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光と闇の少女たち  作者: 飛騨仇義
第二章 狂いだした歯車

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13/41

2-7

 光輝の個室に入ったわたしはこれまでの成り行きを光輝に説明した。

 全てを聞き終えた光輝は涙を一筋流し、「世界のみならず、あいつらも変わっちまったんだな」と、その悲しき事実にしばらく茫然自失としていた。

 めったに涙を見せない光輝が泣いた理由には、きっと彼の両親が昏睡状態に陥ったことも関係しているのだろう。

 家族が覚めない眠りについたこと、それは水希だって同じなのだった。

 わたしは光輝が現実に戻ってくるまで、じっと彼を見つめていた。

 そのときだ。

 階下から神経質そうな怒声が聞こえ、すぐにわたしは何者かがこの星野家に侵入したのだと確信した。

「光輝! この家に誰かが侵入してきたみたいよ」

 光輝は落ち着き払った様子で、「あぁ……気づいてるさ。それも奴らは複数の女性だな」と、ベッド下の床に隠されていた金属バッドのグリップを両手で握る。

 そうこうしているうちに、“奴ら”は階段を上り始めたようだった。

 光輝は自分を盾にする形で、部屋の扉から少し離れた位置でバットを構えだした。

 だが、それも杞憂だった。

 光輝はバットを構える手を下ろした。

 そしてバットを床に置くと、彼はわたしを見る。

「どうしたのよ……まさか、相手が女性だから怖じ気づいたのではないでしょうね」

「水希と暗夢だ」

「なんですって?」

「怒声を上げているのが、きっと暗夢だな」

「…………」

 わたしはさきほどまでの警戒心を忘れ、部屋の扉を開け放った。

 目の前には息を呑み、わたしを食い入るように見つめる水希と暗夢の姿があった。

 なぜだか、無性にわたしは泣きたくなった。

 こんな人類を揺るがす大事件さえ起きなければ、わたしはこれまで通りに夜魅たちと遊び呆けていたのかもしれないのだ。

 なのに、なのに――。

「泣くのはあとにしてください、光凛さん。今はこちらが最優先です」

 わたしは我に返り、意識を現実へと戻す。

 気づけば、ひたすら暗夢が暴れているではないか。

 その暗夢を二人がかりで光輝と水希が押さえつけている。

「落ち着け……落ち着けよ、暗夢!」

「暗夢さんったら、どうか冷静になってください!」

 激しく暗夢は二人の束縛から抵抗し、「えぇい、離しなさい! このわたくしに天罰を与えようったって、そうはいきませんからね。恥を知ることです」と、なにやらわめき立てていた。

 現実に戻った。

 いや……というよりも、現実に戻らざるを得なかった。

 これが、わたしの今の現実なのだ。

「あなたたちは悪役ではないから、いい気でいるのでしょう。そうですとも、わたくしたちは悪役なのです。悪役……いいえ、わたくしは違います。あ、あ、悪役? 冗談じゃありません! わたくしは最後まで、『地球』の提案する方法に反対したのですから、違うはずなのです。そうですとも、そもそもわたくしは『女史』なのですから、断じて――」

「往生際が悪いわね、ともかく黙りなさい!」

 わたしは暗夢を一喝した。

 暗夢は動きを止め、目を見開いた。

 そして、ぐったりと伸びてしまう。

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