目覚めと困惑 1
ここは何処なんだ。
なんで気温がこんなにも違うんだ?
拉致でもされたのか?
身体が元気なのはなぜなんだ?
頭の中には沢山の『?』が並んでいた。
しばらくそのまま考え込んでいると、近くで話し声が聞こえるのがわかった。
俺はゆっくり身体を起こし、周りを見渡し、声のする方へ向かう。
どうやら俺が目を覚ました場所は、木製の塀と、何かの建物の外壁の間だった事がわかった。
なんでこんな隙間に捨てられていたのか。
建物の横からそーっと顔を出し、声のする方を見てみると、そこには女性2人がなにかを話している姿があった。
衣服はとても高級品とは思えない、むしろボロボロとも言える布の服。
楽しそうにお喋りをしているが、貧困街にいることだけはよくわかった。
言葉は何語なのかさっぱりわからない。
英語でも、韓国語でも、中国語でも、フランス語でもない。
全く聞いたこともない発音。
国外だ。
ここは日本じゃない。
しばらく2人を見ていたが、こちらに気づく様子はない。
ポカポカ陽気な住宅地で、外で井戸端会議。
比較的平和な場所なんだろう。
2人がいなくなるのを待ち、俺はこの場所を見て回る事にした。
俺が隠れていた建物の表側に抜き足差し足移動してみる。
入口の外側天井近くには、看板の様な物がぶら下がっている。
何かが書いてあるが、全くわからない。
お店か何かだろうか。
入口は全開になっていて、中に入れる様になっている。
そーっと中を覗き込んでみるとーー
「&%&$@%&%!!」
建物内の奥にあるカウンターから何かを言われた。
俺は怖くなり、再びこの建物の裏手に急いで逃げ込む。
怒られたのか?
でも、笑顔に見えたけど……
それよりもあの中はヤバイ。
数秒しか中を覗けなかったが、建物の中には、剣や槍などが多く並べられていた。
やばいやばいやばいやばい。
早くここから逃げよう!!
そんな事ばかりが頭を支配する。
気持ちを落ち着かせ、俺は、木製の塀伝いに逃げる事にした。
物音を立てない様に建物の横に行き、周りを見渡すと、ここは集落だという事がわかった。
建物の殆どが木製の小屋の様な作り。
所々に看板の様な物がある。
人は疎らで、そのほとんどが女性の様だ。
ん?
いや、待て。
ゴリマッチョなおじいちゃんがいる。
なんだあれ。
めっちゃ鍛えてんじゃん。
しかもなんで上半身裸なんだ。
ランニングしてるアメリカ人かよ。
あんなのに武器を振り回されたらたまったもんじゃないので、俺は急いでここを出る事にした。