待ってる人たちのところへ行きましょう。 無双しちゃっていいですか?
とりあえず、ヒトをすっぱり超えちゃった主人公。
次の目的は、法皇様の救出、にかこつけた、枢機卿会議の殲滅と、その代替組織の創設です。
では、今回は、ちょっとした漫遊記に出るまでを描きましょう。
朝が来ました。
起きたら、明らかに視点の高さが違うんですが、これはどうしたことでしょうか?
いや、レベルアップの眠りで成長したのだというのは理解していますが、これは明らかに違うような気がします。
朝ごはんを食べに行くと、明らかに両親の不信顔。
「やだなあ、僕ですよ、ラスコーニコフです。おはようございます、父さん、母さん」
喋った途端、違和感が自分でもわかった。
少年の声じゃない、明らかに低い大人の声だ。
わー、俺、一歳半と少しで、もう大人になっちゃったよ。
ドキドキワクワクの甘酸っぱい青春も知らないで大人になっちゃって、ごめんなさい、青春ドラマの皆様、青春漫画の漫画家さん。
あ、1人で現実逃避しててもしょうがないな。
「父さん、母さん、またレベルアップしすぎて育ってしまい、ついに大人になってしまいました。ということで、とても納得できないとは思いますが、ご納得して下さい」
父さん、あきれた視線で。
「はあ、もう驚きにも慣れた。お前が、ラスコーニコフだという事も、無理矢理にでも納得してみせよう。で、どうする?生まれて2歳にもならない年齢で独立するか?」
母さんは、何をバカなこと言ってるの?!
と、父さんに詰め寄る。
俺、慌てず騒がず、
「それも一応は考えてます。でも、まだ後少し、やらなきゃいけないことがありますので、それを解決してからの話ですね。まあ、ひと月、ふた月かかるかどうか?の話ですよ」
「そりゃ、結構、早い話だな。わかった。母さんは俺が説得する。お前は、お前のやらなきゃいけないこと、早々に済ませてこいよ」
「ありがとう、父さん。母さん、早めに帰って来るからね。しばらく留守にするよ」
別れは辛くない、と言えば嘘かな?
後ろ髪引かれるが、それでも扉を開けて、外へ出る。
まずは、潰すべきものを手っ取り早く潰そう。
気持ちを切り替えて神殿へ向かう。
あ、朝飯、まだだった。
身体そのものが変化したのか、あまり腹は空かないが、それでも食べることと、人であることは同義語だからね。
そんなことを思いながら歩いていると、神殿に到着。
受付にて、司祭様をお願いします、と言うと、受付の女性が、顔を赤くしながら、分かりましたと応える。
どういう事だ?
やって来ました、司祭様、と、神殿長様。
一瞬、誰こいつ?
って顔はするけど、すぐにラスコーニコフだと気づいた様子。
これで2度めだからね。
「ラス、ですよね。まあ、逞しく育っちゃいましたね、君。どこの拳闘士かと思ってしまいました。これが、昨晩のレベルアップの眠りの結果ですね。他の人間には、真似しようとしても出来ない事ではありますが、一ヶ月前まで乳児だった者が、ここまで変わるとは。神の恩恵は、計り知れません」
司祭様、俺の中身は変わってませんよ。
「ところで、司祭様、神殿長様。これからのことをご相談したいのですが」
「では、余人を交えず話せるところを。こちらです」
神殿長様自ら、ご自分の部屋へと俺達を誘導。
「ここならば、変な視線も無いですよ。今のラスは、好事家の女人にとっては観賞用に最適ですからね」
やですよ神殿長、そんなお世辞。
俺の思いに気づいたのか、司祭様も、
「自分で気が付かないんですか?ラス、君は立派な、大人の拳闘士にしか見えません。格闘用の力を隠し持った、生きてる彫像のような人間に育ってますよ」
はい?!
恥ずかしすぎます。
あ、家から神殿に歩いて来る時に、妙に熱のこもった視線の束を感じたが、それが原因だったか。
やだな、実際の行動に支障が出るよ。
まあ、それは追々、対処するとして。
俺は、この3人で、どうやって枢機卿会議を殲滅するかという事を話し合うことにした。
「ちゃちゃっと神聖教会本部に乗り込んで、パパっと枢機卿会議をぶっ潰して、さくっと法皇様を救いだして、でもって、修正した法皇側近会議を復活させてやれば良いのでは?」
「ちょっと、ラス。それじゃ、あまりに無計画ですよ。まだまだ枢機卿会議は教会内部での権力を失ったわけじゃない。それに比べて、こちらはまだまだ味方もいない状態です。これから、地方神殿を回って、こちらに味方してくれる方たちを増やしていかねば」
「そうです、司祭の言うとおりです。ラス、焦ってはいけません。あなたの力があれば枢機卿会議は簡単に潰せるでしょうが、その後の教会内部の統制をとる者達がいなくなっていまします」
はい、だから、神殿長様と司祭様を、新しい統治機構の長と議長にと、密かに考えてたりするんですが。
まあ、血染めの枢機卿会議となるのは予定されたようなものなんだが、両親のこともあるからねえ、ここは(表面上だけ)穏やかに行くとしますか。
神殿長様と司祭様の連名で、神聖教会中央本部枢機卿会議の傲慢と欺瞞、隠れて行っていた闇の仕事や、欲に駆られた濡れ衣事件や冤罪事件など、元・枢機卿の司祭様が知る限りの悪行を書き連ねて告発状を作成。
地方神殿を回りながらこちらの味方を増やし、あるいは、そこに枢機卿会議と同じような金銭欲と権力欲にまみれた悪逆の神殿職員がいるなら、さくっと経験値になってもらおう計画が誕生。
兵は神速を尊ぶということで、さっそく、後のことを副神殿長や司祭見習いに任せることにして引き継ぎを実施。
終わったら、3人で旅立つ。
でもって、俺の身分であるが修行僧という事になっているそうだ。
修行僧なら着衣と雨よけ兼ねたマント、そして修行僧の証明書さえ持っていれば、どこもフリーパスだそうで。
ただし、修行僧は馬車や乗り物に乗れないという制約があるそうなのだが。
神殿長様や司祭様は、その身分で馬車や乗り物は大丈夫とのこと。
まあ、俺も実のことを言えば、馬車などの乗り物に乗るよりも自分の足で歩いたり走ったほうが馬車よりも速かったりする(体力と素早さが人外レベルですので)
神殿から旅立つ。
神殿長様や司祭様は中央本部での会議に出席としてある。
俺は修行の旅へと旅立つ事にしてある。
では、出発!
はい、今日の鑑定魔法、いくぞ。
人族 ラスコーニコフ 1歳
異名:人の形をとりし死神
レベル48 修行僧 なし
体力 1024(1024)
魔力 4799(4798)
素早さ 501
器用さ 486
賢さ 697
魔法・魔術:
適合率(高)
無属性(99%)、闇属性魔法(78%)
適合率(中)
なし
適合率(低)
なし
武器・防具:
適合率(高)
なし
適合率(無)
なし
ギフト:
恐れを克服する、己を超える、仲間を呼ぶ
数値そのものは変動してないけれど、肉体そのものが数値に合わせて最適化されたようで、身体が軽い!
歩いていても、意識的に速度を落とさないと普通に時速40kmくらいになってしまう。
走ったら時速100km超えるね、こりゃ簡単に。
ということで、中央本部目指して、悪者退治旅のはじまりだ〜!