護衛中です。 今回は、対盗賊集団ですよ。
対人戦闘回、または、主人公無双回とも言う・・・
守備側が堅固な陣形を取ってるとは知らずに、盗賊集団が近づいてくる。
商人たちは基本的に戦う集団じゃないので、必然的に戦闘は俺達のような警護を依頼された冒険者や傭兵となる。
まあ、旅慣れてるリーダーがいるし、防御戦闘も手慣れた風に短時間で輪形陣に変わるところを見るに、相当に守備には手馴れているようだな。
では、俺達は盗賊の襲撃を退けるだけ?
いやいや、殲滅が基本でしょ、これは。
「げへへへへ……武器に防具、宝石に魔石まで積んでるじゃねーか。蹂躙しがいがあるってもんだぜ。おら!今回も死人に口なしで行くぞ!」
もう、根っからの殺人鬼もいるぞ、こりゃ。
護衛部隊は、それぞれが担当区域を目線と実力で決めて、そのエリアを守ることに注力する。
のが普通なんだが……
「さーて、と。新しい武器と皮鎧の調子をみますかね……行くぞ、ジャック!殲滅だ」
俺は、ジャックに一声かけると盗賊集団のボス目掛けて走りだす!
ジャックは、その隣にいる副官あるいは参謀目掛けて走る!
森の中を疾走しながら俺は新しく手に入れた妖刀に、魔力を200ほど注ぎ入れる。
妖しく発光し始める妖刀……そうかいそうかい、そんなに悪人の血が欲しいかい。
右手に妖刀、左手にナイフを持ち、更に疾走速度を高める。
もう、人間の速さじゃないけど、更に速くして……
ボスと交差した刹那、妖刀が奔る。
一瞬の後、ボスの首が胴体から転げ落ち、その後から血しぶきがピュー……
おお、噴水だ。
ジャックも、跳んだと思ったら副官の首を一瞬で噛み切っていた。
物も言わずに骸となる2人……
ボスの周りの盗賊たちも、あまりに一瞬のことなので理解不能になっている。
ジャックも俺も、隙を逃すようなことはしない。
目線で、それぞれの獲物を確認して、それからは血しぶきと血まみれ死体の連続生産ショーが始まる。
ものの1分も経っただろうか……
俺とジャックの周り、半径10mほどの円を描いて、首と胴が泣き別れになってる死体が20人分ほど。
ボスの周りを護衛で固めていたのが災いしたな、こいつら。
あっという間に実力者達が倒され、馬車を攻めようとしていた盗賊集団も、商隊に雇われた護衛集団の反撃に遭って数を減らしている。
ここにいる死体は馬車襲撃のための遊撃隊だったのかな?
まあ、力のある者から倒すのが兵法の理だしね。
俺とジャックは最初の人数からは大幅に減った盗賊集団の生き残りへ向かって歩き出す。
わざと遅く歩くのは逃げようとする奴もいるからだ。
そういうのはジャックに任せ、俺は馬車襲撃のリーダーらしき奴にターゲットを絞る。
さて、ちょうど良い位置だな。
「盗賊共、聞け。ボスも、その取り巻きも全て殲滅した。生き残りはお前たちだけだ。無駄な戦いは止めて、降伏しろ。そうしなければ、本当に全滅させるぞ」
あえて静かに声をかける。
きょとんとする盗賊たち。
そういえば、遊撃隊が応援に来てくれるはず……とかなんとかブツブツと喋っている。
俺は、黙ってボス達の死骸がある方向を指差す。
少し離れてはいるが、死体の山が目に入らぬわけがない。
生き残りは自分たちだけと、ようやく理解した盗賊たちは、黙って武器を手放す。
その後、盗賊のアジトへ案内させて居残りの半分も死体にすると、完全降伏してきた。
ちなみに、アジトには攫われてきたご婦人や子供、奴隷として売られる予定の男たちまで数10名の集団がいた。
その全てを商隊の空きがある馬車や荷馬車、盗賊達の遺品や生き残りは護衛部隊で武器や防具を取り(そんなに良い状態のものは少なかった……俺とジャックが倒したボスや取り巻き連中の装備は良いものだったが)
アジトにあった略奪品は商隊が管理することとなる(次の街で警備組織に引き渡すのだが、その時の分け前分配のためだ)
相当に大きな盗賊集団だったらしく、ようやく街へ到着して盗賊集団の壊滅を報告すると、大金と言える報奨金が出ると言われたらしい。
ちなみに、この報奨金は、商人は対象外となるようで、護衛集団で山分けとなるようだ。
山分けにすると、俺の功績に対して申し訳ないと他の護衛から言われたが、俺は、
「気にするな、今回の護衛任務は俺にとってはテストケースとなるんだから」
と言って、山分けで構わないと言っておいた。
商人たちからは、金銭欲がないな、とか言われたが。
実は俺は大金持ちだからね。
小銭は必要ないだけだよ。
とまあ、こんな調子で、商隊護衛の旅は続くのだった……