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神聖教会中央部枢機卿会議でございます。 そろそろ、焦りだして来ましたけど。

あまりの事に、ほうほうのていで逃げ帰ってきた「神の軍」の兵隊たち。

その報告会を書いてます。


ーーーーー枢機卿会議の面々からの視点ーーーーー

とても信じられぬ!

あの、血も涙もない冷酷な圧殺戦法を取るので有名な神の軍が、何もできずに負けて帰ってくるなどと……

とりあえず、責任者は投獄し、下々に教会の威信が墜ちる光景を見せることなきようにしなければ、な。


ど、ど、どうしよう?!

神の軍すら相手にせぬ者が、一歩づつ、ここへ迫ってきていると言うではないか?!

本心から言えば、ワシは逃げたい……逃げたいが、この椅子を離れるということは、全ての力、金、教会内での立場と権力を手放すということになる。

それだけは!

それだけはいかん!

逃げてはいかん!

逃げるわけはいかんのじゃ!


どうしようか?

老いぼれの権力と金の亡者共など、知ったことではないが。

俺が逃げても、今の俺なら失うものは少ない……

しかし、この地位まで上るために使った金と裏の力、そして権謀術数の数々……

まだまだ、元を取ってないからな。

今更逃げるわけには行くまいて。


ふ、ふ、ふふふふ……

逃げる算段をしとる奴らが多いようじゃな。

まあ、逃げたらどうなるか?

この椅子は、逃げ腰の人間には二度と座れぬよ。

逃げた奴の後釜には、誰を据えようか?

ーーーーー枢機卿会議の面々の視点、終了ーーーーー


「さて、お前たちは、この枢機卿会議より賜った「神の軍」という部隊名に泥をつけ、更には生き恥を晒して逃げ帰ってきた……それも、な。教会が認めぬ「神の子」なる偽物に、傷一つ負わせることも出来ずに、それどころか、反撃しようとする意思すら無くして、一目散に中央へ逃げ帰ってきたという……何か言い訳の一言でもあるのか?ん?」


完全に上から目線で神の軍(中隊)をまとめてきた中隊長をバカにしてこき下ろしているのは枢機卿会議の副議長。

下々に言葉をかけるのは議長の仕事ではないため、あえて副議長が議長の言葉を代弁している。

ただし、ここは軍事法定も兼ねているため最終的な沙汰を下すのは枢機卿会議の議長である。

そのため中隊長を含めた軍の処罰を猜疑に下すのは議長と決まっている。

一応、弁護のための議会員も選定されているのではあるが……


「中隊としての神の軍は彼らに出来る全ての方法で攻撃したと聞いておりまする。ただし、肉体的な攻撃も魔法や魔術による攻撃も全て神の子には通用しなかったとも聞いております。どうでありましょうか、議長殿。神の軍が通用しなかった。たった3人の者に逃げ帰ってきた兵たちに神の軍は名乗らせられないのでは?通常の傭兵軍で、それも初心者達の軍で攻撃したため、たった3名の敵兵に負けたということで、よろしいでしょうか?」


議長が重々しく頷く。


「うむ。神の軍は負けぬ。負けるのは神の軍で無かったからだ。これは金で雇われた下々からの傭兵群に過ぎぬ。小奴らは軽々しくも神の軍を詐称し、あまつさえ、たった3名の敵に負けて逃げ帰ってきた。小奴らに神の教会に入る資格はない。全ての服、武器、地位を剥ぎ取り、全員を生涯、鉱山奴隷とし、山から出すな!これが判決じゃ」


「さすが議長殿!名裁きでございまする!」


この軍事裁判が始まってから終わるまで、約100名の神の軍、中隊の兵には、一言も弁論する機会など、与えられるはずもなかった……今までの例のごとく。

枢機卿会議は、さすがに懲りたのか、もう軍を送るような事はせず、中央部に神の軍全ての兵士を配置し、警備は厳重で、地方の神殿関係者、神殿長であろうとも中央部の都市へは入れず、その手前の貴族街へ留め置かれる事となる。

当然ながら、この事態についての説明を求められた枢機卿会議は、強敵が中央部へ近づいているという情報があるための一時的措置だと発表する。

ただし、この規制が解除される期日は未定であると、議長の名前で発表されている。

神聖教会に、ただならぬ空気が漂い始めて行った……


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