レベルアップしちゃいました。 両親が不信と猜疑の目で見てきます、どうしたらいいですか?
レベルアップしちゃった主人公。
レベル1でも上限値まで届いちゃって、乳児の身体って、そんなに無理が効いたっけ?
という疑問がありました。
一歳半の乳児の身体で、人外の数値なんか維持できるはず無いじゃあーりませんか!
ってなわけで、レベルアップの弊害が発生します、今回。
(弊害というか、こうならないと逆に乳児の身体に無理がたたって死んじゃうような気がしますけどね)
ラスコーニコフです。
今日、無双と蹂躙で急激にレベルアップしちゃったラスコーニコフですよ。
司祭様が今日は無理しないで早く家に帰って寝なさいと忠告してくれる。
急激なレベルアップは身体に変調が来ることが多いそうで。
それでなくとも、レベル1から一気にレベル27などという事態は司祭様も予定していなかったそうだ。
もっと低級な審査官を送ってくると思っていたらしい司祭様は、それで俺がレベル9か10になれば良かろうと思ってたようだ。
それでも今までの数値から考えてレベルアップ後の数値も跳ね上がるだろうと予定していたら、この予想を遥かに超えたレベルアップだからね。
俺も事が終わった直後はアドレナリンが出て興奮してたけど、冷静になったら、すごく眠い。
家に戻ってベビーベッドに倒れこむように寝てしまった。
あ、夢見るなら、久々に聞きたいことがあるんだ、神様に。
ぐう。
おお、いつものように果てない空間だ。
神様の場所だ。
【やあ、久々じゃの。今からは今生での名前に切り替えるとするかな、ラスコーニコフ、あるいは、ラスよ】
あ、ラスでいいですよ、神様。
【では、ラスよ。久々に、儂に聞きたいことがあるようじゃな】
あ、はい。
レベル上限はめでたく開放されて嬉しいんですけどね。
各数値が普通じゃなくなってるんですけれど。
これって大丈夫なんですか?
この世界の生き物として。
【ふむふむ。魔力を除けば、もう魔物すら凌駕しておる。魔人でも上位とサシで渡り合えるぞ、神が保証する】
あははは、はあ。
つまりは、もう上位魔人くらいしか相手になるものがいないってことですよね。
【何を言うとるのじゃ、ラス。お主の相手は悪神や邪神そのものじゃろうが。上位魔人くらいで満足しとっては、すぐに死んでしまうぞ】
あ、そうでしたそうでした。
目標は、とてつもなく高いものでしたね。
俗世に揉まれると、すぐに目先を追ってしまいます。
気をつけなくちゃ。
【そうじゃぞ。で、じゃな。明らかにおかしい数値なのが魔力じゃ。これは、お主の魂の力の強さと前に言うたが、この数値は変じゃな。レベル27になって、すぐにレベル27の数値上限まで行くというのは尋常ではない。何じゃろうか?ちょいと魂を見せてくれ】
やだなあ神様。
ちょっとだけよ。
【だ、か、ら、やめいというに、その冗談は!中年男の魂で、それを言われても気持ち悪いだけじゃ!お主はド○フではないじゃろが!】
あ、元ネタは知ってるんですね、さすが神様。
【おのれという奴は〜、ヒーローにならずに殺されたら、今度は亜人で生き返らせてやるぞ、あまりに神をバカにすると】
やりすぎましたか、すいません。
真面目にやりますです、ハイ。
【コロッと態度が変わるんじゃからな、やりにくいったら、ありゃしない。しかし、魔力の数値の原因は分かったぞ】
さすが神様です。
よっ!造物主!
【褒められとるんじゃろうかな?わけわからん。原因じゃがな、やはり、お主の魂の強さじゃった】
はい?
いくら強いとは言えレベルの上限から上限へと、どれだけ上がったら、この数値異常は無くなりますか?
【それがな、これ数値異常では無いんじゃよ、実は】
え?
レベル1での上限は理解出来ますが、一気にレベル27になっても、まだ余裕で数値上限の2699にできるってことですよね、その言葉だと。
【そうじゃ。例えば、お主がレベル100になったとしよう、そうすると魔力値は自動的に9999となり、レベル101で10099になるぞ】
あ、何か分かってきたぞ。
数値ってのは、そこに表示できる上限値までの数値しか見てないのか。
だから隠されている数値は見えないってことですね、多分。
【大正解じゃ。お主の魔力、魂の強さというものは、とてつもないものになっておる。それをレベルアップで、どれだけコントロール可能にするか、それが問題となって来るな、これからは。精進せいよ、ラス】
はい、分かりました。
でもね〜、年齢ってものがあって、乳児の身体にゃ正直、ツライものがありますです、はい。
【何を言うとるのじゃ?お主、レベルアップの眠りに入っとるんじゃぞ、今は。身体なんぞレベルと数値の上昇にあわせて成長するに決まっておろうが?】
はいぃ〜?!
初めて聞きましたよ、そんなトンデモ設定!
え?え?
乳児の身体から一挙に小学生レベルへ成長するんですか?
もしかして。
【小学生が何か知らぬが、子供は子供でも、お主のレベルと各数値じゃと、どう考えても少なくとも15歳の見た目には成長しないと数値との適合性がなさすぎてしまうじゃろうな。猛獣や魔獣よりも早く走れる乳児なんぞ、そりゃ化け物じゃよ】
しくしくしく、今の身体から成長していくのも結構、楽しかったのに。
一気に大人直前とはなあ。
【贅沢言うと罰が当たるぞ、ラスよ。その身体でなくては、これから来る悪神や邪神の使い、下位神との戦いで生き残れぬぞ】
分かりました。
と、目を覚まそうとして俺は今、自分がどこで寝ていたのか思い出した。
バキ!バキバキ!バキイ〜ン。
一挙に成長してしまった俺の肉体は、さすがに頑丈なベビーベッドでも受け止めきれず、ベッドごと押しつぶしてしまう事となった。
数時間後、バラバラになったベビーベッドの残骸と、一挙に中学3年あるいは高校1年生レベルに成長してしまった裸の俺を見て、変態が乳児の肌着を略奪して着ていると勘違いしてしまった俺の両親に、これは違うんだ、俺はラスコーニコフ本人だと説明して納得させるのに数時間かかった。
一時は衛兵すら呼ばれて乳児誘拐事件の共犯者にされそうになったが、なんとかかんとか引き上げてもらった。
父さんと母さんは今でも完全に納得はしてないようだったが、俺が本人しか知らないはずの事を話すと、しぶしぶ納得はしてくれたよ。
さあ、それからは、おむつもしまう、肌着も不要。
その代わり子供用の大柄の服と大人用ズボン(15歳クラスだからね。微妙な発育状態です)に着替えたり、靴も大人用にしたり。
(木靴が一般的なんで、各自の足に合わせてオーダーメイドですよ)バタバタしてた。
あ、ベッドも大人用に変えましたともさ。
食器も何もかもね(ミルクと離乳食はおしまい。母乳は好きだったんだけどな〜、仕方ありません)
レベルアップの眠りが終わって、その夜は普通に寝ましたよ。
赤ん坊専用室は小さすぎたんで、急遽、客間を子供部屋にしてもらってベッドも移しましたとさ。
精神的に、どっと疲れました。
明日の朝は、司祭様や神殿長様にも、説明しなきゃな〜。