赤点の個数
試験期間が終わった。あとは答案返却を待つだけとなった放課後、叶楽のいる教室まで行って
「叶楽、テストどうだった??」
聞くまでもない質問を目に見えるほど落ち込んでいる叶楽に投げ掛ける。
「うぅ、ひどいよぉ、聞かなくてもわかるでしょぉ……?」
「あはは、今回もダメだったの?」
机に突っ伏していた叶楽が顔を上げる。
「毎回ごめんね、あんなに教えてもらって……」
「うぅん、大丈夫、それは私が好きでやってることだから」
「うっ、それでも申し訳ない……」
再び机に突っ伏す叶楽。
「今回は~、二個くらいだと予想する」
叶楽は毎回、試験が終わったあとは30点以下がいくつあるかを予想する。それより少なかったら私がご褒美にコンビニでお菓子を買うという寸法だ。
「おっ、いつもより少なめの予想じゃないですか」
「まぁ、でも今回はいつもより良かったかなぁ……?」
今度はさっきよりも勢い良く顔をあげた。心なしかいつもより表情が明るい。
「まぁ、返ってこないと結果はわからないけどさ」
叶楽はそう言って立ち上がった。
「ねぇ、今日はもうこれで終わりだし、帰りどっか寄ってこ!」
笑顔で提案する叶楽に、私もつられて笑顔になる。
「良いよ」
「やった!そういえばね、こないだめっちゃ雰囲気が良い喫茶店見つけたの!スイーツも美味しそうで~、……」
そうして、試験に対する様々な気持ちを抱きつつ、私たちは校舎を出た。
今回の試験、叶楽は赤点0個だったとご機嫌のようすだった。私もいつも通り上位に留まれたので何より。コンビニのちょっとお高い季節限定もののチョコケーキをプレゼントしたらとても美味しそうに食べてくれた。
無事に一学期の中間試験が終わった。
さて、次の行事は校外学習である。クラスが違うのが惜しいところだが、きっと楽しいものになるだろうということを期待して、うきうきしながら待つことにしよう。