イベント -スマッシュデュエル-
『さあ、皆さんフラッグデュエルは楽しんでもらえたかな~?…え?まだまだ満足してない?俺たちの満足はこれからだ?…そうです!イベントはまだ始まったばかりです!!次なる戦いはスマッシュデュエルとなっております、じゃ、レーヴェちゃんいつものように解説よろしく!!』
『は~い!!スマッシュデュエルは相手を吹き飛ばすことに重点を置いたゲームとなっています。学校の体育館レベルの大きさの空飛ぶフィールドに5人ごとに乗り込みその上で戦うことになります!目的はただ一つ!!相手をその空飛ぶフィールドから地面に落とすこと!!どんな形であれ落ちたものは敗者となります!!』
『そ~ですね~。例え自爆でも落ちれば敗者となります!ただ多少落ちても何かしらのカードの効果でリカバリーしてフィールドに戻れれば戦いを続行できます。戻る方法があるならあえて端に誘い込み戦うっといったことも立派な戦術ですね』
『さらに補足です!今回の戦いでもカードがない状況で攻撃を受けても敗北にはなりません。この戦いはあくまで落とすか落とされるか…そうそれこそが~!!』
『『スマッシュデュエル!!』』
『じゃあ第一グループの皆さんは配置についてくださ~い!!』
会場に向かい俺は歩いていく、そこには既に俺以外の四人が揃っていた。その中の一人が俺に向かって声を掛ける。
「カカカ!どうやら自分が助っ人一番手みたいだな!」
「地勇…いやトウドウか!!」
そう、そこにいたのはかつての仲間にしてレギオンマッドパーティー所属の地勇こと土属性使いのトウドウだったのだ…。
☆☆☆
体育館ぐらいの大きさの所々に小さな障害物しかない地面が空へと昇っていく、俺はそれをひやひやとしながら覗き込んで確かめていた。
「あ、相変わらず高いな…」
「ん?そう言えば高いところは苦手だったか!だが何、心配はいらんて落ちても衝撃は無いらしいからな!!」
「いや、そういう問題じゃないからね!?なんか吸い込まれそうになるのが苦手なんだよ、痛いとかどうかじゃなくてさ」
そしてちょうどある程度の高さになったところで上昇は停止した。
『ではスマッシュデュエル第一仕合を始めたいと思います~!!参加選手は…おおとこれは凄いですね担い手として有名な地勇ことトウドウさんと炎皇がいます。残りのメンバーも魔剣士として名が高い田中.COMさん、回転系アビリティはお任せあれでおなじみクルクルさん、そして三重士の一人豪力のレグナスさんがいらっしゃいます』
『一試合目からハイレベルになりそうですね!!ではカードを皆さん引いてください!!』
「「「「「デッキオープン」」」」」
そして全員が手札を確認する。俺は顔に手を当てその時呟いた。
「俺、カードに選ばれ過ぎぃ!」
…観客からの目線が痛い。ごめん。ちょっと調子に乗った。いやだってねぇ。良い引きだったら誰でも言いたくなるもんでしょ?
ちなみに俺の手札はこれだ
<M-スーパーノバ・エクスプロージョン…自身の目の前に強力な爆発を起こす魔法。範囲は広く巻き込まれれば自身もダメージを受ける。強いけど…巻き込まれる~!!>
<I-魔王剣…槍の姿にもなることができる剣。攻撃の際、まれに同じ攻撃をする実態を持った幻を出現させる。持っている間はカードの発動ができない。剣から槍へ…回転したくなりますな~>
<M-アルカナムジョーカー…六属性のいずれかの魔法がランダムに選択され発動する魔法。あなたの運命はいかに!?>
<C-ロードオブ・フレイムタン…炎の精霊王。実体を持たない姿で遠距離攻撃を得意とする。召喚時間を過ぎると自爆する。道連れ攻撃にご注意を!>
<A-クラッシュグレイ…目の前の空間を破壊する。空間を破壊するために発動中、目視不能。無それは何も見えない世界…>
俺のガチデッキ[真ナル魔ノ皇]は安定性重視の[魔王はじめました]と違い癖の強いデッキだ。大体のカードが強力ではあるがデメリットを持ち、またデメリットが少ないカードでも癖があって使い辛い…だが逆を言えばそれさえ扱いこなせば非常に強力なカードとなるため、自分で言うのは恥ずかしいがその場におけるコンボの良さに定評のある俺に良くあったデッキと言うわけだ。
俺は視線を戻す、既に全員が手札を引き、お互いが油断なく構えていた。
『全員の手札が展開されましたではカウントいたします。3…2…1…スタート!!』
言葉ともに最初に動いたのはトウドウだった。彼は手札をコストに行きなりスペシャルを発動させる。
「まずはふさわしい場を整えるとするか!発動スペシャル!!フィールドトラップ[泥んこフェスティバル]!!」
その言葉と共にトウドウを中心として泥が広がり始めた、それは床を徐々に浸食し空間を埋めていく。
(フィールドトラップ…トラップのスペシャルか!効果は持続する環境形成…しかも泥か。このスマッシュデュエルに合ったなかなかいいものを張ってくる)
フィールドトラップは普通のクエストやダンジョンなら自動で発動されているものだ、だが自身で発動し、塗り替えることもできる。だがわざわざ張り直すほどのメリットが少なくこういった対戦以外ではめったに使われないものの一つだ。
(普通、ダンジョンやクエストなんかだとそのままそこの環境を利用した方が速いから使われないんだよな…でもバハムートがいる最高難易度ダンジョン魔龍の激火口は一定時間ごとにダメージ…カードが一枚失われるって鬼畜使用だったから地勇の張り替えがかなり役に立った…その際に土や砂なんかにも張り替えたことから種類があるんだろう。ドロにしたのは土や砂よりも重量があり、威力として優れ…)
俺は泥の地面を歩く、その歩きにくさと滑りやすさに眉をひそめた。
(こうやって足止めして攻撃を当てやすいからなんだろうな、普通範囲から逃げて態勢を整えようとするけどこのフィールドの大きさじゃそれも出来ない…)
俺はまず近場に居た、田中.COMの方に向かっていく、どこかで聞いたような名前だがきっと気のせいだろう。うん気のせいだ。
…地勇に向かっていかなかったのは理由がある。地勇のデッキ[踊り狂う土地たち]はライムのように人やデッキに対応したデッキではなく、場や環境に適応したデッキだ。あのデッキは相手は問わず、その場の土地によって強さが変わる。範囲全てが泥に埋もれた今、ここはアイツの独壇場と言ってもいい。環境により追加効果や効果発揮、効果変更をするカード群を利用し、どっしり構えて策を練る。…敵味方入り混じる中迂闊に突撃すれば地勇を相手にしている間にアイツに操作された他のメンバーに俺は吹き飛ばされるだろう。だから今は…
(邪魔者を消す!!)
俺は田中.COMに向かって双剣槍を突き出した。まずは一太刀。相手の出方を伺いながら一撃を繰り出す。対する田中.COMは手元に魔剣を出現させた。そしてその魔剣にぶつかった双剣槍が取れなくなる。
「秘儀!トリモチ魔剣!!」
「ふざけた名前の割に厄介な!!」
一瞬このまま武器を捨てて戦おうとしようかと考えたがそれはやめた、まだ戦いは始まったばかりだ複数人戦でもあるためここでカードに頼らない手数を失うわけにはいかない。結果お互いに片手を封じられた状態でのインファイトを迫られることになった。
(く…さすがにイベントに出てくるだけはあるな一筋縄ではいかないか)
「魔王剣!!」
「付加魔剣!分裂剣!!」
お互いにアイテムを発動し、剣を握る。但し田中.COMの剣は自身の持つ武器に新たに魔剣を付加させたものだ。
「おりゃ!」
「シッ!!」
お互いの剣がぶつかる、田中.COMは魔王剣が発生させる遅れてやってくる斬撃を魔剣として武器に付加した分裂剣を分裂させ打ち消す、着実に分裂剣を小さくしていくが、魔王剣の発生はランダムなものであり、上手く躱しているが分裂した剣によって追い詰められていった。
(く…このままじゃ尻損だ…)
その時、遠くから飛ばされてくる物体に気付いた、俺と田中.CO…もうめんどくさいから以下田中でいいや、田中は同時に飛び退こうとするがトリモチによってお互いの行動が阻害された、咄嗟の判断で俺はあえて逃げるのではなく上手くトリモチで防ぐ動き方をすることによってその物体からの攻撃を防ごうとする。
「とば~さ~れる…スピンスクリュー!!」
その物体…クルクルが放った回転する足撃のアビリティがトリモチを貫く、自由になった俺は田中から距離をとり、こちらにやってくる人影を見た。
「三重士…!!強力のレグルス!!」
「おうよ!!パワーフルプラス!!」
レグルスは鎧による防御力を減らしその力をパワーに追加する魔法を発動し、泥を力づくで押しのけながら近づいてくる。あの状態ではかすり傷を受けただけでダメージになるがそれすら気にしない勢いだ。
(つうか、塊過ぎだろう!!…トウドウはどこだ!?)
激戦区から一歩逃げ出し、今だ動きを見せない地勇を探す。地勇は演唱を行い自身の三枚となった手札を回復させようとしていた。
『うんちゃらなんちゃらなんちゃら…ドロー!!』
適当過ぎる無指定演唱に涙が出てくる。これでもしっかりと演唱時間さえ守ればカードは出てくるんだから仕方ない。手札を四枚とした地勇はその中の一つを発動させた。
「マッドウェーブ!!」
押し流すように泥波が噴き出す、フィールドが泥なことによって能力を上げた魔法が俺達に牙を向いた。
…だがそこは歴戦のデュエリスト。それぞれがそれぞれの方法でそれを回避する。
「スペシャル…アーティファクト!!魔剣断空剣!!」
「アビリティ!!スピンフライ!!」
「受けとめーる!!」
各々がカードを発動する中で一人だけ原始的な方法を取っているが無視しよう。だがこの状況はチャンスだ今、田中は魔剣二つにスペシャルでコストを含め二枚発動し、手札は一枚となっている。それに加え波への対処に追われてこちらが攻撃するとは考えていないはずだ。
…人間だれもが同じ状況に別の人が陥った場合。自身と同じ行動をとるだろうと考える。これは人間の経験学的なものからくるものだと思うが今は関係ない。俺はレグルスを盾にするような位置に動いた。そして魔王剣を上へと少し投げる。
(持っていないければデメリットはない!)
「発動!アルカナムジョーカ!!」
発動されたのは皮肉にも水の波だった。純粋な波が前からの波に対して準備していた田中の元へと襲い掛かる。ダメージを受け押し流された田中は断空剣を使う暇もないまま場外に押し出され叫び声を上げた。
「せめて一回は使いたかった~!!!」
大きな音と共に縦に飛び出す光が見える。恐らく敗者を知らせる演出だろう。毎回思うが運営はたまにやばいネタをするな。まんまあれじゃないですかやだ~と俺はちょっと思いながらも魔王剣をキャッチし、レグルスの少し後ろで縮こまった。
「ぐうううぅうう!!この程度で~!!」
(頑張れレグルス!!)
こっそりと応援しながら待っていると泥の波は止まった。そしてそれを待っていたかのように俺は攻撃を受ける。レグルスではない…クルクルだ!空中から来る回転する衝撃波を俺は泥の滑りを利用して走り、避ける。地面に降り立ったクルクルはわき目もふらずこちらに向かってきた。
「なんで俺だけ!?」
「不意打ちなんてエレガントじゃない!!」
「ごめんなさいね!でも!俺!大○闘の方でも道具駆使して逃げ回るタイプなの!!…ロードオブ・フレイムタン!!」
酷いと言われようとも俺は直接攻撃せずに道具と遠距離攻撃を駆使して闘うタイプだ、特にピッ○先生にはお世話になった。…まあ、大概が参加者に嫌われて集中攻撃で一番最初に倒されるのだが一番活躍したのは自分だという自負はある。というか大体アイテムなしや遠距離なしでやる人の気持ちがわからない。それ単なる格ゲーじゃん、大○闘じゃないじゃんって思うからこそのこの楽しみスタイルなのだ。
っと無駄なことを考えている間に俺のフレイムタンはレグルスを吹き飛ばした。さすがに波を抑えるのに疲れていたのだろう、吹き飛ばされたレグルスはちょうど俺とクルクルの間に入る。クルクルのカードを使った攻撃がレグルスにヒットした。
「ぬごおぉ!!」
「そんな!?」
残りカード一枚となったレグルスだが復帰するためのカードがないのかそのまま吹き飛ばされ落ちていった。派手な演出の後、唖然とするクルクルに俺は近づいた。
「ナイススマッシュ!お礼におひとり様ご案内~!!」
再びキャッチした魔王剣で残り一枚のクルクルをぶん殴る。残り一枚のクルクルはカードを失いなすすべもなく落ちていった。
(これで残りは地勇だけだ…!!)
俺の見据える先でいつの間にか手札を四枚に回復した地勇はそのカードを発動させた…




