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わたしはできるだけ暗夢からの情報を引き出し、それを基にわたしたちは夜魅たちの居場所を探し回ることにした。
とはいえ、交通系が完全にダウンした街をやたら無闇に駆け回るのは、いささか無謀すぎる。
そのため、わたしたちば知恵を振り絞ることにした。
「暗夢から引き出した情報だけでは、夜魅たちの元には辿り着けない。けれど、夜魅と幼馴染であるわたしだからこそ、彼女の隠れ家が分かると思うの」
わたしは闇属性と化した暗夢を尻目で見てから、壁時計・光輝・水希の順に一瞥する。
「ところで、現在の時刻は午後六時を指したばかりです。つまり、残された時間は約六時間……とても、たっぷりと時間があるとは言いがたいわね」
わたしはここで言葉を切り、深くため息をついた。
わたしは気分を一転させ、光輝と水希を眼光鋭く一瞥した。
「地球、世界、そして人類が滅亡するまでに与えられた猶予の中、清水光凛という一人の人間を信じ、最後まで付いてきてくれるかどうか……二人に問います」
その答えは――。
「今さらなにを言い出すかと思えば、な……いいぜ。そのために、おれはお前の『従者』であり続けたんだ。そのくらい、覚悟と決意の上だってばよ」
「そんなこと、当たり前です。『執事』である以前に、わたしは清水光凛という親友を信じています。最後の最後まで、一緒ですよ」
「地球を――」
「救いましょう」
完全無欠なイエス、であった。
「……決まりね」
仏教面でわたしは頷いたが、心中では泣きたいほどに嬉しかった。
けれど、今は泣いて嬉しがる状況や場でもない。
厳粛に執り行うべきだ。
「これより、EWP救出作戦を開始します――」




