乳児が鍛錬してるころです。 陰謀も進行してました。
主人公ラスが順調にレベル上限値に向かって邁進している時。
敵である、神聖教会枢機卿会議は何やってたか?
ちょいと時間を遡りますが、そちらの説明回となります。
書いてて、あまりの悪人勢揃いに作者すら憎しみをおぼえました。
少し、時間を遡る。
場所は、神聖教会本部、枢機卿会議場である。
そこでは、いつものごとく悪辣な議題が俎上に乗せられていた。
「では、こちらの議題はヴェノム枢機卿にお任せして、対象人物を罠にかけ、審問官によって自白させ、全ての資産と奴隷、家屋を教会へ寄進させるように。例によって無実や有罪かは関係ないぞ。ただただ、教会のためだからな」
とんでもない一言が聞こえたような気がするが。
「では、次の議題。一地方神殿よりの報告。神の子と認められる一歳半の乳児が発見されたとの報告書が上がって来ている。ちなみに、この神殿の司祭は元・枢機卿のハーモニック・サイモンである。ギフトに「預言者」があるため、これは真実と認めるしか無いが、皆様方、如何しようか?」
「サイモン元枢機卿なら信用できますが。しかし、枢機卿会議としては認定不可能という事になりますな」
「さようですな。これを認定してしまっては、教会の威厳と神の恩恵が教会によって認められたもののみに限られるという原則が踏みにじられて、教会にとって非常にまずい事になる恐れがあります。しかし、元枢機卿では簡単に闇に葬る事も出来ませぬゆえ、まずは審査官を送り、神に対し反逆の意思ありという件で、改めて審問官を送ることにしてはいかがでしょうかな?」
「それは結構ですな。枢機卿の地位にあった時ならばともかく、今は地方神殿の司祭に落ちぶれた人物。いくら力があろうと審査官や審問官が有罪と認定すれば、さすがに逆らえますまい。下手に逆らおうものなら、神に対する反逆者として司祭といえども無事に済みませんからな」
「提案ですが、良いでしょうか?この事案の場合、審査官にある程度の権限を与えないと、地方神殿とは言え、司祭の権限は強いですから、神殿長を巻き込んでその子供を神殿で保護される恐れがあります。よって、この枢機卿会議の委任状を審査官に持たせてやり、神殿ごときでは手が出ないようにしてやれば良いかと愚考いたします」
「おお!素晴らしいお考えですな。枢機卿になり、まだ日が浅いというに、その見識はお見事ですぞ。では、そのように取り計らいましょう」
「ありがとうございます、若輩ながら、サイモン元枢機卿に代わり、新しく枢機卿と上りましたるものですから、未だに皆様には教わることばかりでございます。末席を汚すことになりましたが、精一杯、教会の、枢機卿会議のために粉骨砕身、頑張らせていただきます所存です」
おお!
さすがに謙虚じゃわい。
これから、枢機卿として精進しなされ。
では、次の議題。
と、今日も神聖であるべき「神聖教会本部」では、どす黒い陰謀が練られていたのであった。
予め有罪になっているとは、ラス本人も、サイモン司祭様も、そこまで予想はつかなかった。
戦いになるとは予想していたので、それほど「その時」には驚かなかったのだが。