表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の姫さまが空から降ってきたとき  作者: 杉乃 葵
最終章 王女ニーナ
151/154

第百四十九.五話『大魔術師メイ・シャルマールに失敗はありません。ホントですよ。』

 あれからおよそひと月が経過いたしました。

 この大魔術師メイ・シャルマールに失敗はありません。

 行方不明になってしまわれた友人の救出。着々と準備は進んでいるのです。ホントですよ。


 現場で例の宝石を見つけました。ほら、あれです。貴方、いえ、失敬、句由比華澄くゆびかすみに預けた赤い宝石です。あれと同じ物です。それも沢山在りました。殆どがバラバラに砕け散っていましたけど。その中でも比較的大きめで傷の少ない物を数個拝借してきました。そういえばこの赤い宝石に纏わる話をしておりませんでしたね。これは失礼をいたしました。わたくしとした事が。


 この宝石は、あの方、ほら、神鏡麗美香さんのお姉さん。お名前は存じ上げませんが、あの方です。人や猫にどんどん入れ替わりされたあの方。移り元を順に辿って、本来の姿まで戻そうといたしましたが、最終的に岩になりました。御本人の身体は既に火葬されていた様ですね。人の魂をその身体から抜き取って別のモノへと移す。その力の触媒と成っていたのが、この赤い宝石でしたの。

 その宝石が、あの事件現場に大量に在ったのですよ。不思議ですね。


 貴方の話では、この宝石はこの世界の物じゃないって事ですよね。じゃあ何処から来たんでしょうね。


 ふふふ、そうですね。その通りですわ。既にわたくしには確信がありますの。貴方も同じ意見の様ですわね。


 でもどう使うのかは、さっぱりですの。発動させる機械らしき物の残骸は在りましたが、何も解りませんでした。


 そちらの方でも調査はさせれたのでしょうか?


 ふっ、貴方が答える筈ありませんわね。もう少し協力して下さってもよろしいのではないでしょうか? 組織が怖いのも解りますけれど。


 友だちがいが無いですわね。


 え?


 あんたなんかと友だちになった覚えは無いですって?


 本当にもう、貴方って人は素直じゃありませんわね。

 

 これでも貴方の実力と心根は信ずるに値する。そう思っておりますのよ。薄氷の様な危ういところはいただけませんけど。


 まあいいですわ。そんな事は。

 それよりも深刻なのは、時間がもう残されていない事です。

 急がなければなりません。急がなければ、二度と救出は出来なくなるでしょう。時間と共に、かの世界とこの世界の繋がりが途切れて行きますから。そうなってしまっては、もうどうしようもありません。


 貴方が力を貸してくだされば、簡単ですのに。

 いえいえ、もちろん、この大魔術師メイ・シャルマール独りで充分てすわよ。ただ、貴方の尽力があれば、少しは、ほんの少しは位は助かるという事です。ええ、口で言う程簡単な事ではない事は重々解っております。わたくしが帰って来られる保証なんてありません。時間内に戻れなければ、二度と戻る機会は無いでしょう。


 え? どうしてそこまで危険を冒して彼らを助けるのかですって?

 そんな事、決まっているじゃありませんか。


 だって、


 大魔術師メイ・シャルマールには失敗はありませんから


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ