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魔剣鍛冶の剣  作者: 霜月昴
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二人は出会う





 俺の名はミツル。小さな村の町外れに工房を構える鍛冶師だ。一年ほど前からここに工房を構え近くに住む村人の生活用品を作って生計を立てている。村人たちには包丁や鍬などを作る代わりに食糧を分けてもらっている。いわゆる持ちつ持たれつの関係だ。そんな俺のところに剣を作って欲しいと久々の客がやってきた。

 俺が庭で薪を割っているところを話しかけられた。

 「すいませんここに魔剣鍛冶の方がいると聞いてきたのですが」

 金髪のセミロングの少女、年は17、8か。年齢から見て平均的な身長と長い手足の女性できれいな体のラインと整った顔をしていた。ただ一つ「不釣合い」だと思ったのは黒く沈んでいたその瞳だ。どこぞの箱入りお嬢様かと思ったがその目がただの箱入りお嬢様でないことを物語っていた。その目をみて俺はすぐに分かった。


 彼女は ※※者 だと。


 俺を見る彼女は警戒心を出しつつも朗らかで明るい口調で話しかけてきた。

 「あなたが魔剣鍛冶のミツルさんですか」

 「俺の名前まで知っているなんて、あんた何者だ」

 「私はミネと申します。この手紙の方から紹介をされてここに来ました」

 そう言うと彼女は一枚の手紙を出す。俺はそれを受け取り内容を読む。

 「ギラの紹介か」

 「そ、そうですけど」

 「また厄介ごとを押し付けてきやがって!」

 ギラは俺の鍛冶修行時代の兄弟子だ。同じ師の元で技術を磨いたがこの兄弟子は他の弟子達と違って一癖も二癖もあった。その最たる例は様々な厄介事を持ち込んでくる厄病神のようなところだ。ギラの手紙を受け取ったとき俺はついその表情を強張らせたために彼女が怯えたことに気付く。

 それを気にせず兄弟子の手紙を読んで内容を把握する。要約すると「彼女を手伝え」と言う内容でいつもの「定期報告」は含まれてなかった。そして俺はミネと名乗った少女に依頼を断る旨を告げる。

 「どうしてですか!!」

 彼女は声を荒げて反論してくる。

 「お金ならあります!」

 「日用品に使う刃物類ならば金の問題が出てくるが、今回の依頼は金の問題じゃない」

 「じゃあどうして」

 「あんた、俺に魔剣を打って欲しいんだろう」

 「そうです。あなたは魔剣鍛冶なのでしょう?」

 少女は疑惑に満ちた目で俺を見る。俺が魔剣鍛冶であるか疑っているようだ。

 「魔剣とは何か分かっているのか?」

 「強力な力を主に与えてくれる剣ですよね」

 「その通りだ。ただし、無代償タダではない」

 「ですからお金をもって」

 「魔剣が要求するのは金ではない」 

 「それじゃあ一体何を・・・!!」

 そこまで言ってミネはなぜか頬を紅らめる。

 「ま、まさか、か、体を要求するなんてことは」

 そう言って自分の体を庇う体勢を取るミネ。彼女は歳のは17、8か。金髪を肩まで伸ばし整った顔立ちの彼女は贔屓目に言っても美人だろう。手足も長く体型も出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。

 「金も体も人間が要求するものだ。魔剣は魔力の塊だそんな魔剣が要求するものは一つ。あんたの魔力だ」

 「魔力それなら」

 簡単だと言う表情をする彼女に対して俺は正確に伝えることにした。

 「魔剣を使いすぎると魔力切れになる可能性がある。そしてそれは命を失う方だ」

 「!!」

 紅らめていた頬は一瞬にして青くなる。

 「い、命を失う方」

 「そうだ。だから魔剣を手に入れようなんて思うな。命を掛けるほどの事でもないだろう」

 俺は背を向けて彼女の前から去ろうとすると俺の腕を掴む手があった。俺は顔半分だけ振りかえる。

 「命を賭ければ魔剣をもらえるんですよね。でしたら賭けます。あいつを殺せるならこの命なんて安いものです。だからあいつを、ギロウを殺せる魔剣を打ってください!!」

 黒く沈んだ瞳で彼女は俺を見てそう言った。それで俺は先ほどおもった感想を思い出した。


 彼女は 復讐者 だと。


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