素材売ります。 尋常じゃなくても、俺は知らんからね。
亜竜の群れ討伐、完了。
素材を持ってギルドへ行きますが……
やはり、ひと悶着あります、お察しの通り。
荷車に亜竜の(ボス以外)素材、つまりは死骸を積んで俺達は街へ向かっている。
もう、護衛の狼達はいないが、こんな亜竜40匹以上の死骸を荷車に積んでいる俺達に向かってくるようなバカな獣や魔獣はいない。
時折、血の臭いに引かれた若い獣が近くへ寄ろうとしてくるが、俺達の魔力と強さを一目でも見ると、すごすごと引き上げていく(本能で俺達に敵わない事が分かるのだろうね)
行きにかかる時間よりも早く、俺達は街についていた。
野宿も安全なものである。
夜警はジャックに全て任せ、俺はギフトを使って気絶睡眠モードで幾晩かを過ごした。
街に入るときに、山と積まれた亜竜の素材を誰何され、説明に苦労する。
ジャックは俺のテイムした魔獣だと説明しているので簡単だったがCクラス冒険者とペットの魔獣の1人と一匹で、これだけ狩ったと言っても信用してもらえなかったのだ。
しまいにゃ、依頼書まで見せて、ほらこの依頼物件です!
と説明すると、冒険者ギルドでは依頼を受けない物件で有名だったらしく変なところで感心される。
「この依頼、受けて成功させるとはな。お前さん、とてもCクラス冒険者じゃないぞ。もう、Aクラス冒険者になったほうが良いんじゃないか?」
などと言われる。
冒険者ギルドへ到着するまで見物に来る奴が多くて困ったよ。
ジャックは唸るが、一般市民を傷つけるわけにいかないので、ジャックを落ち着かせるのが大変だった。
ようやくギルドへ到着!
受付に依頼書を提出し、討伐確認終了!
後は素材の買い取りなんだが……
「えーっと……あまりに多いので買取金額と依頼達成の報奨金は後日の支払いになりますけれど……」
小山のごとく積まれた亜竜の死骸(素材)を見つめながら受付嬢がつぶやく。
意識は、あっちのほうへ行っちゃってるみたいだな。
「あ、それで結構ですよ。では、明後日にでもギルドに来ますので、そこで一部でも支払ってもらえばいいです。それじゃ、この素材、どこへ運びますか?」
「え?あ、そ、そうですね。では裏の素材加工場へお願いします。あ、お手伝いを……」
「え?いりませんよ、このぐらいの重さの荷車なら俺とジャックで……よいしょ!そいじゃ、裏へ引っ張っていきますね」
ガラガラと大きな音を立てて小山のように積まれた荷車5台は、俺とジャックの手で引かれていった……受付嬢さんの顔色が普通じゃなかったのは気のせいだろうな。
「さて、と。ここに死骸を下ろして……(30分ほど経過)ほい、これで終了!ジャック、馬車と荷車、返しに行くぞ!」
ワフン!
とジャックが返す。
俺達は馬車に荷車を括りつけ、父さん母さんがいる商会へ向けてカッポカッポと歩かせる。
ジャックは手綱を持つ俺の横で、くつろいでいる。
ごくろうさん。ってなわけで俺達の初めてのお仕事は、これにて完了!
さてさて、次の依頼書は、どんなものになるのやら……