無属性魔法・魔術を極めましょう。 まずは基本から制覇します。
エンジニアだった前世を引き継いだのか、きっちり100%が好きな性格の主人公になってしまいました。
とうことで、この回は習熟度と、未だカンストしてない数値への挑戦です。
ああ、どんどん1歳半の乳児のイメージが崩れていくぞお。
一応、目標を設定しよう。
そのほうが、やりがいも出るし、枢機卿会議をぶっ潰す指標にもなる。
司祭様は、
「ラスの力は、現状でも枢機卿の個人を超えています。しかし、向こうは集団戦で来る可能性が高いですから、そのための準備もしておいたほうがいいと思います」
と言っていた。
だから、まずはカンストしてない数値を99化するように、鍛え方を変えるとしよう。
でも、魔法・魔術修行は続けながら、だよ当然。
まずは、カンスト目前の賢さ。
こいつについては魔法や魔術を学んでいけば、早々に数値が伸びるため、カンストを待つだけと言っていいそうだ。
器用さ。
こいつは伸びにくい、素早さもそうだが、この幼児体形では、どうしても器用や素早さとは縁のない行動力となるのは、ある程度、やむを得ない点がある。
そこで俺は、起死回生の名案を思いついた。
無属性魔法の適合数値(習熟度だよな)を上げるため、ついでに素早さや器用さも上げてしまえ!ということだ。
どうするか?
ってーとだね。
魔力加工で魔力を細い糸状にするのさ。
こいつを指や足代わりにして細かい細工や加工、はたまた、足や手を含めた強化スーツのように身体を覆って移動スピードを早くする。
魔力中心ではあるが、こいつなら一挙に全ての数値を上げられる。
パワードスーツの機能もあるが、どちらかというと、この身体に対してリハビリ器具のように動かす補助を行いながら、足や手、指の可動範囲を広げ、はたまたスピード感覚も覚えこませていくという計画だ。
んでもって、今日は朝から、この計画に従って、魔力で作成したパワードスーツを身にまとい、魔法や細密加工、素早い移動などを行っているのだが。
「ラス、ちょっと休みませんか?予想通りにならないのは、君のせいじゃありませんから、焦っても仕方がありませんよ」
はい、ラスコーニコフです。
一歳半の変わった子、ラスコーニコフです。
只今、パワードスーツを装着して、裁縫の練習(針も布もボロボロ。もう見る影もない)とスピード制御の訓練(あちこちに穴ボコ作ってます。ダッシュと急激なストップで、あちこちの壁や地面が穴ボコだらけ)中です。
上手く行きません、全く何も上達しません。
なぜでしょうか?
教えてください、誰か。
「ラス、人の話、聞いてますか?」
司祭様の言葉が、ようやく耳に届く。
よほど焦っていたらしいな、俺。
「はい、なんでしょうか?全く上手く行かない理由がわからないんですけど」
「無茶しすぎです。あれもこれも一度になんて、それこそ神様くらいしか不可能な事ですよ。君は、どんなに優れていたって、人間です。出来る限界を超えれば、それは何も出来ないことと同じです。焦っても仕方がありません。自分に出来る範囲で着実に数値を上げていけば、それだけで君にかなう者はいなくなりますから」
その言葉で俺の身体からフッと力が抜けた。
自分でも気づかないうちに焦っていたんだろうね。
「はい、わかりました、司祭様。まずはスピード、素早さだけでやってみますね」
数時間後、パワードスーツを消しても俺のスピードは衰えることはなかった。
もともと体力はカンストしてたから、これで力とスピードはカンストしたものと考えていいだろう。
確認は後だ。
次、器用さ。
身体の柔軟性は落ちていないので後は手先、足先の器用さ。
足先?
とか疑問が出るかも知れないが手先のように足先が動くというのは、けっこう重要なことである。
特に格闘技では手指と足指は確実に動きやすくしておくと、攻撃や防御に「気」が乗りやすくなり、技に幅が出る。
良いことづくめなのだ。
魔力糸を指に縛り付け、可動域を広げながら、動きやすくして、その上で細かい作業を行いながら、足指は普通、力の入らない小指にまで力が配分されるように動かしていく。
まあ、これは一日じゃカンストなんか無理なのは分かってるから、できるだけ、時間をかけてやる。
夕刻、父さんが迎えに来たため、今日の訓練はおしまい。
最後に、鑑定魔法をかけてみる。
人族 ラスコーニコフ 1歳
レベル1 なし なし
体力 99(71)
魔力 99(67)
素早さ 99
器用さ 69
賢さ 93
魔法・魔術:
適合率(高)
無属性(79%)
適合率(中)
なし
適合率(低)
なし
武器・防具:
適合率(高)
なし
適合率(無)
なし
ギフト:
恐れを克服する、己を超える、仲間を呼ぶ
うん。
何気に素早さがカンストしてる。
人外に近づいてるな、俺。