さて、用意は整ったんで・・・ 亜竜退治に出発だぁ!
主人公ひとりぼっちだったんで、一応は仲間を増やしましたが……
これって仲間というのでしょうか(ペットと、取り巻き?)
まあ、それはともかく!
ついに亜竜の群れ討伐に行きます。
貧しい村だ。
亜竜退治の依頼も、よく資金を捻り出せたものだと思う。
一匹だけだが、ボス一匹分の金額は、決して安くない。
どころか、亜竜一匹にしては破格の高額と言えるだろう……
一匹だけならな、あくまでも。
まあ、大歓迎をしてくれたし、亜竜退治に出かける俺に、精一杯のもてなし、翌朝は弁当まで持たせてくれたとは豪勢である(麦飯の握り飯三個と漬物少々でも、ありがたいよ)
昨晩の歓迎会も、精一杯のごちそうをしてくれたつもりなんだろうな……
俺が実家で食べてた料理のほうが美味かった&量があったのは言わないでおこう。
ま、これから俺が、この村々が貧しい主たる理由(亜竜の群れに頻繁に襲われる)を無くしてやるからな。
これからは赤ん坊も子供も亜竜に怯えること無く育つだろうよ。
俺は馬車と荷車を村に預け、ジャックと狼の群れを率いて、亜竜の巣に向けて歩いて行く。
もちろん、案内役はナタリーだ。
「なあ、ナタリー。なんでお前たちは亜竜に怯えながらも亜竜の巣の近くで村を作ってるんだ?もっと離れれば安全に暮らせるだろ?」
そう、俺が疑問に思っていたのは、この点だった。
「あう、それを聞くだか……オラ達は人里近くには住めね〜やつばっかし集まって村を作ってるんだわ」
「ん?人里近くだと、何か都合が悪いのか?犯罪者とか……じゃ無いよな。お前は普通に街に来てるし……」
「うーん……ラスさんに言って分かるだかな?悪神・邪神って知ってるだか?」
「おっ?!知ってるぞ。俺も、その関係で神様から祝福受けてる人間だからな」
「あ!ラスさん、神の子け!そ、それは申し訳ねーことをしただよ!」
ナタリーが土下座しようとするのを慌てて止める。
「そんなことしなくていいぞ。俺は悪神や邪神と戦うために神から祝福を受けたんだから……あ、これは秘密な。ごく僅かな人間しか明かしてない秘密だ」
「はあ、そうだったか……悪神や邪神と戦う運命を持った人なら確かに亜竜ごときは敵じゃねーはずだわな。オラ達は悪神や邪神に目をつけられた人間だ。他の人たちの迷惑にならねーように、どうせ死ぬんなら亜竜の群れと共に全滅すれば……と、こんな人も通わぬ森の奥に暮らしてるだよ」
「そうだったか……こりゃ、神のお導きかも知れないな。そうとなったら、悪神や邪神は、さすがに今の俺では対処できんが亜竜の群れくらいは退治してやるとするか。怯えるのは2つじゃなくて1つで良いだろうよ」
「うん!助かるだ。いつかはオラ達も悪神や邪神に見つかって殺されるかも知れねーけど、それ以外の亜竜や獣には殺されたくねーし」
俺自身にも言えることなんだような、この言葉。
早くレベルやステータス上げて神の域に達しなきゃ……俺にも2度めの死が待ってるんだ。
「そうだ。理不尽は1つでたくさんだ!2つも3つも理不尽があるなら俺はそれを1つだけにしてやる!」
待ってろよ亜竜!一匹残らず退治してやるからな!
と、ジャックが立ち止まり、臭いを嗅いでいる……
「ウウウウ……」
と低い唸り声を上げて、俺を見てくる。
そうか、亜竜の巣まで、もうすぐのところまで来たんだな。
俺は、ナタリーや狼達に物理結界をまとわせる。
当然、俺自身とジャックにも。
俺達は、臭いや音を消すようにして亜竜の巣へと忍び寄っていった……