第2章 第15話
幽霊状態から戻ると、そこは見慣れた蘇生ポータル…では無かった。
床も壁も天井も真っ白な世界。
「Dance with The Weaponの世界、楽しんでいただいているでしょうか」
ここは、チュートリアルの時に来たところか?
「1万回も負けていると、楽しくないかもしれませんね。
それでも長く続けていただきありがとうございます。」
システムのメッセージが1万回と言っている。
なるほど、これは1万敗目で起きるイベントということか。
「武器や防具が弱いのでしょうか。
強化の運が悪いのでしょうか。
それとも固有スキルに恵まれないのでしょうか」
はっはっは、どれも違うんだよ。固有スキルに恵まれないというのは、ある意味合っているが。
「そこで!
そんなあなたに、この世界からの特別なプレゼントです。」
なんだろう。ありがちなパターンだと、期間限定で使える強い装備とかだろうか。
「あなたには、特別に2つ目の固有スキルスロットが与えられます!」
『なっ』
思わず声が出た。
「2つ目のスロットには★★★のスキルまでしかセットすることはできませんが、
スキルの発動条件は1つ目のスロットと変わりません。」
隠された要素の多いゲームだとは知っていたが…ここまでとは。
しかし、2つ目の固有スキルがセット可能になるのか。これは大きい。
「え、スロットがあってもスキル自体が入手できない?
分かりました!
そんな欲張りなあなたには、さらにプレゼントです!」
何も言ってねぇ…
「2つ目のスロットにセットできる★★★スキルをプレゼントします。
表示されるウィンドウからセットしたいスキルを選択して下さい」
★★★ 守り上手
★★★ 暗視能力
★★★ 発火能力
★★★ 死者蘇生
★★★ 免許皆伝
なんと…★★★スキルまで貰えるのか。
唐突に降って湧いたイベントだが、重要なポイントだという事は理解できる。
一度じっくり考えて、整理しよう。
守り上手。両手武器による攻撃ガード時に盾と同じ効果が得られるスキル。
両手武器の場合、盾による防御効果と比べて1段階効果が下がってしまうため、
強防御態勢を取ったとしても相手の攻撃を弾くことはできないし、必ずHPを削られてしまう。
ノックバックによる後ずさりも、盾装備時の強防御態勢であれば防げるが、
両手武器での強防御態勢では防げない。
また弱防御態勢の場合、盾装備であれば転倒を防ぐことができるが、
両手武器での防御の場合は弱防御態勢であっても転倒の可能性がある。
守り上手があれば、そういう心配がなくなるというのは大きい。
ただし両手武器装備でしか効果が無いので、両手剣と槍装備時に限定されてしまう。
暗視能力。ダンジョンの中や夜のフィールドでも、昼と同じように見えるスキル。
松明やランタンが不要になるので、ダンジョン攻略やダンジョン内での対人戦では有利。
ただし、パーティーメンバーには効果が及ばないので、
パーティーで行動している時には、結局誰かが明かりを灯すことになる。
発火能力。最大5つまで火を発生させることができる。
発生させられるパターンは3種類。
特定のポイントに固定で浮かべるパターン。
自分の周囲に浮かべ、移動すると追従してくれるパターン。
武器に付与するパターン。
武器に付与する場合は、攻撃力が1.2倍程度に上昇するボーナスになる。
浮かべる火種の場合は、敵や味方が触れてもダメージになることは無いが、
燃やせるアイテムに触れた場合は着火する。
死者蘇生。文字通り死んだプレイヤーを蘇生できる。
対象となったプレイヤーはHPが半分の状態で蘇ることができる。
自分には使うことができない。
対人戦やボス戦で死んだ場合、本来パーティーが全滅しなければ戦績に負けはつかないのだが、
死者蘇生で蘇った場合、その場で戦績に負けが追加されてしまう。
免許皆伝。攻撃時のダメージの振れ幅がなくなり、武器の攻撃力の最大値が必ず出るようになる。
ダメージの振れ幅は、武器の技術熟練度の上昇に伴いだんだんと小さくなっていくが、
熟練度が低いプレイヤーが集まる序盤~中盤エリアでは輝くスキル。
暗視能力、死者蘇生、免許皆伝は無しだ。
暗視能力は自分1人しかメリットが無い分、発火能力でカバーできると考えていいだろう。
死者蘇生は使い方によっては強いのかもしれないが、
少なくとも俺が持って役に立つスキルではない。
免許皆伝も、きっちり熟練度をあげてカバーできることを考えると、
スキルスロットを埋めてまで手に入れたいとは思わない。
守り上手か発火能力。このどちらかになる。
対人戦の事を考えると、守り上手で両手武器装備時の防御面を気にしなくてよくなるのは
大きメリットな気がする。
発火能力は言うまでもなく★★★の大当たりスキル。
ダンジョン、フィールド、対人戦問わず幅広く活躍できるのは間違いない。
あぐらをかいて座り込み、自分のプレイスタイルも含めて考える。
ヒントは弓に持ち替えるという小夜香の戦い方だった。




