お待たせしました。 冒険者になりますよ。
ついに第二部へ突入です。
冒険者になり、主人公のレベルは、どうなるのやら……
父さんの店で働き出して数週間……
ついに荷物も減ってきて、俺の働き口も無くなったと(父さんと口裏を合せているので)
納得づくでアルバイトを辞める。
ご主人(いわゆる社長さん?)からは、内々に
「うちの正社員にならないかい?給金はずむよ」
とか言われたが、いいえ、と断った。
この力、もっと活かせる職業に就きますから。
というと、納得された(まあ、剛力なんてもんじゃない力は、やっぱり冒険者向きだよね)
形だけ勤めてたが、その労働は評価されたようで、アルバイトなのに退職金も支給された。
何で?と父さんに聞いたら、
「ラスの働いた正規の給与だ。アルバイトとの差額だよ。社長の粋なはからいだ、貰っとけ」
とだけ言われた。
ありがたく貰っておきますよ。
父さんや母さんの働いてる店だけあって、本当に良い店でした。
冒険者になったら、この店で何か買わせてもらいます(あ、言っておくが、この店は食料品店ですよ。武器屋とか薬屋じゃないからね)
で、少しお休みをとって、今日は俺の誕生日!
とうとう、俺は今日、2歳になります!
ってね。
はあ、時間が経つのが遅いよ!
俺、もう成人体だって。
んでもって、とっとことっとこ、やってきました、冒険者ギルド!
今日、2歳になった今日、俺は冒険者登録を行い、新しい人生を送るのだ!
入口の扉を開けると、早朝の騒ぎは落ち着いたようで、ギルドの中は、それでも結構な人数の冒険者がいた。
おお、先輩方だね、これは。
突然に扉を開けて入ってきた俺に一瞬の注意は向けられたが、後は知らんぷり。
まあ、服も一般市民のものだし、武器も防具も持ってないから、注目は浴びないよね。
俺は、カウンターとおぼしきものの前に行き、
「すいません、冒険者登録って、ここで良かったんでしょうか?」
まずは低姿勢でね。
組織に喧嘩売っても、つまらないからね。
「あ、はい。ここで良いですよ。では、こちらの書類へご記入下さい。文字が読めない、書けないようなら、こちらで有料で代筆、代読しますが?」
そこまで俺は不勉強じゃないよ。
まあ、賢さの数値も4桁は行ってますが……
「あ、大丈夫です。で……質問ですが、全ての覧に記入しなきゃダメなんですか?」
「あ、差支えがあるのなら、最低、名前と種族、そして得意な分野……これは体術や魔法・魔術、あるいは斥候技能や弓の技能などですね。後は、差し支えなければご記入下さい」
ふむふむ、年齢とかは書かなくて良いのね。
まあ、2歳と書いても信じてもらえないのは分かってますからね。
名前と種族(人間)そして、体術と魔法・魔術の得意分野(基本と闇系統だけ書いておいた。あまり多すぎるのも問題となるだろうと思って)を書いて、受付に渡す。
「はい、ラスコーニコフさん、人族(人間)ですね。ほお、ダークエルフのクオーターですか。得意なのは、体術と……魔法・魔術の基本・闇系統?あまり聞いたことがありませんが、まあ良いでしょう。では、こちらへ片手をお出し下さい」
「ん?これで良いですか?」
「はい、では、この石版へ手のひらを当ててくださいね。あなたの魔力量と体力量を数値化したものを記しますので。これが、あなたの登録証の基本台帳と言うことになります。そちらには、これを簡易化したタグをお渡ししますので、それが冒険者としての証明になります」
スイッチを入れたか、魔力を流したか。
あ、デジャヴを感じたと思ったら以前に神殿でやった時と同じだ……
これ、壊れるぞ。
「んー……ん?ん?ん?ん?なんですか、この光!」
あ、思った通りだ。
俺の魔力量に、計測デバイスが過負荷で壊れかけてる。
まばゆい光が迸ったかと思ったら、石版が真っ黒になっている……
あーあ、中の魔力回路が焼き切れちゃったよね、これ。
受付の中はザワザワとしているな。
ここじゃ対応しきれないと見えて、奥へ人を走らせてる。
「す、すいませんね、ラスコーニコフさん。計測デバイスが不良みたいです。こちらではなく、奥で計測と証明タグの発行をさせていただきますので、こちらへどうぞ」
奥のドアを開けて、ちょっと変わった部屋へ通される。
壁やドア、窓も頑丈に出来ていて、少々の爆発や事故ではビクともしない部屋だ。
ここか。
ここなら大丈夫かもな?
「やあ、規格外の新人さん、いらっしゃい。受付の測定器だと、魔力や体力が3桁以上は測定不可能なんだよね。とは言え、今までは測定器が壊れることは無かったんだが……君の魔力量や体力は、果たして、どのくらいかな?」
「その前に、こちらから質問がありますが。受付の測定器が2桁までしか測れないなら壊れても当然です。俺の体力と魔力は5桁に届いてますからね。ただ、これを公言されるようなら、俺は、この支部を叩き潰すことになりますが?」
「ふむ……冗談で言ってるようには見えないね。しかし、魔力も体力も一万超えか。これでは、何も知らずに、こちらの測定器を使わなくてよかったな。こちらも3桁までの対応なんだ。みすみす壊してしまうところだった。ありがとう、正直に教えてくれて。この情報は漏らさないし、君の体力や魔力も、こちらで3桁の程よい数値に偽装しておくよ。言っておくが、3桁でも、もう魔王の側近クラスだからね?君の5桁は、もう魔王すら凌駕してると認識してくれたまえ」
あ、魔王ですら4桁クラスだったのね。
はいはい、ここに無敵の生物が誕生しましたよ。
後はひたすら、目指せ神様!
なのね。
「で、俺の冒険者タグは、いつ発行されますか?」
「うん、そのことなんだがね。普通は、すぐに発行されるんだが。君の場合は特注になる。数日……遅くとも明後日には発行するから、明後日でもギルドへ来てくれ。その時に、特別な冒険者タグを渡すからね」
「了解。じゃ、明後日、取りに来ますね」
ということで受付に戻る。
「向こうでは発行が明後日になるということなんで、明後日、タグを取りに来ますよ。よろしくお願いしますね」
「あ、は、はい。すいません、いろいろと不手際で……」
「いいよいいよ、そちらの測定器に俺が対応してなかっただけだからね」
「あ、あのー、それはどういう?」
「そのとおりだよ。じゃ、明後日ね。よろしくー」
ふう……女性と長く話すのは苦手だよ。
生前でも女性と話すのは苦手だったんだから(営業トークと営業スマイルは別。こっちは完璧にこなせますぜ)
俺は明後日を楽しみに、家に帰るのだった……
はい?
ギルドで初心者イジメのベテラン冒険者と揉め事?
そいでもって瞬殺?
そんな事、するわけないだろう。
できるだけ組織とは揉めたくないんだよ……
まあ、向こうから売られた喧嘩は100倍返しで買ってやるけどね(某宗教団体の某会議とか悲惨な目に会わせてやりましたが)