蹂躙して、圧倒的に勝利しますよ。 でもって、レベルアップしますけど、何か?
はい、初めての無双と蹂躙です。
レベルアップもします。
レベルアップの結果は次の話となりますので、ご承知下さい。
はい、皆様、お待たせしました。
とは言っても、誰も観客はいないんですけどね。
神殿長様も司祭様も、戦いに巻き込まれるのを恐れて避難してます、とっくに。
でもって、今、現時点での俺の鑑定魔法結果です。
人族 ラスコーニコフ 1歳
レベル1 なし なし
体力 99(99)
魔力 99(98)
素早さ 99
器用さ 93
賢さ 99
魔法・魔術:
適合率(高)
無属性(99%)
適合率(中)
なし
適合率(低)
なし
武器・防具:
適合率(高)
なし
適合率(無)
なし
ギフト:
恐れを克服する、己を超える、仲間を呼ぶ
ふっふっふ、飽くなき追求の結果、器用さすらカンスト目前でしたとさ。
これで、なんの不安もなく、監査官と名乗る大馬鹿者を成敗出来るぜい!
俺は、試しに鑑定魔法を監査官に放ってみる。
その結果、レベルだけは高いので使える属性魔法・魔術の種類だけは多いものの、その数値は司祭様すら超えない、種類によっちゃ司祭様の3分の2ほどしか無い事が分かって内心、大笑いしちゃいそうになりました。
魔法や魔術の射ち合いやってみたと仮定したって、俺の半分くらいで魔力が枯渇する奴に俺が負けるかよ!
とは言え獅子は兎を倒すにも全力を尽くすって言いますからね、ここは今までの鬱憤を晴らさせてもらうのと、こいつの今までの悪行を精算させるため、徹底的に蹂躙してやろうじゃないの。
レベルだけは高いんだから、すぐに倒れないでくれよ、頼むからね。
俺は、そんなことを考えながら、魔力加工で作った見えない魔力刀と魔力投網を構えながら、監査官へ向かっていった。
ーーーーここから、監査官から見た光景となりますーーー
こ、これは何なのだ?!
この、神聖教会本部でも腕利きの監査官である儂が放つ魔法も魔術も全て打ち消される、今の状況は!
この小僧、本当に魔法・魔術の初心者か?
儂の、この儂の魔力すら打ち消す、この力は?!
悪神・邪神の化身であっても不思議ではないぞ。
今、儂は何かで斬られた!?
浅いが、奴は手を動かしただけ。
い、いや違う?!
何か持っているような、握っているような手の形をしている。
何なのだ?
何が起こっている?
身動きが取れぬ?!
何か、見えない糸に絡みつかれたような。
全身が絞られて動けぬ!
奴が、笑いながら近づいてくる、ああ!ああ!
笑いながら、笑い声を上げながら儂に、この儂に、倒れて動けぬ、この儂に。
笑い声とともに、死が子供の形をとって近づいてくる。
死は儂にとっては子供の形を取っていたのか。
ここまで来ると頭が冷えて冷静に見えてくるな。
一歩、また一歩。いつでも儂に死を与えられるというのに、なぜ、なぜに時間をかけるのだ?
一思いに死ねれば、そのほうが楽なのに。
あ、そうか。
儂の今までの悪行のせいか、そうだろうな。
今まで神聖教会の名の下に、非道な事を幾度となく繰り返してきたからな。
その懺悔の時間なのか?
そうだろうな。
すぐそばへ近づいて来て、その見えぬ剣か大鎌か槍か分からぬが、振り下ろせば儂の命は確実に終わるのだから。
儂は死を覚悟した。
死神の化身ならば、たったひとつだけ、儂は最後に聞いておきたい事がある。
「死をたまわるか。それで良い。儂も今更、神の御前に行って自分の罪をあれこれと言い訳したくはないのでな。最後に1つだけ聞きたいことがあるのだが、よろしいか?子供の形をとりし死神の化身よ」
おや?
という意外な質問に驚いたような死神の化身が儂に向かって語りかける。
「最後まで意地汚く、死にたくないの何のと泣いて許しを請うかと思ったら意外に殊勝じゃないか。死が身近に迫っているのは変えられないが最後の頼みなら、質問でも何でも答えてやるよ。俺に分かることなら、な」
ふふふ、やはり儂の死は確定だな。
では、やはり、これだけは聞いておかねば地獄で待つにしても気分が違うだろうよ。
「ありがとう。質問は一つだけ。儂以外の監査官、審問官、その上の、法皇様は除く枢機卿会議の面々の、近々の運命は如何となるのか?」
苦笑気味に、くっくっく、と笑いをこらえながら死神の化身は答えてくれた。
「決まってるじゃないか。お前と同じ無限地獄に放り込まれるのさ」
そう答えると、死神の化身は何故か泣きそうな顔をしながら、見えぬ死を儂の身体の上に振りかぶり、振り下ろした。
ーーーーこれより、ラス視点ーーーー
まあ、前世で練習したとは言うものの、殺人など前世でも今生でもはじめての経験だ。
最後の最後に相手に対してかわいそうだなと思う気持ちが湧いてきて、泣きそうになったよ。
魔力刀や魔力投網の利点は魔力を解いたら証拠が何も残らない、とんでもないチート武器だったことだな。
全て終わってから神殿長様と司祭様を呼びに行った。
司祭様が全ての経緯と神聖教会の本部に巣食う悪の集団の事を話していたため、神殿長様は審査官の、なぜか笑みを浮かべたような安らかな死に顔を見ても冷静だった。
司祭様は俺に向かって、こう言った。
「ラス、見事です。で、レベルや各数値は、どうなりましたか?」
あー!
興奮してて、すっかり忘れてたあ!
はい、鑑定魔法っと。
人族 ラスコーニコフ 1歳
レベル27 なし なし
体力 898(98)
魔力 2699(95)
素早さ 299
器用さ 386
賢さ 587
魔法・魔術:
適合率(高)
無属性(99%)
適合率(中)
なし
適合率(低)
なし
武器・防具:
適合率(高)
なし
適合率(無)
なし
ギフト:
恐れを克服する、己を超える、仲間を呼ぶ
あれ?
リミッターがかかってて数値の上限が効いてるとは聞いてましたがレベルアップして、さくっと3桁って、どういう事?
魔力なんか4桁リミット行ってるんですけれどね。
普通の人間って各数値が60もあれば英雄クラスじゃなかったの?
そうなら、俺の数値って、どう考えればいいんでしょうか?
まあ、次の審問官相手には楽勝しすぎて面白くないかな、こりゃ。
と、その時は、この急激なレベルアップが俺の身体にどのような変化をもたらすか全く理解してなかった。
それは司祭様もそうだった。
こんな乳児がいるわけなかったんだから、どんな事が起こるか理解できる者など誰もいなかったのだ。