イベント -逃走-
バトルロワイヤルのフィールドは特別性の異空間だ。周りに観客席はなく、面積もそれこそ普通の一つのフィールド並みにデカい。森、遺跡、火山、砂漠、海などバリエーションも豊富で様々な戦い方ができるようになっている。
「ここは…森か」
俺は辺りを見回し、自身が森に飛ばされたことを理解した。
「好都合だな」
位置探索レーダーへと視線を向ける。そこには全てのプレイヤーの居場所が表示されていた。
(フィルは遺跡か…ちょっと遠いが仕方ないな。動かないのはこちらを待っているからか…余裕ぶっこきやがって)
目標の人物を確認した後、注意人物へと視線を向けていく。
(アクアは火山エリア、丁度海エリアでぶつかりそうな位置だ。ミライとトウドウは同じく森の中、あとは…ライムは空の城エリアで、アーサーは沼地エリアか。こっちに向かってきてるなっというよりも)
俺は全体の流れを確認する。
(全員がこの森に集まってきてる!?あれか、予想通りフィルに雇われた中級レギオンたちが俺を狙ってきていて、それをエサとして狙う大型レギオンや、ソロプレイヤーが森へと集まってきているのか)
ヒューマなども続々と森に入ってくる。こりゃうかうかしてられないと俺は使用時間が終わりレーダーが消えたのと同時に動き出した。その俺を直ぐに誰かが補足する。
「いたぞ!!炎皇だ!!」
「ちょ!一人逃走中ですかっ」
俺はその人物から逃れるように走り去っていった。
☆☆☆
観客席に居た僕たちは炎皇を狙う人物の余りの多さに驚いていた。
「めっちゃ狙われてるじゃないか!大丈夫なのかよこれ!!」
「数が増えるほど不利になりますからねちょっとヤバいかもしれません」
「それでも師匠なら師匠ならなんとかしてくれます!!」
思い思いの言葉を放つ中でユーリが何かに気付いた。
「なんで人の多い方に向かってる?」
「ああ、なるほどそういう作戦か。まあでもそれしかないからね」
近くに居たレイサンダーが言う。疑問に思ったユーリは質問をした。
「どいういうこと?人が多い方が不利」
「確かに一般的にはそうだね。でもこの場合は違う。…烏合の衆ほど脆いものは無いってことだよ。ちょうどいいところにその鳥たちを喰らうタカもいることだしね」
「?」
「ま、見てればわかるよ。これからどうなるのかがさ」
そう言われて僕たちは再び画面に目を移した
☆☆☆
俺はレーダーで確認した人の多い方をあえて選んで進んでいた。もちろんそれだけ多くの敵と遭遇する。俺はカードを使い、それらを上手く巻きながら決定的なバトルをしないように移動していた。
「まて!逃がすか!!」
「ブーストジェットジャンプ!!」
ジャンプの際勢いが強すぎて自分の視界すら妨げる砂塵を起こすアビリティを使い俺は飛び立っていく。取り残された敵は煙が晴れたあと逃げられたことを理解する。
「っち、逃がしたかでも…なに!?」
「邪魔だ!どけ!」
「ふざけるな敵なら倒す!!」
その人物は別の人物からの攻撃を受けた。そしてそのまま戦闘状態に移行する。
「これで俺が…」
「させん!」
そう言った出来事はいたるところで起きていた人が増えれば増えるほどその数も増す。
(狙い通りだ)
俺はそう思いにやりと笑った。
もとより俺はフィルが完全に中級レギオンを支配しているとは考えていなかった。所詮金で動く輩だ。自分の利益を考えて動く、少数の時ならばしっかりと働くが数が増えれば手柄を横取りされないように妨害し合うことは目に見えていた。
(それにもしかしたら参加しているレギオンをお互いに知らないのかもしれないな。駒とか言ってたし、雇うだけ雇って丸投げな可能性もある。それならばぶつかった時点でリタイアしないように戦わざる負えない)
「ふ、ここは良い狩場だな」
そう言ってヒューマが現れた。中級レギオンを狩りに来たんだろう。俺はそれに答える。
「そうだな、でも俺は味見してる暇はないんで譲りますよ…ブレイクポイント!!」
触ったものに爆破属性を付けるブレイクポイントを木に使い逃げる。速く逃げないと自分もまきこまれるので注意が必要だ。その爆風に紛れて俺はこの場から去っていった。
(すでにカードを6枚使ってる…あんまり無駄遣いはできないな…)
俺は密集地帯を抜けていった。ここから先に待つのは恐らく先ほどまでの弱者と違う。強者たちだ。俺は気を引き締め直した。




