欲しいところだね。
もし目を付けられてたとしたら、どうなるかな?』
「そうだなー。
どっちにしても、多分宿の入口で誰かずっと見張ってて、
ここを出た瞬間、数人に取り囲まれるだろうねー。」
「勘弁して欲しいわね。」
ゲンナリしながらSeregranceが呟く。同感だ。
「ちなみに第8エリアでは、アクセサリの装備が可能になるんだけど、
クエストをクリアしないとアクセサリ装備が解放されないから
しばらくこのエリアに滞在することになるよー。
逃げ回ったとしても、どこかで捕まると思うよ。」
「親衛隊への勧誘であれば、交渉しつつこの先のエリアクリアも
サクサク手伝ってくれることになるだろうし、
目を付けられてるなら、きっとスピさんの想像通りだよ。」
『そっちは、かなり悲観的な未来を想像してたところだけど、
きっと同じか、それを超えるくらいに暗い未来なんだろうな。
どのみち、この先どうなるかは出たとこ勝負ってことか。』
「そうそう。文字通り宿屋を出たところから、ね。」
一度昼食のためのログアウトを挟み、待ち合わせたのが12時50分。
はたして。
万を持して宿屋を出てみれば。
「随分と長いご休憩でしたねー。
待ちくたびれてしまいましたー。」




