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イベント -絶技-


 「っち。なかなか追いつけねーな…」


 俺は今、バイクに乗りトップ集団を追っている。トップを追うことを優先した俺はまだ手札を使ってもいないし失ってもいない。あたりの奴らも特に手札は消費しているというわけではなく、まだ一週目はお互いに様子見と言った体を成していた。


 俺は現在の手札を確認する。

 <A-光速拳…光の速さで相手を殴る。発動に合わせて拳を突き出すと速さが上昇。光り輝く俺の拳が~悪党どもを打ち砕く~(以下略)>

 <M-フォトンジャンプ…発動後一定時間使用者のジャンプ力を上げる。キノコ一個分のジャンプ力アップ!>

 <M-フォトンスピード…発動後一定時間使用者のスピードを上げる。HAHAHAチーム○○それがお前のスピーry>

 <A-気動波…気の塊を飛ばす。威力を弱めれば三発まで高威力なら一発まで発動可能>

 <A-闘技壁…腕を交差させて相手の攻撃を防ぐ盾を作り出す。腕の交差がしっかりしているほど防御力上昇。文字似てるけど闘技場じゃないからね?>


 フォトンスピードなど使用者の能力を上げるものはチェイスデュエルでは乗り物自体の能力も向上させる。だから追いつこうと思えば追いつける。だがそうすると手札が一つ減ってしまう…。現状を維持したまま戦い続けるのが良いのか?俺は少し悩んだ。


 そうこうしている間にトップグループでは戦いが始まったようだ。それにより勢いが弱まる。俺はその気に乗じて一気にトップチームの中に滑り込んだ。


 「よっしゃ!殴り込みだぜ!!」

 「ほう、新たな参戦者ですか」

 「ヒャッハー。ここはお嬢ちゃんのような人が来る場所じゃないぜ~!!」

 「くそ、ヒャッハーさんとRE-LITだけでも厄介だってのに…」

 「このフィールについてこられるの!!」


 トップグループはモヒカンの世紀末男、半分機械の仮面の男、そしてスケボーに乗る竜のようなパーツが体の一部にある少年。UFOのような球場の乗り物に乗っている女性の五人だ。ちなみにモヒカンと仮面はバイクに乗っている。俺は名前を表示させ、それぞれヒャッハー、RE-LIT、ルアーノ、ノノノであるということが分かった。


 五人はそれぞれまだ動き出さず、お互いをけん制しながら走り続ける。


 「ちまちましたのはガラじゃねーぜ!!」


 そんな均衡状態の中、ヒャッハーが動き出す。彼はいきなりバイクのスピードを上げると、彼の前を走っていたルアーノを後ろからつき始めた。


 「うわ!危ない!」

 「オラオラ~!!どかねーと潰しちまうぜ!?」

 「三重士の巧撃のルアーノ君がワイルド系ヒャッハーさんに後ろから突かれてる…。ルアーノ×ヒャッハーさん…アリね、ショタっ子×ヤンキーなんてぐふふ、私得だわ…」


 野獣のような眼光となり、二人を同時に視認できるベストポジションにノノノが動いたことで俺は此奴できる…!!と警戒を強める。ノノノの眼光に気付いたのか、ルアーノは急に怯え始めながらヒャッハーさんを放置し、ノノノへと向かっていく。


 「ヒッ!?僕を使って妄想をするな~!!」

 「あら、私の元に来てくれるの?レギオン薔薇の(ローズガーデン)では薔薇が基本だけど私、オネショタもいける口よ?」

 「うわああぁああん!!!」


 ルアーノはカードを発動させた、手元から現れた石の散弾がノノノを狙う。だがノノノはそれを機動力を利用して回避した。しかし、散弾は突然方向性を変え、回避したはずのノノノを打ち抜く。


 「…っ!!」

 「弾が…曲がった!?」

 「ふふふ、わかりませんか?」

 「誰だ!?」


 俺がそう言って振り返るとそこには先頭を走っていたRE-LITがここまで下がってきていた。仮面の奥の表情は見えないがどことなく満足そうな表情をしながら語り始める。


 「ルアーノが使うカードは発動後操作系と言われるカード群です。これは発動後の動きをカード使用者が事前に決めることができるといったもので、操作は難しいですが、命中率を高めることができます。彼はこれを使いこなすことで巧撃の異名を取っているのですよ」

 「なんでわざわざ解説を…」


 俺がそこまで言った所でさらに状況は動いた。攻撃を受けたノノノが反撃に乗り出す。


 「あらあら。さすがにやるわね。だけどお姉さんも負けられないのよ?…だから私のとっておきを見せてあげる!巨人の張り手×手刀の剣閃…絶技!巨人の手剣閃!!」


 その言葉と共にノノノは手を手刀のように振り下ろす。それによって巨大な手刀がルアーノの前に現れそれがルアーノを襲った。


 「絶技!!しま…」


 攻撃を受けたルアーノは大きく吹き飛ばされる。何とかスケボーから落ちないように努力しながら地面に着地した。だが、その維持に手間取りトップ集団から大きく離されてしまう。


 「くっそ~!!このままタダでやられやれるか!!」


 ルアーノはトップと引きはがされ復帰が難しいと考えたのか最後の悪あがきにカードの効果を発動させる。その攻撃はノノノが進む通路の前で弾け、それを受けたノノノは大きく減速し、彼女もまたトップチームから離されていった。


 こうしてトップ集団にはヒャッハー、RE-LIT、そして俺が残されたのだった…。


☆☆☆


 「ミユさん、何とか生き残りましたね!」


 ミストが嬉しそうにそういう。俺はそれを聞き頷く。


 「そうだな、ほとんど戦闘してないし、棚牡丹みたいなものだが運も実力のうちって言うしな、実力者ぽかったノノノとルアーノがつぶし合ってくれたのが良かったな」

 「ノノノと言えば…絶技とか言ってたけどあれってなに?」

 「なんかかっこ良さげな名前ですよね!!」


 ユーリの疑問にミストが同調する。俺はふむっと言って腕を組んだ後、語り始めた。


 「絶技っていのはカードの組み合わせの一つを指しているんだ。ホラ、モンスターとモンスターを掛け合わせると融合進化になるだろ?あれと似たようなものだ。モンスターに関する組み合わせはモンスターとモンスターの融合進化、モンスターと魔法の属性進化、モンスターとアビリティの皆伝進化、モンスターとアイテムの装着進化、モンスターと罠の適応進化などなど基本進化と言う名前が付くが他の種類のカードは違う。アイテムとアイテム、魔法と魔法など同じ組み合わせのものはそれぞれを表す一語の前に絶が付く、今回の例でいえば絶技、他には絶罠とかだな。他にも魔法とアビリティで魔技、魔法とアイテムで魔具、魔法と罠で魔罠、アビリティとアイテムで巧具、アビリティとアイテムで巧罠、アイテムと罠で罠具だな。まあその辺は今は良いだろう…とりあえずは絶技は技と技の組み合わせで強力な技を放つことができるものってわけだ」


 「なるほど…」


 セナが顔に手を当て思案顔になる。


 「つまり、カードの発動のタイミング、効果の使い分けや組み合わせだけではなく、こうやってカード同士を組み合わせて新たなカードとして扱うことができる。これが数多くの選択肢となり、奥深さとなるわけだ。っとは言っても基本カードのカード同士の組み合わせは公開されてないから攻略サイトを見るか、自分で探さなきゃアカン。それに基本的に誰もが自身の発見した組み合わせを隠すから情報も少ないしな、ただ自身で探すこと自体は難しくない。さっきの巨人の手剣閃なんかは手の形をした大きなものを出すアビリティと手を剣のようにするアビリティの組み合わせと比較的わかりやすい物だ。そんな風に関係のありそうなのを同時に発動したら自然となってた、効果の組み合わせとして使ったらタイミングが合って自然となってたみたいに探す意図がなくても見つかることは多い。一度発見すればそれぞれのステータスに組み合わせの情報が自動で記載されるから見逃しも少ないしな」


 「なるほど!そういうの得意です!」


 ミストが自身満々に言う。


 「ただ、このカード同士の組み合わせが必ず強いというわけでもない。見てわかる通り組み合わせには二枚のカードを消費する。これは結構なアド損だ。カードはシールドの役目もあるし、基本的には五枚の中からやりくりしなきゃいけないわけだからな、だから相手のカードの効果を利用して実現させようと試みたりすることもあるが、ただどちらの場合でも組み合わせとなるカードがちょうど集まるという可能性が少ないということもあるから扱い辛い。だから基本的に使えたらラッキーぐらいの感覚で積極的にそれを利用してデッキを組む奴はいないな。…しいて言うならクリア・バーテックスの椿姫は魔技を踊るように多用するデッキ[魔技の輪舞曲]を使うことから踊り子と言われているし、同じくクリア・バーテックスのジジーが他にはほとんど使う物のいない三種合成の絶魔を使う[魔の極致]ってデッキを使ってて有名だな」


 とそこまで俺が語ったところで事態は動き出した。ミユとヒャッハーさんの戦いが始まったのだった。


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過去作紹介

結城中学ロボ部!!
学園×スポーツ×ロボット×VRMMO! 仮想現実の世界で巻き起こる少年達の熱き戦い!

おすすめ短編集
『ハーレムなんて絶対いやだ!』や『プロ・ゲーマー ノリ』などがあります
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