イベント -チェイスデュエル-
「最後、水精さんガッツポーズしてましたね。叫んでもいましたし」
「それだけギリギリの戦いだったんだろう。アイツはこの世界に自分の全てを掛けてるから負けることだけはプライドが許さなかっただろうしな」
俺達は次の会場となるサーキットに向かって歩いていた。もうこれだけでわかると思うが次のデュエルはチェイスデュエルだ。
「遠い」
「まあ、そう言うなって。今回のチェイスデュエルでは円形のサーキットを使うからどうしても場所を取るんだよ。だからこうやって遠くなる。その分デュエルは複数のバイクのようなものを使って全員が走り続けながら戦う見ごたえのあるものになるんだから我慢してくれ」
そうやって歩いていると目的地に着いた。ここで仕合に出ることになるミユとは別れることになる。
「それじゃ。俺たちは観客席に言ってくるから。頑張れよ」
「言われるまでもない。全員ぶった押して勝ってくるぜ!」
お互い別れ、俺達は観客席で待機する。
「そういえば、ミユさんは何に乗るんですか?確か乗り物になるなら何でもいい決まりでしたよね?私の時は彗でしたし」
ふと、疑問に思ったのかミストが聞いてくる。それに俺はにやりとした顔をした。
「そんなの決まってんだろう。まあ、いずれわかるさいずれな…」
もったいぶって言葉を濁す俺、そこにアナウンスが聞こえてきた。
『チェイスデュエル!アクセラレーション!!っと言うわけでやってきましたチェイスデュエル!!このチェイスデュエルは全てのデュエルの中で最も参加率の高い人気種目となっています!!』
『今更、バイクに乗ったままデュエルだって!?といったようなことは言わないでくださいね~!これ、デュエリストの常識です!!』
「常識なんですか?」
ミストがアナウンスを聞き、俺に質問をしてきた。
「ああ、常識だな。いつからそうなっていたのかはわからない。だが気づけばいつからか、バイクに乗ってデュエルなんて普通だろ!いい加減にしろ!っと言うようになってしまった…」
「僕も、完全に違和感がありませんでした…カードゲームアニメなんてわざわざバイクに乗る必要ないのに…」
「最終的に走ったり、飛んだりするよね」
ユーリの言葉を聞いたミストは頭を縦に動かし深く納得する。
「一般人にはわからない感性ってことですね!」
「僕たち一般人じゃない扱いですか!?」
「いや、俺はそれでもかまわない…なぜなら俺はデュエリストだからだ!!」
「じゃあ、私はリアリスト」
俺達がふざけ合っている間にもアナウンスは続いていく。
『では早速ルールの説明から始めましょう!出場選手はこの周回状になっているコースを走り続け、最後の一人になるまで戦い合うバトルロワイアルシステムとなっています』
『基本は普通のチェイスデュエルと同じです。乗り物から落ちれば負けとなり、手札がない状態で攻撃を受けても負けになります』
『スピードの世界で最後の一人になるまで戦い続ける。それが~』
『『チェイスデュエル!!』』
『ではデュエルスタートです!!』
その掛け声と共にそれぞれの乗り物に乗ったデュエリスト達が一斉に走り出した。
☆☆☆
走り出していくデュエリストの中に俺はミユを見つけた。ミユは俺が渡した通り光属性のアイテムカード、ライトライドバイクに乗っている。やっぱり乗るならバイクじゃなくちゃな。カバじゃスピードは出せない。
「ああ、もったいぶってたけどやっぱりバイクなんですね」
「期待外れって言い方すな。俺にカードアニメ勢の超展開構成能力はない!」
「それよりも結構もう脱落者出てるみたいですね!師匠!」
俺は画面を拡大し、現在の様子を確認する。そして言った。
「周回型チェイスデュエルはいかに先頭を走れるかがカギとなる。普通追う側が有利になるのがレースゲームの基本だが、このゲームでは追いかける側は前に向かってカード効果を発動する際、威力が減衰し、逆に後ろに向かって放った際には増加する。感覚的言えば風に流されるといった所か、それにそれだけじゃない先に走っていた方がトラップも仕掛けやすい。…これはチェイスデュエルと言ってもお互いのスピードによっていまいち、速さがわからない、先に立つ優位性がわからないっと言ったもののための処理…ゲームを面白くするための味付けだって言われてるな」
「要はより速いものが強いってシステムにしたかったってことですよね?」
「そうだ…そして現在、ミユはトップグループにくらいついている…これはいけるかも…あ、あれは!?」
俺はトップグループの中にある人を見つけ声を荒げる。
「どうしたの?」
「ひゃ、☆\(W゜)♪(ヒャッハー)さんだ!それだけじゃない…レギオン未来結社のレギオンリーダーRE-LITもいる!これは…まずいかもしれないな…」
「ヒャッハーさん?RE-LIT?」
ユーリが小首を傾げる。俺は二人を見つけた驚きの勢いのままにそれに答えた。
「ヒャッハーさんは前回のブレイブカードライディンググランプリの優勝者だ。彼の[夜路士工]デッキは重火器系のアイテムカードのみで構成されたデッキで機動性を補えるチェイスデュエルと相性が良く、なおかつヒャッハーさんの銃器の扱いが上手い…ことチェイスデュエルだけに関してだけ言えば、俺の本気でも負けるかもしれない相手だ…」
「師匠の本気で…?」
「そしてRE-LITはグラウガ―に続く、ブレイブカードNO.2デュエリストとして名高い男だ。何より彼はデュエル戦術に秀でている。彼のデュエルは最初から最後まで全て決まっていると言われるほどだ。状況に合わせて様々な戦術のデッキを扱い。目的のコンボをどんな手札が来ても必ず成立させる…気付いた時には手のひらで踊らされている…そんなデュエリストだ」
「戦術ですか…」
俺は再び腕を組んだ。そして世紀末風のモヒカンの男、ヒャッハーさんと顔に仮面を付け、半分機械の体となっている半機人のRE-LITと戦っているミユを見つめる。
「厳しい戦いになるぞミユ…」




