第4章 第13話
ズサッ
思わず飛びのく。
うかつだった。
周りは確認したつもりだったが、見られていたみたいだ。
「ふふっ、だから身構えなくて大丈夫ですよ。」
気が付けばHoneySwordの声はすれど、姿が見えない。
『command use skill slot number two end』
部屋の四隅と中央に火を灯すが、やはり見当たらない。
「発火能力の使いこなしっぷりも、見事なものですねー。」
「門番倒し終わったわよ。」
そこにSeregranceからのチャット。
「オッケー。じゃぁセレさんも小部屋に入ってね。
僕がボス部屋に入ったら勝手に呼ばれるから、待っててね。」
ドリッピーが続ける。
『待ってくれ、こっちの部屋に変なプレーヤーが』
「あら、時間のようですね。
また第8エリアでお会いしましょう、フィーアトさん。
あなたを見つけられて本当にラッキーでした。」
HoneySwordの声と同時に景色が遠のく。
視界が戻ると、暗く広い部屋に佇んでいた。
右隣に人の気配を感じる。ドリッピーとSeregranceだろう。
どうやらボス部屋に召喚されたようだ。
ひとまずメニューを操作して発火能力を発動し、
真上に火を灯す。
「おー、やっぱ発火能力って便利だねー。
普段なら、ランタンをいくつか配置するんだけどね。」
右隣にいるのはドリッピー。明かりを見ながらはしゃいでいる。
「ねぇ、さっきはどうしたの?何か慌ててるようだったけど。」
その奥にはSeregranceの姿。
若干心配そうな顔でこっちを見ている。
『門番を倒した後の小部屋で、
HoneySwordって名前のプレーヤーに会ったんだけど…
なんか俺を知ってるような雰囲気だったんだ。』
「んー、スピさん、自分で思ってるよりは有名人だよ?」
ドリッピーがあっけらかんと返してくる。
そういう意味ではないんだが…ドリッピーにも色々と事情を打明けてない以上、
細かい説明がしづらい。
やはり第8エリアに進んだら、一度きちんと話をしよう。




