イベント -俺が勝つ-
フィルを倒した後、遺跡の奥からエイトがひょっこりと現れた。
「終わった?」
「なんだ見てたのか。途中で襲撃されることも覚悟してたけど。来なかったのはそういうことなのね」
「まあね。でも戦いを申込みに来て。まさかその相手が怯える少女にSEKYOOしてるとは思わなかった」
エイトがやれやれと言う。思わず俺は頭を抱えた。
「そのいい方やめてくれない!?俺が変態みたいになっちゃうだろ!!おほん。まあ、あれだな賭けのことはしているか?」
「まあ、知ってるよ。それよりも今のうちに手札回復させておいてよ。どうせならお互い本気で戦いたいし」
「わかったよ」
俺は手札を回復させながら話を続ける。
「俺は正直、賭けはどちらが勝ってもいいと思ってるんだ。一応片側の選手だし、どちらかと言えばそちらの意見の方がいいと思っているが。そんなの俺の独善だからな。味方が変われば世界も変わる。本当は相手の意見が正しいのかもしれない…なら相手にしっかりとした理念と意思があるならば。相手の言い分も考える必要があると思うわけだ」
「それで?」
「だから色々追い詰めて…意思を確認したわけだが…。あれはだめだな。その資格がない」
俺はきっぱりと言い切った。それに対してエイトは眉を顰めた。
「厳しすぎるんじゃない?結構頑張ってたと思うけど」
「それでもだめだ。まず成し遂げたいことなのに準備をしなさすぎだ。しっかりと準備していれば俺にやられることも無かったはずだ。言うだけなら誰にだって出来る。そして無策に突撃を繰り返し、その場その場の対応ができなかったことも減点だ。道理を通そうとするために可能性を探求する意思が足りない。何より最後には諦めてしまった。次のチャンスがあると言うが現実はそんなことだらけではないんだ。一度でも逃げた段階で多くの人が関わる今回のことの賭けの対象になる資格はない」
「…なんか会社の上司みたいだ…」
嫌なことを思い出したような顔をエイトはする。
「酷い言われようだな。俺はもうちょっとまともな…はず…。うーん。まあでも子供が何かをやろうとするときにダメそうになるのを止めるのは大人の役目だろう?あえて泥をかぶってでも厳しくいかなきゃいけないときがあるんだよきっと。…うん」
「ま、失敗してからじゃ遅いからね。色々知っている人が確認をしたほうが良いってことは何となくわかるよ。…さてその話はこれ位にして早速始めますか」
話のさなか手札が五枚になった俺を見てエイトは言った。
「そうじゃあ始めるとしますか!」
「「今回こそ」」
「「俺が勝つ」」
その言葉と共にお互い笑い合い。駆け出す。今戦いが始まった。
☆☆☆
「泥っぷドロップ!!」
「雷電場ネット!」
俺とトウドウの戦いは一進一退の攻防を繰り返していた。環境を支配し攻撃してくるトウドウとそれを防ぎメタる俺の戦いは拮抗している。どちらも相手の動きを妨害し、自身の動きを最大限行おうとする戦術だからだ。
だが長く続けば続くほど自身が不利になることは理解していた。トウドウのデッキは持久戦に強い。
(さて…どうしたもんかなこれ)
そもそも相性が悪いのだ。自身の電気はトウドウの泥によって威力を下げられてしまう。持続する雷属性の効果も同じく持続する土属性には余り意味がない。メタる自身のデッキの役割が敵に奪われたような気さえする。
「カカカ、なかなかやりにくそうだな」
「誰のせいだと思っているのさ!」
(くぅ~こんなところで足止めなんて…このままじゃまた影が薄いまま…)
そう考えた瞬間、俺は一瞬気を抜いてしまった。トウドウは何と捨て身の体当たりをしてきたのだ
「な!」
「カカカ、全て予定通りだ!!」
そしてその体当たりによって俺とトウドウは空へと投げ出される。
「うわ~なんだと~!!」
俺達は二人して落ちていった。




