魔法・魔術の鍛錬と修行に入りました。 乳児が先生に対して容赦がありません。
ようやく!
ようやく家から出て、魔法・魔術の修行に入ります。
長かったような、短かったような気がするなあ、ここまで。
でもって、読者の皆様、もう気が付かれているとは思いますが。
主人公の魔力は魂の強さから来ているものなので、実は、とっくに数値99を超えています。
(そうじゃなきゃ、強く念じるだけで神様すら惹き付ける力ってのは、おかしいですよね)
てなわけで主人公も周りも知りませんが、表面に出る強さでは数値99ですが、これは氷山の一角だと思って下さい。
ちなみに、世界の理を決定している神様ですら、この事実は知りません。
知ろうとすれば分かるのですが、神様ですら、上限値を超える数値など無いと思い込んでいるからです(全知全能ゆえの無知ってところです)
これを説明しておかないと、後のストーリーで矛盾してくることに気付き、あわてて追加説明することにしました。
あ、サブタイトルは間違いではありませんので、よろしく(笑)
今日は、朝からウキウキ気分〜。
そう、ついに魅惑の「魔法・魔術修行」に入れるのだ!
出勤ついでに父さんに連れられて神殿へ行く。
神殿の朝は早いので、こんな早朝でも受付は開いている。
司祭様を呼び出してもらい、俺を司祭様に預け、父さんは仕事へ。
さて、いよいよ魔法・魔術の修行だ、オラ、ワクワクすっぞ〜。
その前に司祭様に確認しなきゃ。
「司祭様、今日から魔法・魔術の修行ですが、本当に大丈夫なんですか?僕に魔法・魔術の修行なんかさせて。数週間の後には審査官が神殿へ来るんでしょ?僕は審査対象ですから仕方がないですけど、司祭様に迷惑かからないですか?」
「ふふふ、一歳半の乳児の言葉じゃないですね、ラスコーニコフ、いえ、ラス。私は、こう見えても、昔は枢機卿まで行った男ですよ。まあ、あまりの枢機卿会議の堕落ぶりに辞表を出して、地方の神殿への左遷を自分から願い出たんです。だから、向こうにも知った顔が何人もいますし、私の実力も相当なもんなんですよ。まあ、君が邪神や悪神の信者だったらマズイですが、そうじゃない「神の子」ですから、こちらも堂々と審査を受けてやろうじゃないですか。それでも闇に葬ろうというなら、私も君と一緒に戦いますよ」
うおっ!
意外な司祭様の過去でした。
まあしかし、自分たちの利益しか考えない聖職者ってのは、実は一番、たちが悪いんだね。
でもって、この司祭様は熱血漢の正義の男でした。
「じゃあ、最初は、魔力の感じ方と操り方から始めましょうか。では、訓練場へ」
司祭様の後について、神殿地下にある魔法・魔術の訓練場へ向かう。
さすがに広い空間だ。
魔法や魔術の暴走モードになっても、神殿や街に被害を及ぼさないように、さらに結界で覆われていると聞く。
これなら、思い切りやっても大丈夫かな?
「では、ラス。これから君の魔法・魔術修行を始めます。まず、片手をこちらへ」
はい、と、片手を司祭様の方へ伸ばす。
「今から、君に向かって魔力の塊を放出しますので、それを感じ取って下さい。いいですか?それ」
むむ、何か手から腕、身体へと波のような、波動のような、振動のようなものを感じる。
これが魔力だろうか?
「司祭様、何か波動のようなものが手から腕、身体を抜けて行きました。これが魔力ですか?」
確認の為、聞いてみる。
すると、
「やはり天性のものでしょうね、大当たりです。それが魔力。人によっては塊のようだとか、ツブツブの集まりのようだとか、水のようだとか感じ方も変わります。君は、魔力を波動、波のようだと言いましたが、実は、それが一番、魔力を表す言葉なのです。魔力は目に見えない、捉えられないものですが、確かに「ある」ものなのです。では、その波の感覚を自分の体の中を探って感じてみなさい」
司祭様の言葉通り、自分の身体に向けて集中する。
何か、下半身(臍下の、いわゆる丹田と呼ばれる場所)から波動を感じる。
今まで注意を払っていなかったが、こいつは強力な波動、エネルギーだぜ。
「司祭様、その波動、確かに感じます」
「凄いなラスは。では、そのまま、魔力を手に導き、外へ放出させてみなさい」
丹田から気を練って気功を打つような感じかな?
俺は、昔の格闘技修行時代を思い出し、丹田からの波動を右手に導き、気功の要領で打ち出してみた。
ぼしゅ!
おかしな音と共に、手のひらが向いていた地面(少し離れた5mほどの地点)が、30cmほどの深さでえぐれていた。
おいおい!
ゲームじゃないぜ!
昇○拳か気○砲、下手すりゃ、か○は○波だよ。
司祭様と俺、しばし無言。
「素晴らしい!あまりの素質に、わたしも驚きで思考が止まっていました!これは初期修行は全てすっ飛ばして、本格的な魔法・魔術修行に入ったほうが良いですね。では、今日は無属性魔術、魔力そのものの操作と制御に入ります。これは全ての魔法、魔術の基本ですから、しっかりと会得するように」
「はい、司祭様!」
その後、お昼を挟んで全ての時間(父さんが、俺を迎えに来る時間まで)が、魔力の操作と制御に当てられた。
俺の魔力数値は99もあるので、あまり精神的には疲れなかったが、司祭様はかなり疲労していた。
俺に付きあわせて、ごめんなさい。
と謝ると司祭様は、
「いえいえ、こんな楽しい疲労は久しぶり。こんな疲れなら大歓迎ですよ」
と、荒い息継ぎで言い放つ。
そうそう、俺の魔力制御と操作能力については、かなり上がった。
最後には魔力の見えない玉を作り、その上に鳥の羽を載せて落とさずに移動させるという事まで出来るようになった。
司祭様に言わせると普通は、ここまで出来ないそうだ。
まさに神の子だ!
と絶賛されたが、実は俺は、この修行に先があると感じ始めていた。
魔力の操作と制御には、初歩魔法・魔術とは言えない隠されたものがありそうだ。
明日は司祭様に言って、その修行をやってみよう。