夢と希望の街
サタニアから得た情報を頼りに、カジノを運営するオーロへと向かう真緒達。そこで真緒達が目にした物とは!?
眩しい。それが第一印象であった。ある民家は壁を全て黄金にしていた。またある民家は黄金に宝石を付け加えていた。街の入口にさえも無数の宝石が付けられており、太陽の光によってより光輝いていた。
「ここが……“オーロ”……」
真緒達はそのあまりの豪華絢爛さに圧倒されていた。行き交う人々は皆、きらびやかな服装に身を包み、手や首には漏れ無く巨大な宝石付のアクセサリーが付いていた。
「何だか……ギラギラした街ですね」
「うん、何と言うかここまで金持ちアピールされてると、鬱陶しく感じるね」
「オラ、目がヂガヂガずるだぁ……」
「無理も無い。こう眩しくては、まともに目を開けられない」
今も細目にしなければ、街を見る事が出来ない。慣れるまでは時間が掛かりそうだった。
「と、とにかくこの街にあるカジノに行こう」
片腕で影を作りながら、光輝く街の中へと足を踏み入れる。
「お、お前ら旅人だな!?」
その瞬間、真緒達の目の前に汚ならしい格好をした男が現れた。
「そ、そうですけど……何か御用ですか?」
「か、金を出せ!!」
「「「「!!!」」」」
男は刃物を取り出し、真緒達に向けた。しかし慣れていないのか、刃先が震えていた。
「いったい何の真似ですか……」
「う、うるせぇ!! さっさと金を出せ!!」
刃物を向けた男は、じりじりと足を動かして真緒達に近付く。
「すみませんがお金を渡す事は出来ません。お引き取り下さい」
「わ、渡さないって言うなら刺すぞ!!」
「私達は行かなければならない所があるので、これで失礼します」
「ほ、本気だぞ!! 本当に刺すぞ!!」
「どうぞご自由に」
真緒達は、刃物を向ける男を無視して歩き出した。
「う、うわぁあああああ!!!」
男は錯乱しながら、真緒目掛けて刃物を突き刺そうとした。
「…………」
男の攻撃に真緒はサッと身をかわした。男はバランスを崩し、前のめりに倒れる。
「く、くそ……」
「諦めて下さい」
「うるせぇ……俺は……俺はまだ……まだ負けてないんだ!!」
「…………」
男はゆっくりと立ち上がると、刃物を振り上げ真緒目掛けて振り下ろそうとする。流石の真緒も腰に携えている純白の剣に手を掛ける。
「うわぁあああああ!!! ……あっ……」
「「「「!!?」」」」
その時突然、男は糸の切れたマリオネットの様に、その場に崩れ落ちた。
「いったい何が……?」
「お、おい……大丈夫か?」
男に意識は無かった。どうやら完全に気を失っている様だった。
「お怪我はありませんか?」
「だ、誰!!?」
声のした方向に顔を向けると、逆光を浴びながら人影が近づいて来た。
「ようこそいらっしゃいませ!! 夢と希望の街オーロへ!!」
「あ、あなたは……?」
目を凝らして確認すると、そこにはバニースーツを着た金髪の女性が立っていた。
「私はこのオーロにおける案内人です!!」
「お前がこの男を気絶させたのか?」
「はい、この街には『何人たりとも他人を傷つけてはならない』という規則があります。この男はその規則を破ろうとした為、強引ながら気絶して頂きました」
「そうか……今の攻撃、見えたか?」
「いえ、逆光のせいで何も……」
真緒達が警戒する中、バニースーツを着た女性が咳払いをする。
「おほん!! それでは改めましてようこそ夢と希望の街オーロへ!! 皆さんがこの街に来た目的は勿論、カジノですよね!!」
「あっ、えっと、そうです」
「そうでしょそうでしょ。それでは早速、街自慢のカジノへとご案内させて頂きます!!」
そう言うとバニースーツの女性は光輝く街の奥へと歩き出した。
「こちらです!! ついて来て下さい!!」
大きく両手を広げ、オーバーリアクションして手招きするバニースーツの女性。真緒達は周りに注意しながら、その後を追い掛ける。
「…………」
「…………」
「…………」
「……気が付いたか?」
バニースーツの女性に案内されている中、フォルスが問い掛ける。それに対して全員が静かに頷いた。
「えぇ、見張られていますね」
「街の入口がらずっど視線を感じるだぁ……」
「三……いや、五人以上いますね……」
眩しさから視界はボヤけているが、確りと感じ取っていた。街の入口からずっと見張られている。ありとあらゆる場所から視線を感じる。
「ご心配はいりません。これらの視線は敗者達による嫉妬なのです」
「敗者?」
「嫉妬?」
「はい、カジノと言えど所詮はギャンブル……勝つ者がいれば負ける者もいるのです。負けた者達は全てを失い、勝った者達に嫉妬の目線を送るしか無いのです」
「ま、まさかさっきの男は……」
「えぇ、恐らくはカジノの敗北者……嫉妬に駆られて金を奪おうとしたのでしょう。しかし気に留めてはいけません。彼らもまた負ける覚悟を持ってカジノに挑んだのです。自業自得というやつですよ」
「「「「…………」」」」
確かに同情は出来ない。破滅するまで止められなかった。自己責任なのだ。しかしそれを平然と言う目の前の女性に、真緒達は少なからず恐怖を抱いた。
「……見えて来ましたよ」
バニースーツを着た女性が向ける目線の先には、一際目立つ建物が建っていた。
「あれは……」
「あれこそがこの街を救った巨大カジノ……“オーロカジノ”です!!」
それはまるで宮殿。大理石で作られた柱が何本も立ち並び、余計な装飾は一切施されていない。壁を黄金にしている建物と比べると豪華に欠けるが、何故か他の建物よりも美しく感じた。
「そうか……他の建物がしつこい位に豪華だったのは、このカジノの純粋な美しさを際立たせる為……」
「このカジノのお陰でオーロは救われました。全ては“ギャブラー”様のお陰なのです」
「“ギャブラー”様?」
「ギャブラー様はオーロカジノにおける総支配人なのです。一年前、まだこの街の犯罪が謳歌する無法地帯だった頃、ギャブラー様は民衆の娯楽施設としてオーロカジノを建てました。それから一年、今では貴族や王族までも通う一大エンターテイメント施設になったのです!! 街には活気が溢れ、瞬く間に栄えて行きました。街が栄える一方、ギャブラー様は建物の設計や街の規則にも携わりました。そのお陰で街のありとあらゆる犯罪は無くなりました。ギャブラー様のお陰でこの街は救われたのです」
「成る程……となると、ロストマジックアイテムを持っているのはそのギャブラーという人物の可能性が高いな」
「そうですね……あのー、因みにそのギャブラーさんという方にはどうやったら会えるのでしょうか?」
「心配ございません。直ぐに会えますよ」
「えっ、それってどう言う……」
「さぁさぁ、ここで立ち話していても仕方がありません!! 中の方をご案内させて頂きます!!」
バニースーツの女性は有無を言わさず、カジノの中へと入る様に急かす。
「と、取り敢えず中に入りましょう……遅かれ早かれ中に入らないといけないんですから……」
「そ、そうだね……」
バニースーツを着た女性に急かされながら、真緒達は目的であるカジノの中へと入るのであった。
夢と希望が溢れる街オーロ。街を救ったオーロカジノ。
そんなオーロカジノの総支配人である“ギャブラー”とはいったいどの様な人物なのか!?
次回もお楽しみに!!
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