日常と変化 1
物語が進むにつれて、コメディ色が強くなっていきます。ご注意ください。
「……苦しい……苦しい……。」
俺は自室のベッドの上で、か細い声を出していた。
心拍数が明らかに高く、肺が握り潰されているような感覚に襲われている。
「ハァ……ハァ……ハァ……クソッ……」
どれだけ懸命に呼吸をしようとしても、極細のストローを咥えて呼吸をしている様な感覚。
このままでは、死んでしまう。
意識が薄れる中、2日前の出来事が頭に過ぎるーー
ーー2日前ーー
居酒屋の裏口。
「お疲れ様でした〜」
アルバイトを終えた俺は、溜め息をつきスマートフォンを手に道路に向かって歩いた。
酒でも飲みたいな。あいつ暇かな?
とぼとぼと歩きながら友人と連絡を取り、公園で酒を飲む約束をして公園へ向かう。
友人より早く着いた俺は、銀杏の葉が落ちる夜の公園を1人で散歩していた。
「涼しいなぁ〜」
つい独り言を言ってしまう程、過ごしやすい気温。
大きな公園の割には人通りもなく、静かだ。
風が吹けば木々がざわめき、葉が落ちる。
そんな音と、自身の足音だけが聞こえる。
5分程歩いた後、3人掛けのベンチに腰掛ける。
哀愁漂うその風景の中、夜風を浴びていると色んな想いが出てくる。
高校を卒業して、なんとなく東京に出てきたけど、結局やりたい事なんて見つからない。
21歳にもなって目的の無いフリーター。
……何やってんだ俺は。
週5回アルバイトをして、休みの日は家でゴロゴロするか、飲みに出かける。
似たような事ばかりの日々が続く。
「刺激が欲しいな。嫌気がさす。俺……この世に要るのかな」
と、その時スマートフォンが鳴る。
ーーメールーー
(着いたよ。今どこ?)
(ちょっと公園内散歩してる)
(どの辺?)
(電話する)
電話をかけると友人がすぐに出た。
「もしもし?俺がそっち行くよ〜……うん……うん……じゃあ入り口の所行くね」