第2章 第17話
思わぬところから便利なスキルを手に入れたが、
結局★★★★★スキルを目指すところは変わらない。
浮かれていてもしょうがないので、日々のルーティーンを再開する。
10000周。
ついに★★★★★の出現率が0.01%未満になった。
ただでさえ固有スキルは入手機会が少ないというのに、どういう確率設定をしているんだ。
12500周。
既にダンジョン30周が半日もかからずに終わるようになっている。
もう1年以上毎日同じことの繰り返し。
さすがに周回は飽き飽きしているが、仕事に関わる時間が増やせていることや、
武器同士の相性に加えて、色んな動作の硬直時間なども研究対象としたことで、
なんとかモチベーションが保てている。
15000周。
貯めに貯めた武器をまとめて強化してもらう。
貯めこんだ+30武器は50本以上。
今回は+40を目指して、全部無くなる覚悟で強化をお願いする。
1本目。+33で消滅。
2本目。+31で消滅。
3本目。いきなり消滅。
4本目。+36で消滅。
…
小夜香が都度連絡をくれるが、やはり強化職人をもってしても甘くないようだ。
15本目。+38まで成功する。
「どうする?
初めてこんなに成功してるけど、このまま強化しちゃう?」
『今回の目標は+40って決めてるし、そのまま行っちゃおう。』
…次の強化で消滅した。やはり甘くない。
22本目。再び+38まで成功する。
「じゃ、行くわね。」
成功。+39になる。
「次も良いのよね?」
『お願いします。』
「…」
無言でフレンドトレードが開かれる。
そこには[+40初心者の槍]と表示されている。
「成功しちゃった。」
『すげぇ!』
「これ、攻撃力とんでもないわよ。」
『おぉ…早く試したいね。』
「でも、まだダーメ。
まだ半分以上残ってるんだから、全部終わらせてからね。
3本以上+40ができるようなら、すぐに渡してあげるから。」
フレンドトレードがキャンセルされてしまった。
お預けをくらったようで寂しい。
25本目。
「あ、また出来ちゃった。」
37本目。
再びフレンドトレードが開く。
「なんだか調子いいみたい。」
[+40初心者の槍]
[+40初心者の短剣]
[+40初心者の弓]
『小夜香さん…すげーっすね…』
「うふふ、そうでしょう?そうでしょう?もっと褒めて!」
『素敵!惚れ直した!』
「えへへへ。」
『美人!最高!一生ついていきます!』
「だめ。私があなたについていくんだから。
だから、ちゃんと私を引っ張ってね。」
いきなり真面目なトーンで言われると照れる。
『が、頑張ります。』
「残りの装備も強化しておくから、試し切りしてらっしゃいよ。
ウズウズしてたでしょ?」
『うん、そうする。』
+40武器は笑ってしまうほどの攻撃力だった。
いつもの流れでサイクロプスの足を攻撃して怯ませるつもりだったが、
なんと足への一撃だけで倒してしまったのだ。
『だいぶえげつない強さになってるよ…』
「そうよねぇ。でもここまで強くなっちゃうと、
ダンジョン攻略には良くても対人戦だと目立ちすぎちゃわないかしら。」
『確かに…
そこらへんのプレーヤーなら間違いなく一撃だよね。』
「じゃぁ、+20、+30くらいで抑えたダミー武器も残しておきましょう。」
『なるほど。状況に応じた使い分けするのか。』
「そうそう。きっとあなたなら良いバランスで使い分けできると思うわよ。」
その日は、夕食時も風呂の中でも寝るときまでも、小夜香は上機嫌だった。
そして翌日。
『さて、日課やってくる。』
「あ、待って。私もインするわ。」
ログイン早々フレンドトレードが開かれる。
『あ、まさか4本目も出来てたのか!』
「うーん…1本目?」
小夜香からのアイテムを見てみると
[+45初心者のメイス]
『うわっ…またやったなっ!』
「またやっちゃった!」
『つーか…これまたとんでもない物を作ったね。』
「でしょー?なんだか、成功する時の予感が当たった感じ。
そろそろ失敗しそうだなーと思ったら、
何本か他の武器強化で失敗したりして、
また成功しそうだなーと思ったら、このメイス強化して。
勘が外れることもあったけど、できちゃった。
すごい?褒めてくれる?」
『そりゃもう、もちろんなんだけど、
驚きの方が強くて言葉がでないよ。』
「もう、こうなったら後はもう+50目指すしかないわね!
がんばるぞー!」
『お、おー…』
「じゃ、この武器は強化しておくわ」
『いやいやいや、使わせてよ!』
「だって、+40でもサイクロプス一撃なんでしょ?
とりあえず今は必要ないじゃない。
大丈夫、また作ってあげるわよ。」
小夜香さん…頼もしいにも程があります。




