イベント -百一匹目-
森の中、私は一人の人物を狙い、走っていた。そしてその人物は私を待ち受けていたかのようにそこに威風堂々と立っていた。
「…ドヤ~」
「少女よ…やはり待っていたか」
「…ふふふ、アーサーが来ることはわかっていたからね。お願いもあるし話さないといけなかったから」
私はその言葉を聞いて眉を顰める。
「お願い…?仲間を裏切っておいて何を言っている!!我は金で人を売り渡したり、八百長をする人間が大っ嫌いだ。少女よ、ここには理由を伺いに来た。ことと次第では容赦はせん」
そう言って構えを構える。すると闇妃は自身の武器を取り出した。
「…理由はあるけどどうせなら。これで決着をつけようよ。デュエリストでしょ?私が勝ったらあなたには私の願いを聞いてもらう。あなたが勝ったら理由も話すし、好きなだけ殴ればいい」
それを聞いて私はにやりと笑う
「…なるほどわかりやすい…だが好きなだけ殴るというのはやめておこう。アーサーは紳士なキャラだからな。意味もなく恨みでレディを殴るようなことはしない」
「…じゃあ決定ってことで始める。私は顕現する戦士を発動」
先にカードを発動したのは闇妃だ。そして頭上に現れたシルエットが様々な形に変化する。
「…顕現する戦士はランダムに全てのスペシャルを除いたモンスターの中からモンスターを召喚する。…運命は既に決まっている。現れる絵札は当然!正位置ぃぃぃぃ!…来い無限の可能性の中から行き着きし、最終進化!!召喚!現れいでよ!!」
そしてモンスターが召喚される。私は召喚されたモンスターを見て思わず呟く。それは闇妃の宣言と重なった。
「「ABCDE:エドバク!!」」
そうスペシャルにも匹敵すると言われるモンスター最強の一角と称されるモンスターがそこに立っていた。
「…私には未来が見える。故に私は絶対に負けない。さあ始めましょう」
闇妃のギャンブルデッキ[運命の支配妃]の真価が発揮される戦いが始まったのだ…。
☆☆☆
「おっとと」
森へと向かっていた俺は空の城の大広間に仕掛けられたトラップを見て足を止めた。こんなあからさまの罠を仕掛けるということは相手は自分と戦うために足止めに来たということだろう。あたりを回し視線を向ける。そして目的の人物を見つけた。その人物は先に話しかけてきた。
「カカカ、ライム久しぶりだな!!ちょうどいい機会だ七色の中でどちらがより優れた策士か決めようじゃないか!」
「トウドウかちょっと急いでるからまた今度って言える状況じゃないよね。これ」
そう言われたトウドウは目を細める。
「カカカ、そうだな。まあ逃げてもいいがそれならそれで俺の攻撃にどこまでメタを張れるのか調べるだけだ」
「…はあ、やるしかないか。あんまり得意な相手じゃないんだけどな」
こうして地勇との戦いの火ぶたが切って挙げられた。
☆☆☆
遺跡へと向かうために海に付いた俺は予想通りの人物と遭遇した。
「アクア…やっぱり来たか」
「ふん、炎皇ここは通すわけにはいかない。おとなしく俺の前で散れ」
道を塞ぐように立つアクア。俺は覚悟を決め、双剣槍に手をやる。だがその上から手を掛けられた。
「抜く必要はありませんよ」
「お前は…!!」
「店長!?」
白髪を棚引かせたスーツ姿の老人。そう七色最後の一人風賢こと店長がそこにはいた。
「さあ、ここは私に任せて先に進みなさい」
「だけど…」
俺はそこで言葉を濁す。その理由をアクアは口にした。
「七色の内、俺達三人は実力は同じと言われている。お前ひとりで俺を足止めする気か?大人しく二人がかりでかかってくればいいだろう」
「そういうわけにはいきません。依頼をしたものとして。やはりフィルさんとは直接決着をつけてほしいですからね。時間を掛ければフィルが打ち取られてしまうかもしれないし、何か不利益が起こるかもしれません。…それにあなたとは一対一で戦って見たかったんです」
店長のその言葉を聞いた俺は大きく頷いて走り出す。
「させるか!」
そう言ってアクアは水色の手に持ったチャクラムを振るう。しかしそれは店長の剣に防がれた。
「残念ですが、させません!炎皇!!後は頼みましたよ!!」
「任せておけ!!」
俺は遺跡の中へと入っていった…
☆☆☆
遺跡の最奥大きく開けているところに立つ、銀髪の少女の元に俺は向かう。どうやらこの遺跡は古代は砦だったようだ。いたるところにそのような雰囲気がある。俺が足を止めると少女は振り返り話始める。
「ここまで来たか…どいつもこいつも役に立たん…だがまあいい。自分の手で決められるんださっさと終わらせるとしよう」
フィルはそう言いながら自身の双剣槍に手を掛けた。それを見て俺は言う。
「同じ武器かよ」
「わざわざ作ったんだ。同じものを扱うのなら私がお前に負けるはずがないだろう?武器だけじゃない私は世界に三枚しかないお前と同じあのカードも持っている」
「…やっぱり手に入れてのか。バハムート・ゼロを」
「手に入れたさ!しかもそれだけじゃない!私の[煉獄覇者]には金にモノを言わせて集めた強力なカード達が入っている!私が負ける可能性は万が一にもない!世の中で重要なのは金と力だ!それさえあれば何が相手でも勝てる。そしてそれを持っているのは勝ち続ける選ばれた人間だけだ」
「ほうほう。勉強になりますな」
俺は顎に手を当てながらそう答える。するとそれまでノリノリで話していたフィルはジト目になり俺を見た。
「…バカにしているのか?」
「まあバカにしてるかな?あんたがどれだけ強力なカードを集めていようとも、どれだけ権力をもっていようともそれを活かせなければ何の意味もない。持っているだけで威張るって言うのはちょっと滑稽だな」
「なんだと…!持ちもしない癖によく吠えるな…!そこまで言うなら見せてやろう私の力を!!!始まりにして全てを司る龍の皇!今、姿を現し乱れた世界を平定せよ!!召喚!!龍皇バハムート・ゼロ!!」
そして俺の目の前に龍の皇が召喚される。
「ははは、どうだ炎皇!!自身の持つ、最強のモンスターを相手にした気分は!!」
上機嫌に叫ぶフィルを見つめながら俺は双剣槍を取り出し、それを構える。
「…悪いが、俺はそいつを百匹倒している!…だからさ、百一匹目!今ここで狩らさせてもらうぜ!!」
そして俺はバハムート・ゼロに向かって飛び出した。




