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さて、いよいよ神聖教会中央部へ入るよ。 手順はサクサク行きましょうかね。

ようやく、敵の喉元へ迫ります。

戦闘シーン?

いつものように死神が蹂躙するだけですよ。

いつものように……


あまりに抵抗が無いため(あったんだけど、盗賊や暗殺者じゃ、今の俺達には何の抵抗力にもならないよ)

すんなり着きましたとさ、神聖教会中央部。

今、俺達は厳重に守られている街の扉の前にいる(神の軍、一個大隊が人間の盾のように街の門を守っている)

どうしようか?

そんなに厄介な相手でもないから、力づくでも行けるんだがな。

などと俺が考えていると、司祭様と神殿長様が忠告してくれる。


「ラス、何を考えてるかは分かりますが、くれぐれも力づくは止めてくださいね」


「そうですよ。枢機卿会議を潰しても他の組織はそのまま使えますからね」


まあ、お二人共、慣れちゃったみたいですね。

枢機卿会議は潰す前提でおられる。

じゃあ、そういう事で枢機卿会議以外には優しく接してあげようかな?


「衛兵の皆様、ちょっと、こちらをご覧くださいませ……」


俺は簡単なマジック(手品の方だよ)を使い、一枚の金貨を自在に減らしたり増やしたりしてみせる。

ほぅ、という声と共に皆の視線が俺に写った時点を見計らい、瞬間催眠と集団催眠を共にかける。

漏れた奴は闇属性魔法にて精神を支配する。

あっという間に、神の軍から、俺達の軍隊へ移行完了。

俺が先導して中枢部、つまり枢機卿会議と法皇様のおられる(幽閉されてる)場所を目指す。

ちなみに今の俺のステータス、


人族ダークエルフのクォーター ラスコーニコフ 1歳

異名:人の形をとりし死神

レベル98 修行僧 なし

体力   6172(6172)

魔力   9799(9790)

素早さ  1953

器用さ  1289

賢さ   2009

魔法・魔術:

適合率(高)

無属性(99%)、闇属性魔法(99%)

適合率(中)

地属性(69%)、水属性(69%)、火属性(69%)、風属性(69%)、聖属性(60%)、光属性(59%)

適合率(低)

武器・防具:

適合率(高)

なし

適合率(無)

なし

ギフト:

恐れを克服する、己を超える、仲間を呼ぶ


自分で言うのも何だけど、負けるイメージが湧きません。

とりあえずムチャクチャなステータスだということは自分でも理解してますよ、ええ、生き物じゃありませんな、こりゃ。

一個大隊の兵士達と歩いてると当然に目立つ。

他の大隊に指令が飛び、俺達を止めようと他の門を守護していた大隊が俺達の方へ向かってくる。

俺がやることは変わらず。

瞬間催眠と集団催眠、それから闇魔法を混合した集団精神魔法を使い、我が方の兵士たちを増やしていく。

一時間も経たないうちに神の軍は無くなり、俺達「神の子の軍隊」が出来上がった。

その数、総数1万余。

完全に洗脳して、俺達の方が正義だと刷り込んだため、俺達に逆らう者に容赦がない鬼の軍隊となっている。

俺達3人は、とりあえず街の人民を安心させるため、神の子の軍隊を街の警邏に振り向ける。

相手は軍隊や人民じゃない。あくまでも「枢機卿会議」だけなのだから。

礼儀正しく警護につく兵士たちに人々は安心したようだ。

たまに強欲な貴族や商人が町民や商人、農民に手荒なことをしようとすると、たちまち兵士たちの制止がかかり、立場を理由に反抗しようものなら途端に切り捨てられる。

一部の貴族・商人は今まで袖の下で懐柔してきた兵士たちが急に「正義の使徒」となったのを不思議に思いながらも大人しくしている。

街の住民たちは、ようやく兵士がまともになったので不思議がりながらも好意的に見てくれている。

さて。

これで後は枢機卿会議を捻り潰すのと法皇様を助け出すことだけに集中できるな。

俺達は、また3人だけになるが、もう堂々と枢機卿会議のある法王庁へと向かい、歩いて行くのだった……


「ここですか、枢機卿会議のある法王庁の建物は」


俺の疑問に司祭様が答える。


「はい、この建物です。まずは法皇様を助けましょう。そして、枢機卿会議の無効を宣下していただくのです。そうすれば、後は何をしようがお咎めはありませんよ」


うわ、俺よりも真っ黒な人がいるよ。

神殿長様も同様に、


「ラス、まずは法皇様の救出です。それさえ成功すれば、後は君のお好きなように」


いやー、お二人共、過激になられてますこと。

さて!

いっちょ、ぶちかますかね!

俺は目の前の分厚い扉(鉄製で、とても重くて分厚そうだ)を、見えぬ刀で斬りつける。

キン!

という、小さな金属音と共に、分厚い金属扉が4つに別れて左右に崩れ落ちる。

ふっふっふ。

魔力刀は今日も切れ味鋭いぜ。

扉の中に衛兵がいるかと思ったが、誰もいない。

まあ、これだけ分厚い扉が破られるなら、数人の衛兵がいても無駄だろうがね。

俺達は、すたすたと法王庁へ入り、手近な扉を開ける。


「何の御用でしょうか?」


法王庁だから様々な部門があるらしい。

何も知らない、その人物に、枢機卿会議の部屋を聞いてみると、最上階だとのこと。

再度、法皇様の御住まいどころを聞いてみると、同じく最上階。

なんと、法皇様の部屋を閉じるように、枢機卿会議の部屋があるらしい。

これじゃ、簡単には法皇様を救い出せないはずだ。

俺達は礼を言って、最上階を目指す。

法王庁は通常業務を執り行っているため、最上階までは邪魔もなく、すんなり通される。

枢機卿会議の部屋の前ではステータスの高そうな衛兵が2人、ハルバードとバスタードソードを構えて立っていたが、俺が武器を小刻みに切り刻んでやると戦意喪失したようで、扉を開いて通してくれた。


「やあ、待たせたね、神の名を騙る悪の枢機卿会議の諸君!私は、ここに帰ってきたよ!神の子を連れて」


司祭様が高らかに宣言する。

そして、神殿長様も、


「私は一度は逃げたが再び戻ってきたぞ!我が子を幽閉しながらお前たちは悪逆の限りを尽くした!その罪、地獄で償うが良い!」


あら、神殿長様、前の法皇様だったのね。

まあ、よしとしましょ。

これで何の遠慮もなく、てめーら枢機卿会議をひねり潰せるってもんだ!


「前・枢機卿と前・法皇、そして、お前が「神の子」か。ここは、恐れ多くも法皇様直属の枢機卿会議の間なるぞ!神の怒りが下るのが恐いなら、ひれ伏せ!」


あ、太った豚が何か言ってる。

とりあえず、魔法を放ってきてるから打ち消しておくか。


「な、何だと?!なぜ、魔法も魔術も効かぬのだ?!」


驚いてる驚いてる。

この隙に神殿長様と司祭様には幽閉された法皇様を助けに行ってもらう。

上手いことに今の魔力打ち消しでびっくり仰天して枢機卿会議の奴らは他に目が行ってない。

俺は高らかに宣言してやる。


「腐りきった枢機卿会議の面々よ。我は神の子である、ただし、死神の、だ。お前たちの死刑は決定している。潔く死を受け入れるか、あがいてあがいて惨たらしく死ぬか、どちらかを選ばせてやるぞ。さあ、どっちがいい?」


ーーーーーこれより、枢機卿会議の方の視点ですーーーーー

1,

不思議な男が自分は死神の子だと宣言した。

奴には、どんな魔術も魔法も通じない。

こちらが、いくら魔法を放とうとも、その度に無効化されてしまう。

通常、無効化には、その魔法以上の魔力と繊細な制御が必要とされるが、あの男は普通に高度な魔法・魔術無効化を行っている。

それも、こちらは10人近いのに、奴は一人で対応している。

他にも2人いたはずなのだが、今は他の2人にかまっている暇など無い。

この男に、枢機卿会議そのものが手球にとられようとしているのだ。

一人、又一人と、魔力の消耗で気を失っていく者が増えている。

なのに、奴は平気……どころか、まだまだ底の知れないほどの魔力があるようだ。

ふと気がつく。

奴は笑みを浮かべていないか?

この、命のやりとりをしているような時に、微笑みから笑顔になり、今は完全に笑っているようだ。

私は、ようやく気づいた。

遅かったかも知れないな。

あの男は、まことに「神の子」だ。それも、疑いようもなく「死神」の……

枢機卿会議は、やり過ぎたのか。

私もそうだったが、ここにいる者は皆、神という絶対者など信じていなかった。

しかし、神は存在していたのだな。

そして、神の名で悪事をなす者達に、ついに鉄槌を下すことを決められたわけだ。

ここまで力の差がある戦いなど、もう戦いとは言わない。

これは蹂躙だ。

我々は小さな虫けらだったのだ。

それが思い上がって、自分たち以上の存在などいないと確信して、思いのままに神の名を騙り、不善をなした。

いいだろう。

もう、私の腹は決まった。

死を受け入れよう。

2,

我の、我の魔法が効かぬ。

この魔法で、幾人の政敵を闇に葬ってきたことか。

目に見えぬ風の刃で、密やかに確実に相手の喉を斬り裂いてきたというのに、此度は全てが無効化されてしまう。

そんな、そんなバカなことが、あるはずがない!

もう、数十回は風の刃を放った我に、もう魔力は残っておらぬ。

しかし、奴は底なしの魔力でもあるというのか、余裕で笑っておる。

笑い?

命のやりとりをしているというに、笑うか。

この勝負、我の負けだな。

この状況で笑える余裕など、我にあるわけがない。

やはり、あ奴は死神の遣わした者であったか。

この身は金と権力に塗れたからな、死を賜っても当然かも知れぬ。

後悔は……あるな。

この後に及んでも、まだ死にたくない思いがある……

3,

こいつ、本当に死神の化身か?

儂の魔力が追いつかぬほどの底知れぬ魔力じゃ。

こやつが神の使いならば、人間が敵わないのも当然じゃろうが、儂は足掻いてみせるぞ!

あやつ、笑っておるな。

声を出して笑っておる。

バカな人間たちが、愚かにも神の名を騙って金と権力を恣にした報いをもたらすために来た死神か。

儂は、儂は足掻くぞ!

魔力の続く限り、あやつを倒してみせるのじゃ!

ん?

何か、見えぬ剣を振るっているようにも見えるな、あやつ。

儂の前に来た!

見えぬ剣で、儂を斬るつもりか!

この、枢機卿会議議長である、この儂に剣を向けて、生きていられるとおも


ーーーーー枢機卿会議の視点、終了ーーーーー


はっはっはっはっは!

爆笑物だったよ、この戦い。

初めからステータスを見てたら、もう少しは手加減したんだけどな。

いやー、弱かった弱かった!

枢機卿会議って、いかにも悪の組織の総元締めみたいな名前だから、もうちょいと強い奴らがいるかと思えば……

これなら審査官や審問官の方が、よほど強かったよ。

なあ、弱っちい悪の元締めさんたちよ。

一応、寿命が尽きた爺さんたちは全て殺すか、瀕死の状態だ。

一人だけ若い奴は俺の魔力吸収でヘロヘロになっているが、生かしてある。

全ての悪行を白状して、罪状を法皇様に決めてもらうためだ。

全てが終わった日から数日後、救出された法皇様は、お父上と共に再び法王庁に姿を見せることとなった。

なんと!

枢機卿会議の奴らは、法皇様を最上階の奥の間に閉じ込め、外にも出さずに壁を作って幽閉していたのだそうだ。

司祭様と神殿長様(法皇様の父上でした)は魔術で壁を崩して法皇様を救出していた。

体力の弱っていた法皇様が執務に戻られるまで、数日かかったのだ。


「私の気の弱さゆえの失態であるがゆえに、私自身も罪を受けねばならぬ。私は法皇失格だが、自分自身を罷免する前に、枢機卿会議に対し、法皇に背いた反逆罪を適用する。枢機卿会議に関わって金銭や権力を得ていたものは、全てその報いを受けるべし!それは、金銭の多少、権力の大小に関わらず、全て神を裏切る行為だと認識していたものは死罪!認識していなくとも、金銭や権力のおこぼれを受けていた者は全ての身分と私財を没収の上、神聖教会から永久追放じゃ。即、これを行え」


ここに神聖教会暗部の粛清は、なされたのだった……


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