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レベル上げには経験値が必要です。 と思ったら、経験値の塊がやって来てくれました。

この回では、まだ蹂躙場面はありませんよ、期待している皆様。

一応は、相手の(手前勝手な)言い分も聞いてあげなくては。


という事で、とても自分勝手な、教会本部から派遣された監査官の言い分が聞ける回です。


今日も朝から、魔力加工の練習。

ふとした思いつきで、司祭様に聞いてみた。


「司祭様?魔力って波動ですよね。で、これが様々な形に変わったり、魔法や魔術の媒体になったりしますよね。じゃあ、これを吸収したり打ち消したりって可能なんですか?」


司祭様が答える。


「ラス、君は不思議な子ですね。普通、魔法や魔術を長年に渡って学んでも、そんな疑問を口にする人は、ほとんどいません。なぜか?それは、吸収や打ち消しが不可能、ではなく、可能だからです」


「なぜ、吸収や打ち消しが可能だと、そんなことを考えないんですか?」


「なぜかというと、教会が「秘密」にしているからです。これは、吸収や打ち消しの方法と魔術自体が秘儀となっていて、それを考えることも、少しでも教えることも教会は禁止しているのです」


ははあ、読めてきた。

教会の審査官や審問官が使う魔法や魔術を吸収・打ち消されたら面目が潰れるし、教会の権威が失墜するからだな。


「司祭様。それは多分、簡単な方法ですよね」


「ん、そうですね。簡単ですが、究極に難しいというか」


ここまで話した時、訓練場に2人の人物が姿を見せる。

司祭様の顔色が曇る。


「神殿長様だよ、ラス。で、神殿長様が自ら、案内役を引き受けて来たということは、来るものが来たという」


「はい、承知しました。教会本部監査官が来たということですね。司祭様、訓練途中ですが、ありがとうございました。後は、僕がやりますので」


「いいえ、ラス。最初は私の役目ですよ」


俺達がしゃべっていると、2人が近くまでやって来る。

神殿長様が審査官へ、


「審査官様、こちらが当神殿のハーモニック・サイモン司祭でございます」


司祭様が応えるように、


「神殿長様、ご案内、ありがとうございました。本部からの審査官様ですね。私は当神殿の司祭」


「ああ、よいよい、サイモン司祭。そちらのことは全て承知している。私は教会本部より派遣された審査官である。こちらの神殿より報告があった神の子というのは、そちらの子供かね?」


司祭様の言葉を遮って、審査官が横柄に聞いてくる。

このやろ、今に見てろ。

司祭様は、それでも嫌な顔ひとつせず、


「はい、審査官様。こちらが神の加護を受けた子、ラスコーニコフでございます。とても優秀で、清廉な、高潔な魂を持っております」


し、司祭様!

それはお恥ずかしいです!

魂は32歳の、薄汚れた魂のサラリーマンエンジニアだったんですから!

しかし、次に審査官が言った言葉に、俺も司祭様も神殿長様も耳を疑ったよ。


「ああ、我は、神の子かどうかの審査に派遣されてきたのではない。その子が神の子を自称してサイモン司祭を騙し、神に反逆する意思を持つことは明白であるからして。我は教会本部の枢機卿会議より、その子を神の子と認めることは不可能という言葉を伝えに来たのだ。これにより次には審問官が派遣され、その子の罪の大きさと深さ、そして罰の方法が伝えられ、実行されるであろう」


神殿長様、司祭様、そして俺も、あまりの言葉に返す言葉も無く、ぽか〜んと口を開いている。

審査官、これで俺達が恐れおののいて言葉も無くなったかと思ったのか、


「では、審問官の派遣まで、おのが罪の大きさと重さに日々、怯え苦しむようにしてやろう」


と、俺に向かい、手を伸ばす。

俺は慌てて其の場より離れると、俺に向けて放たれた魔力を検知し、実地訓練だとばかりに、その波動を俺の波動で打ち消す。

急ごしらえだったが、魔法や魔術を波動、振動であると理解していると打ち消しは簡単、位相を逆にする波動を放てばいいだけ。

審査官、あっけにとられていたが俺が自分の魔法を打ち消したと理解したとたん、激昂した。


「な、なぜ!?なぜ、こんな幼い子供が究極の秘儀を使えるのだ?!サイモン司祭、まさか、お前が子供に教えたのか?!」


司祭様は落ち着いたもの。


「審査官様、いや、審査官殿。私は魔法・魔術の基本・基礎たる無属性を教えたのみです。それも、たった2週間前からですよ」


「何だと?無属性魔法・魔術を教えて、まだ半月も経過してない、だと?!信じられぬ。レベル50を超えた私の闇魔法を跡形もなく打ち消すとは。さすがに神に反逆する者だな。こうなれば容赦はせぬ。私の全ての魔力・魔法・魔術を使って、この子供を滅ぼす!」


やる気になったようだね、審査官。

俺は、初めて審査官に向かって言葉をかけてやった。


「できるものなら、やってごらんなさい。審査官って、こんなに弱い人を派遣するような枢機卿会議も、頭が弱い人たちばっかりなんでしょうけどね」


いや、それを聞いた審査官。

あまりの怒りに、顔が青くなったり赤くなったりしてるわ。

神殿長様と司祭様は、とばっちり食らうと面倒だとばかり、訓練場から退避してくれた。

これで、思う存分、蹂躙してやる。

次は審問官、そして、首を洗って待ってろよ、枢機卿会議の腐った豚肉共!


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