宿を決めて、あとは町をぶらつくぜい!
おまたせしました。
書き出すと乗るんですが、どうも主力じゃないので連続で書けません。
ノーンビリやります。
紅の薔薇亭……
あった。
でも、本当に大丈夫のか、これは?
貴族様方が泊まられるところじゃないの?
すっごい豪勢な宿屋が俺の目の前にある。
看板には確かに
「紅の薔薇亭」
と書かれている。
ここで間違いないはずなんだが……
「ゥヲン!」
ジャックが、あっちの方向へ行きかけていた俺の意識を戻してくれる。
あぶねーあぶねー、もう少しで白昼夢の世界に浸るところだった。
なんだか、薄汚れた格好の自分には合わないような気がビンビンするんだが、それでも紹介されたからには入らないといけない。
俺は、宿の前にジャックの首紐を結わえて、ここで待っているように言う。
そして、宿屋の扉をあけて、中へ入っていった……
「いらっしゃいませー。紅の薔薇亭へ、ようこそー」
黄色い声が俺を出迎えてくれる。
一瞬、ビクリとしたが、精神力を振り絞って耐える。
俺、女性には弱いんだよなー、だって、まだ精神的には乳幼児だぜ。
俺にとって母親のイメージが強い女性が、こうやって(仕事なんだろうが)媚を売ってると違和感が凄い!
「あ、あのー……冒険者ギルドで、ここを紹介されて来たんですが……」
どうしても気弱になってしまう(そんなゴツイ体してて、だと?フン、ほっといてくれ。こちとら、まだ生まれてから2歳なんだってば!)
「あ、ようこそ。こちらを紹介されるとは、さぞかし名のある高ランク冒険者様ですね。通常は、ギルド直営の宿屋を紹介されるはずですので」
宿のメイドさん(?)だろうか、俺を受付へ案内してくれる。
「はい、こちらで受付と宿泊する部屋の等級、及び宿泊日数の記述のお願いと、宿屋の説明をしますので」
出された紙束に、俺の名前とBクラス冒険者であること、予定では10泊ほどの予定であることを書く。
「はい、ありがとうございました。ラスコーニコフ様、ですね。宿の部屋は、どの等級がお望みでしょうか?スペシャルVIPルームから、一番安い屋根裏部屋まで、今ならお望みの部屋がおとりできます」
ふむ……
どうしようかな?
「料金体系は、どうなってますか?」
これを先に聞かないと、どうしようもない。
あまりに料金の高い部屋は好かない。
父さんの教育で、コストパフォーマンスの概念もあるからな。
「はい、それでは説明させていただきます。最高級VIPルームは、一日金貨一枚で、通常の部屋の4倍近い広さの部屋と、奴隷や執事などの部下が宿泊される部屋が続きです。通常部屋は銀貨一枚、屋根裏部屋は大銅貨一枚が一日の宿泊料となります」
「食事と、従魔の小屋は?」
「はい、食事は朝と夜が着きます。朝、この受付へ言ってもらえば、夜の食事を抜くことも可能です。その場合は、後で食事分の代金をお返ししますね。従魔の小屋は、別に用意してございます。厩の隣となりますので、ご承知おき下さい」
ふーん……
2食付きなら、結構割安だ。
俺の街の基準では高いが、ここは首都。
このくらいなら安いだろう。
「では、通常部屋を10泊分。金貨一枚、払っておきます」
「まいどありがとうございます。ご夕食は、どうされますか?ご希望でしたら、別料金ですが、ご用意できますけれど?」
この都市をぶらつきたいしな、夕食は別に食べるとしよう。
「夕食は、不要です。町をぶらついて、適当な食堂ででも食べますよ」
と言うことで、部屋の鍵をもらうと、まずは部屋へ。
ざっと確認をすると、外へ出て、ジャックを連れての町並み観光としゃれこむ。
とりあえずは、遅い昼食でもとるか。
俺達は、ジャックの鼻で美味そうな匂いのする店を探し、そこで昼飯を食べる。
もちろん、ジャックは大人しく、俺のそばでおすわりしてる。
「お客さんの従魔、賢いねぇ。これほど躾けられてる従魔は初めて見るよ」
「そうかい?ありがと。こいつ、ジャックの分も頼めるかな?あまり熱いのは犬だから食べられないんだ」
ということで、あるていど冷ましてもらった食い物をジャックに出してもらい、俺と一緒に食べる。
ジャックの鼻は正直だった。
この値段で、この味は奇跡だぜ、親父さん!
腹がある程度満足したので、俺達は他の買い物に出る。
武器と防具、魔道具の店巡りだよ、つまり。
首都だからね、期待させてもらうよ……